内閣府は26日、「消費者市民社会への展望」と題した2008年版の国民生活白書を公表した。
悪質商法などによる被害額は、最大で約3兆4000億円に上るという推計を示し、
被害者救済の実効ある仕組みづくりや、消費者被害防止に役立つ教育を進めることの重要性を強調した。
消費者行政一元化に向けて、09年度に消費者庁が創設される予定のため、
「消費者」を本格的に取り上げ、消費者・生活者が社会の発展と改善に積極的に参加する
「消費者市民社会」という考え方が生まれていると指摘。
経済社会が複雑化、高度化する中、供給者ではなく、消費者・生活者の視点から社会構造を
組み立て直すべき大きな転換期にあるとの見方を示した。
主な論点は下記。
◆消費者・生活者の定量的重要性の増加、それに伴うリスクの増加
消費者が支出する総額(家計最終消費支出)は、07年度は284兆円で、国内総生産(GDP)総額の
約55%を占めている。それだけに消費者の選択は企業や商品に大きな影響を与える。
但し、貿易の拡大と経済のグローバル化で輸入品が増加し、安全な商品や企業を見分けることは、
以前より難しくなっている。特に食品の安全性について「他の分野に比較して不安感が大きい」
と考えている人は04年の41・4%から、08年10月は75・5%に高まっている。
また、元本割れの可能性のある金融商品も広く出回っている。白書は9月以降の金融危機で
「消費者・生活者は翻弄される存在にしか過ぎなかった」と指摘した。
◆社会意識の変革の実態
内閣府の社会意識調査では「社会に役立ちたい」と回答した人は70年代には「あまり考えていない」人と
ほぼ同率だったが、91年には6割を超え、08年は過去最高の69・2%に達した。
環境美化、リサイクル活動などを通じて意識が変化し、大企業にも「環境保護への取り組み」を
求める声が強まっている。
ただ、実際の行動では、途上国の農産物を一定の高値で購入したり長期契約して生産者を支援する
「フェアトレード」や、環境配慮型の商品の普及は遅れている。
国内の認定フェアトレード製品の売上高は07年で約10億円で、米国(1178億円)、英国(1136億円)の
100分の1以下。
白書は「社会的行動をとらないと格好が悪い」という価値規範の転換が消費者市民社会に向けた
起爆剤になりうると指摘し、消費者市民教育の大切さを訴えた。
◆消費者庁創設の必要性
内閣府は、09年度に設立を目指す消費者庁で、従来の各省バラバラの縦割り行政を改め、
基本戦略から被害救済する執行まで一元的に対応する体制をつくることの必要性を訴えている。
◆消費者被害
白書は、通信販売や訪問販売を通じた悪質商法に加え、欠陥商品や食品偽装による損失額を推計。
07年度は契約金額ベースで最大3兆3922億円、国内総生産(GDP)比で約0・7%に相当するとした。
支払った金額が判明しているのは約16万件で、このうち、被害額が5万円以下の少額被害が
全体の42%を占める。
このような「少額多数被害」は、被害者自身が解決しようとしても裁判費用などの負担が重く、
悪質事業者の規制が進まない。白書は、行政が消費者に代わって損害賠償を求める制度や、
消費者団体の団体訴訟に損害賠償請求権を付与するなど効果的な紛争解決手段の整備に向け
議論を加速するよう求めた。
白書が、消費者保護に本格的に焦点を当てたのは今回が初めて。
◆食品安全問題
今年は食品偽装問題など、食の安全にかかわる問題が相次いだ。問題を通じて消費者の行動に関し、
その選択が企業や商品に与える影響力は大きく、不祥事を起こした企業には厳しく対応すると分析。
一方で、消費者は食品の安全性の判別が困難な状況にあるなどリスクにさらされており、
そのリスクを判断するための制度が必要だと指摘した。
後、僅か3日後に迎える、2009年の我々の課題は、消費者・生活者の視点で社会構造を組み替えて
