Cinema Collection 2

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(2015/6より)

★未来を生きる君たちへ(2010)★

2011-08-29 13:28:51 | 映画(ま)行
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HAEVNEN
IN A BETTER WORLD


憎しみを越えたその先で
どんな世界を見るのだろう。


上映時間 118分
製作国 デンマーク/スウェーデン
公開情報 劇場公開(ロングライド)
初公開年月 2011/08/13
ジャンル ドラマ
映倫 PG12

【解説】

「ある愛の風景」「アフター・ウェディング」のスサンネ・ビア監督が、
暴力と愛を巡る簡単には答えの出ないテーマに真摯に向き合い、
みごと2011年のアカデミー賞外国語映画賞に輝いた感動のヒューマン・ドラマ。
デンマークの郊外とアフリカの難民キャンプを舞台に、問題を抱えた2組の父子が、
日々直面する理不尽な暴力を前に、復讐と赦しの狭間でぎりぎりの選択を
迫られ葛藤するさまを、緊張感あふれる力強い筆致で描き出す。

8月13日(土)公開

公式サイト

 【感想】  <TOHOシネマズ・シャンテにて鑑賞>


デンマークの原題はHAEVNENで「復讐」、邦題は、英語のタイトル
「IN A BETTER WORLD」からつけられたんでしょうね。
実は、この作品、今月の気になる作品には、入れていなかったのですが、
本年度のアカデミー賞外国語映画賞でオスカーを獲ったと知って
(ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞も受賞)、また、ヤフーの評価が
思いの外高かったので、ちょっと気になり、鑑賞することにしました。

オープニングから、私の苦手な病気や死が絡み、これは、観る作品失敗したかなと
(私には、合わないかなと)思ったのですが、最後見終わって、鑑賞して良かったと
思えた作品でした。

舞台はアフリカとデンマーク、遠く離れた二つの土地で起こる悪意と
報復の連鎖が描かれています・・・

アフリカでは、アントン(学校でイジメられている少年エリアスの父親)が
医師として働いている難民キャンプで起こるビッグマン
(生まれて来る子が男か女かカケで妊婦のおなかを切り裂く男)の悪意と暴力が描かれ、

一方、デンマークでは、学校でイジメにあっていて、両親が別居中である少年エリアスの、
そして母親を癌で亡くし、父との関係が上手くいっていない、ロンドンから引っ越して
来たクリスチャンの、どちらも家庭関係(親子関係)が危うい二組の家族の話に
なっています。

 以下内容に触れている部分があります 


学校でのイジメに耐えていたエリアスのイジメを止めたのは、転校生クリスチャンの
いじめっ子への暴力(報復)でした。
暴力を咎めた父親に「やり返されたら、やりかえす、初めが、肝心なんだ」と
彼は言います。
父は「、そんなことをしたら、きりがないそうして戦争は、はじまるんだ」と
諭しますが、クリスチャンは聞く耳を持ちません。。。

この映画では、半殺しの目にあったいじめっ子が、それからエリアスを
イジメなくなりますから、イジメから救われたエリアスにとっては、
報復(暴力)が解決策になりました。ですから、肯定はできませんが、
初めが肝心、やられたらやり返すと言うのは、一つの選択肢なのかもしれません。
ですが、この映画では、たまたま、報復することによって、イジメが
終わったから良かったのですが、時には、その暴力によって、いじめっ子の
暴力がますますエスカレートして・・・と暴力の連鎖を生み出すこともあります。


<この建物のシーン度々出てくるのですが、高所恐怖症の私は、そのたびに
足元がゾワゾワしてました

公園で男に理不尽に殴られたアントンを見ていて、弱虫と思った息子たちと
クリスチャンのために、自分はその相手が怖いのではないと、
殴った人物のところに、わざわざ出向きます。
そこで、また、その相手に理不尽に殴られますが、アントンは、一切暴力で返しません。
子どもたちに「自分は、あの男が怖いのではない。暴力を振るうのは、バカだ。
バカを相手にしても仕方がない」と説明するのですが、クリスチャンは、
それでは納得しません。
エリアスへのイジメが暴力によって、解決されたので、その相手にも
報復しようと考えます。
そのあまりにも過激な報復の内容に、賛成ではないエリアスですが、
自分をイジメから救ってくれた、唯一の友達であるクリスチャンに嫌われたくない
一心なのでしょうか、報復を決意します。
そして、それが、終盤の大事件へとつながってしまいます。。。

