昨夜、ブログで「実感」についてちょっと書きました。
演出家と意図とアニメーターである僕の実感が、時にぶつかる事があると。
その具体的な内容は以前もブログ書いたので省略しました。
かなり前に書いたので、新鮮な気分でまた書こうと思います。
その時僕の担当したシーンというのが、春の雪解けの風景でした。
屋根から雪が落ちてスズメが飛んで行くという内容のカット。
その屋根から落ちる雪描写で、演出から5回もリテイクが来ました。
演出家としては屋根に残っていた雪が、サラサラと屋根から落ちてほしかったのですが、僕にはサラサラという絵が描けない。
北海道の屋根から落ちる雪は凍っていて、ドドドドと音を立てて落ちてくるものなんです。
巻き込まれたら死んでしまうかもしれないぐらい危険な雪。
それが僕の実感としてあった。
演出家は頭を抱えていたでしょうねえ。
作品は『プロゴルファー猿』でした。
まだアニメーターになって一年目でしたから、演出意図なんてものがある事すら知らないわけです。
そんな失敗談なんですが、思い出しても不思議と恥ずかしい気分にならないんですよね。
むしろ演出家の春の風景描写に、屋根から落ちる雪を出した事の方が安易だったんじゃないかと思うぐらい。
まあ僕が担当しなければ、何事なく終わってたカットだったでしょう。
演出家は東京の人ですし、雪に対する思いも北海道の僕とは違っていて当然なんですよ。
この「違って当然」という事を、頭の片隅に置いて物事をすすめる事が必要なんじゃないですかね。
コロナ騒動では、ウイルスが同じでも国によって免疫が違うとかね。
安易にPCR検査をやらないとかね。
安易は良くないよ。