「消費者市民社会」を構築すること、にあるようだ。
悪質商法などによる被害額は、最大で約3兆4000億円に上るという推計を示し、
被害者救済の実効ある仕組みづくりや、消費者被害防止に役立つ教育を進めることの重要性を強調した。
消費者行政一元化に向けて、09年度に消費者庁が創設される予定のため、
「消費者」を本格的に取り上げ、消費者・生活者が社会の発展と改善に積極的に参加する
「消費者市民社会」という考え方が生まれていると指摘。
経済社会が複雑化、高度化する中、供給者ではなく、消費者・生活者の視点から社会構造を
組み立て直すべき大きな転換期にあるとの見方を示した。
主な論点は下記。
◆消費者・生活者の定量的重要性の増加、それに伴うリスクの増加
消費者が支出する総額(家計最終消費支出)は、07年度は284兆円で、国内総生産(GDP)総額の
約55%を占めている。それだけに消費者の選択は企業や商品に大きな影響を与える。
但し、貿易の拡大と経済のグローバル化で輸入品が増加し、安全な商品や企業を見分けることは、
以前より難しくなっている。特に食品の安全性について「他の分野に比較して不安感が大きい」
と考えている人は04年の41・4%から、08年10月は75・5%に高まっている。
また、元本割れの可能性のある金融商品も広く出回っている。白書は9月以降の金融危機で
「消費者・生活者は翻弄される存在にしか過ぎなかった」と指摘した。
◆社会意識の変革の実態
内閣府の社会意識調査では「社会に役立ちたい」と回答した人は70年代には「あまり考えていない」人と
ほぼ同率だったが、91年には6割を超え、08年は過去最高の69・2%に達した。
環境美化、リサイクル活動などを通じて意識が変化し、大企業にも「環境保護への取り組み」を
求める声が強まっている。
ただ、実際の行動では、途上国の農産物を一定の高値で購入したり長期契約して生産者を支援する
「フェアトレード」や、環境配慮型の商品の普及は遅れている。
国内の認定フェアトレード製品の売上高は07年で約10億円で、米国(1178億円)、英国(1136億円)の
100分の1以下。
白書は「社会的行動をとらないと格好が悪い」という価値規範の転換が消費者市民社会に向けた
起爆剤になりうると指摘し、消費者市民教育の大切さを訴えた。
◆消費者庁創設の必要性
内閣府は、09年度に設立を目指す消費者庁で、従来の各省バラバラの縦割り行政を改め、
基本戦略から被害救済する執行まで一元的に対応する体制をつくることの必要性を訴えている。
◆消費者被害
白書は、通信販売や訪問販売を通じた悪質商法に加え、欠陥商品や食品偽装による損失額を推計。
07年度は契約金額ベースで最大3兆3922億円、国内総生産(GDP)比で約0・7%に相当するとした。
支払った金額が判明しているのは約16万件で、このうち、被害額が5万円以下の少額被害が
全体の42%を占める。
このような「少額多数被害」は、被害者自身が解決しようとしても裁判費用などの負担が重く、
悪質事業者の規制が進まない。白書は、行政が消費者に代わって損害賠償を求める制度や、
消費者団体の団体訴訟に損害賠償請求権を付与するなど効果的な紛争解決手段の整備に向け
議論を加速するよう求めた。
白書が、消費者保護に本格的に焦点を当てたのは今回が初めて。
◆食品安全問題
今年は食品偽装問題など、食の安全にかかわる問題が相次いだ。問題を通じて消費者の行動に関し、
その選択が企業や商品に与える影響力は大きく、不祥事を起こした企業には厳しく対応すると分析。
一方で、消費者は食品の安全性の判別が困難な状況にあるなどリスクにさらされており、
そのリスクを判断するための制度が必要だと指摘した。
後、僅か3日後に迎える、2009年の我々の課題は、消費者・生活者の視点で社会構造を組み替えて
「消費者市民社会」を構築すること、にあるようだ。