理不尽になぐる男、その男に報復しようとするクリスチャンたち、
そして、その事件になんら関わりのない親子が、報復に巻き込まれそうになり・・・
暴力に暴力で返すこと(復讐)は、なんの罪もない、関わりもない人間をも
巻き込むことになる・・・
そのシーンを観ていて、戦争が、まさに、そうなんだと感じました。



エンタメ作品ではないのですが、「復讐」と「赦し」と言う、難しいテーマで
重い内容でしたが、緊迫感を漂わせるストーリー運びは、
サスペンス作品のようでもあり、最後まで、緊張して観ていたような気がします。

過ちを犯してしまった2人の少年たちには、希望のある終わり方で、
「赦す」ということで、困難を乗り越えて行く家族の再生と言うラストには、
救いを感じました。



しかし、彼らのケースでは、「赦し」ができたとしても、
アフリカでのビッグマンのような行為は、到底「赦す」ことなどできません。
けがをしたビッグマンの治療に当たるアントンは、難民キャンプの人たちから
「なぜ、あんな男を助けるのか」と反対されますが、彼は、
「医師としての仕事だから」とビッグマンを治療します。
そんな理性的なアントンですが、懸命な治療の甲斐もなく、
亡くなった女性に、侮辱的な言葉を発するビッグマンに、感情を抑え切れなくなり、
まだ歩けないにも関わらず、ビッグマンをキャンプから追い出してしまいます。
そこには、彼に恨みを持つ人々が集まっており、アントンのその行為は、
ビッグマンの死につながります。

あんなに良い父親でも浮気をしてしまう、最前線で仕事をする素晴らしい医師で、
理不尽にどんなに殴られても殴り返さなかったアントンでさえ、そういうことを
してしまうのです。
でも、人間って、頭ではそれが良い事ではないとわかっていても、
憎しみを抑え切れなくなると、そういうこともしてしまう
生き物なんですよね・・・理性もありますが、感情もあるのですから・・・
ビッグマンなど到底赦すことなどできない、あんなヤツは復讐されて
当然だと思いながら、でも、それは暴力を肯定してしまうことになる・・・
<私自身は、あんなヤツ殺されて当然とか思ってしまうのですが(^^;>

ビッグマンが死んでも第二、第三のビッグマンが現れるであろう
アフリカの難民キャンプのことを考えると、複雑な気持ちにもなりました。。。

昔から、繰り返され、今もなお世界のあちこちで起こっている戦争(紛争)
断ち切れない暴力と憎悪の連鎖の解決の糸口ってあるのでしょうか?

作品を観ていて、あなたならこんな時どうする?と問いかけられているようにも
感じました。



冒頭とラストに出てくる、アフリカの無邪気な子どもたちの笑顔に救われます
未来に生きるこどもたちの笑顔、大人は守っていかなければいけないんですよね。

さすが、アカデミー賞受賞とゴールデングローブ賞をWで受賞しただけの
ことはある作品、スクリーンで観て良かったです

最後に簡単ですが、素晴らしい演技だった主なキャストの紹介です


アントン(ミカエル・パーシュブラント)・・・スウェーデンで最も人気があり
抜群のカリスマ性を持った俳優
マリアン(トリーネ・ディアホルム)・・・デンマーク生まれ・数々の映画、舞台、
TVシリーズで活躍。
クラウス(ウィリッヒ・トムセン)・・・デンマーク生まれ・世界各国から出演依頼が
数多く舞い込む俳優の一人。ハリウッド作品では「007ワールド・イズ・ノット・イナーフ」
「キングダムオブへブン」「堕ちた巨像」などに出演している。

