青年箏曲家 澤村祐司さんと初対面

この台風の中、東京から全盲の青年箏曲家・澤村祐司さんが諫早のSさん宅へ遊びに来られたと聞き、会いに行きました。彼とSさんご夫妻とのなれそめは８月１日のブログで、すでに紹介しています。果たしてどんな方なのか、お会いできると知ってから待ち焦がれていました。
畳に正座して「Ｓさんの孫にあたる澤田です」と、冗談交じりに自己紹介されて思わず私も崩していた足を座りなおして深々と頭を下げました。果たして、彼はＳさんの原稿で読ませてもらっていた通りそのまんまの青年でした。握手した手の大きかったこと！すっぽりと包んだ手には硬い練習タコがありました。話の中で彼が日本全国のＪＲをすべて乗った鉄男君でもあると聞いてびっくり。彼の頭にはたくさんの筝の譜面だけでなく、ローカル線の小さなＪＲ駅名も詰まっていることに驚きました。私は視覚障害者の方々に音訳をしていた経験から、晴眼者同様に彼らが自由にあちこちへ出かけられということを知っていましたが、澤村君はそれ以上にパワーとユーモアを持ち、才能を兼ね備えた好青年でした。息子とほぼ同年齢の澤村君を見ていると、明るく前向きな青年に育てれらたご両親の深い愛情を感じずにはいられません。

今回の集まりは、もっと彼を知ってもらい長崎でライブを実現させようという、他のメンバーとの初顔合わせも兼ねたつどいでした。十数年所属してきた「えんぴつの会」の縁で、長崎市内からは小百合さんと私、諫早からＷさんとＫさんに加え、Ｓさんのご主人・尺八のお弟子さんであるＩさんが集まっていました。

宮城道雄作曲の『ロンドンの夜の雨』、澤村君が島崎藤村の詩に自ら作曲した曲を披露してもらえ、箏の音色に引き込まれる時間も持てました。大きな手で押さえられ、しなった弦から醸し出される音色は力強く繊細に響きわたり、私たちの胸を熱くしたのはいうまでもありません。

もっと、もっと彼の名前が知られ、彼の演奏を届けたい！
そんな気持ちがいっそう強くなった２回目の集まりでした。彼は翌日福岡の大川に住むお祖母ちゃんを訪ねて、大好きなＪＲに乗り込んだとのこと。またお会いしましょう！この後すぐ北海道で、九州では秋に熊本・松橋で演奏会が予定されていますよ。