清々しい秋空のもと、何か日光に当てなくては、おてんとうさまに申し訳ないと、今日は押し入れを片付けてみることにした。
座布団を取り出すと、奥の方に大切に風呂敷で包んである大きな箱物が見つかった。姿から古い弁当箱だとだいたいの見当がついたので、虫干しを兼ねて思い切って開けてみた。
運動会のときに、父が大事そうに両手で抱えて運んでいた懐かしい弁当箱だった。母が上の方の銘々箱を兄弟一人ずつに引き出して渡してくれた感触が蘇った。
上の方の銘々箱には押し寿司や田舎寿司が入っていた。下の方の重箱には、甘鯛や飛び魚等の白身の魚の酒蒸しや卵焼き、かまぼこなどが綺麗に並んで入っていた。私たちは運動会でそう活躍する兄弟はではなかったが、家族中で応援に来てくれていた。
弁当の時間が終わると、弁当箱が空になったのに、余程大切だったのだろう、父はやはり弁当箱の番をしていた。
運動会も終り万歳三唱と同時に花火が上がると、父はまた、大事そうに両手で抱えて家路についていた。厳格だった父が家族に見せた優しい年中行事だった。
今年の暮れは、この弁当箱におせち料理を詰め、恩返ししようと思う。 勿論、芋焼酎かんろを付けて。（＾ｖ＾）