ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

七月大歌舞伎(昼の部)を観に行く

2024年07月10日 | 歌舞伎

今月も歌舞伎座の公演、七月大歌舞伎(昼の部)を観に行った。3階A席6,000円、今回は前から5列目だった、今日は11時開場で、10時半近くに到着したが、歌舞伎座前は大勢の人でごった返していた、中に入り、座席を見渡すと満員に近い入りではないかと思った、團十郎人気か。終演は15時30分頃だった。

昼の部の演目は珍しく「通し狂言」、義経千本桜をアレンジした成田千本桜だ。歌舞伎座では、一つの演目を最初から最後まで演ずると一日かかる大作もあるので、「見取り狂言」と言って一部の人気がある場のみアラカルト的に演じる方式が定着しているが、今回は義経千本桜という大作を通しで上演するものだ。なお、今回は通し狂言と言っても完全な通しではない。ちなみに日本では通し狂言は国立劇場で行われることが多い。

演目

通し狂言 星合世十三團(ほしあわせじゅうさんだん)
成田千本桜、市川團十郎十三役早替り宙乗り相勤め申し候

発端

  • 福原湊の場

序幕

  • 第一場 堀川御所の場
  • 第二場 伏見稲荷鳥居前の場
  • 第三場 渡海屋の場
  • 第四場 同  奥座敷の場
  • 第五場 大物浦の場

二幕目

  • 第一場 下市村椎の木の場
  • 第二場 同  竹薮小金吾討死の場
  • 第三場 同  釣瓶鮨屋の場

大詰

  • 第一場 川連法眼館の場
  • 第二場 同    奥庭の場

配役

左大臣藤原朝方、卿の君、川越太郎、武蔵坊弁慶、渡海屋銀平実は新中納言知盛、入江丹蔵、主馬小金吾、いがみの権太、鮨屋弥左衛門、弥助実は三位中将維盛、佐藤忠信、佐藤忠信実は源九郎狐、横川覚範実は能登守教経(計十三役):團十郎

静御前:雀右衛門
相模五郎:右團次
小せん:児太郎
片岡八郎/若葉の内侍:廣松
伊勢三郎:男寅
鷲尾十郎/お里:莟玉
逸見藤太:新十郎
お米:梅乃
亀井六郎:青虎
駿河次郎:九團次
猪熊大之進:市蔵
五人組作兵衛:家橘
梶原平三景時:男女蔵
お柳実は典侍の局:魁春
源義経:梅玉

今回の演目は、古典歌舞伎の三大名作の一つ『義経千本桜』のドラマ性に焦点をあて、娯楽性に富んだ演出や新たな趣向、宙乗り、大立廻りを取り入れ、源平の時代に生きた人間たちの運命と修羅を描いた物語。令和元(2019)年7月市川海老蔵(現 團十郎)により初演、好評を博し、今回、その意欲作をさらに練り上げ、團十郎襲名後初めての上演。

なお、演目の「星合世十三團」だが、イヤホンガイドでは、13という数字は團十郎が13代目ということに関係し、星合とは勧進帳のもととなった演目で初代團十郎が上演した「星合十二段」に由来したものという説明だったと思う、また、この千本桜は源平合戦が終わった後の話であり、源氏による平家の追討、維盛、知盛、教経の最後に絡んだ物語だ。

観劇した感想を書いてみよう

  • 今回の演目は何といっても團十郎だろう、13役を早変わりでこなすハードな演出、舞台裏ではさぞかし大変な対応であろうが、大過なく務めたのは立派なものだ、今日届いた松竹の歌舞伎雑誌「ほうおう」のインタビューで團十郎は「舞台裏は自動車レースのF1のピットインのような感じだ」と述べているがその通りなのでしょう。
  • 派手な見せ場が3つあった、そのうちの2つは宙乗りだ、一つは序幕の最後、知盛が義経との大物浦での戦いに敗れ、投身した後、閉幕前に天に昇るように宙乗りにより昇華する場面、もう一つは大詰、佐藤忠信実は源九郎狐が自分の生い立ちを語り、義経が感動して初音の鼓を与え、その後教経と戦ったあとに、やはり天に昇華するように宙乗りして消えていく場面である。両方ともやんやの喝采を受けていた
  • さて、もう一つの最後の派手な見せ場であるが、ネタバレになるのでここでは書くのをやめておこう
  • 面白いと思ったのは、発端の福原湊の場が終わったところだったか、舞台に團十郎が一人出てきて、背後には大きなスクリーンで團十郎が務める13役の人物相関図が示されて、その相関図の説明をしてくれたところだ。以前もこんなことがあったかもしれないが、物語が複雑で登場人物も多いので、いい試みだと思った
  • 13役であるが、それぞれ熱演していたと思うが、佐藤忠信実は源九郎狐だけは團十郎には似合わない役だと思った。「ほうおう」の團十郎のインタビューで團十郎は、13役の中でも特にいがみの権太、知盛、佐藤忠信実は源九郎狐の三役は特に重く、思い入れんある役だ、と述べている
  • 特に佐藤忠信実は源九郎狐については、狐は人間世界を超越して、愛、親への気持ちをもっている、純粋な気持ちを忘れない心を人間は学ばないといけない、そういう作品と解釈して、そこにフォーカスしたと述べている、そこまで心酔している役にケチをつけて申し訳ないが、狐の形をしてピョンピョン欄干を飛び跳ねるのは江戸歌舞伎荒事の本家本元の團十郎には似合わないと感じた。

さて、今日の幕間の食事、いつもの三越銀座の地下、何にしようか迷ったが、大徳寺さいき屋の「さば寿司だし巻き弁当」1,400円にした。甘味は、先日京都旅行で訪れた旧三井家下賀茂別邸のランチで出てきた鶴屋吉信のお菓子が良かったので、その鶴屋吉信の「つばらつばら」238円にした。いずれもおいしかった。

お疲れ様でした



最新の画像もっと見る

コメントを投稿