クリスチャン(ヴィリアム・ヤンク・ニールセン)
エリアス(マークス・リーゴード)
二人の詳しいデータがないのですが、子役の演技が素晴らしいのは
世界共通ですね。心に傷を持った少年の演技は秀逸でした



 【ストーリー】 

デンマークで母親と暮らす少年エリアスは、学校で執拗なイジメに遭っていた。
両親は別居中で、医師である父アントンはアフリカの難民キャンプで
ボランティア活動に奮闘する日々。そんなある日、エリアスはイジメられているところ
を転校生のクリスチャンに助けられ仲良くなる。折しも一時帰国したアントンが、
2人の前で暴力的な男に殴られると、無抵抗を貫いた彼に対し、クリスチャンは
やり返さなければダメだと反発する。やがてアフリカへ戻ったアントンの前に、
妊婦の腹を切り裂く極悪人“ビッグマン”が負傷者として運ばれてくるが…。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
小米花さ~ん(^・^) (ひろちゃん)
2011-09-10 22:02:21
コメントありがとうございました

アカデミーの外国語作品賞に相応しい作品でしたよね(^_-)-☆

子役の二人の演技も大人の演技も
すごく良かったと思います

>えと、、ロバートの奥さんの出産は来年2月みたいです。。。

あははσ(^◇^;)できたわけで、産まれたわけではないんですね(苦笑)情報ありがとうございます。

>今度、ロバートの映画が来たら、ご一緒したいですね~

是非是非~よろしくお願い致します
ロバートの作品、日本での公開は、何になるんでしょうか?
返信する
今晩は~ (小米花)
2011-09-09 22:46:21
いい映画でしたね。
ホント、貴方ならどうします?って
問われているようでした。
子役たちも良かったですね。
大人の役の俳優さんたちも素晴らしかった!


えと、、ロバートの奥さんの出産は来年2月みたいです。。。
今度、ロバートの映画が来たら、ご一緒したいですね~。
返信する
daiさ~ん (*^。^*) (ひろちゃん)
2011-09-06 01:33:47
コメントありがとうございます
こちらこそ、体調不良で(^^;レスが遅くなってしまいまして、すみません

平和ボケしている私に(苦笑)、いろいろな
ことを考えさせてくれた作品でした
えすが、サスペンス要素もあって、最後まで
飽きずに観れました。オスカーにふさわしい
作品だったと思います
返信する
こんばんは (dai)
2011-09-03 21:18:03
レス遅れてスミマセン(汗

>作品を観ていて、あなたならこんな時どうする?と問いかけられているようにも感じました

暴力の描写を通して色々なことを考えさせられる映画でしたね。本当に自分ならこういう時はどうしてしまうんだろうと思ってしまいました
返信する
migさ~ん (#^.^#) (ひろちゃん)
2011-09-02 01:00:43
コメントありがとうございます

ほんと、もう9月
きっと、アッと言う間に、12月になっちゃうんでしょうね

ロバート、そう言えば子作り宣言してましたが
そうですかあ・・・赤ちゃん生まれましたか
グッドニュースありがとうございました
返信する
Unknown (mig)
2011-09-01 08:08:52
ひろちゃんおはようございます。
もう9月、早いですー

映画とは関係ない話でごめんなさい、
ロバートがお子さん産まれますね♪

返信する
KLYさ~ん \(~o~)/ (ひろちゃん)
2011-09-01 00:40:13
コメントありがとうござます
レス遅くなってしまってすみません

最初は、観る気は全然なかったのですが
KLYさんの満点評価もあって、急遽観る事に
しました

とても現実的なお話で、自分ならどうするだろうかと考えながら観ていたような気がします。

ラストは、邦題から感じたように、希望が
感じられる終わり方でホッとしました。
映画館に足を運んで、大正解の作品でした
返信する
こんにちは☆ (KLY)
2011-08-30 20:53:19
とても現実的なお話でした。
きれいごとではない暴力は厳然と存在し、そしてそれを受け取る側の状況によっても対応に違いが出てしまう。でもそれは生身の人間なら当たり前の事ですよね。
この当たり前の事をしっかりと子供たちに伝えていくのが我々大人の役目なのだろうなと感じました。
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