晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

村木嵐(らん)著「マルガリータ」

2010年08月14日 | 
戦国末、ローマに派遣された天正遣欧少年使節。8年後に帰国した彼らを待っていたのは「禁教」だった。4人の内、ある者は道半ばで倒れ、国外に追放され、拷問の中で殉教する。だが、千々石ミゲルだけは信仰を捨てた。切支丹の憎悪を一身に受けながら、彼は何のために生きようとしたのか?ミゲルの苦悩の生涯を、妻「珠」の目から描いてある。

作者は司馬遼太郎さんに仕えた最後のお手伝いさんだったという村木嵐さん。
謎の多い千々石ミゲルの墓らしきものが私の住む近くの町で発見されたという新聞記事を目にしたのは何時だっただろう。おそらく10年も経っていないはず。自身信者でもないのに、私は4人の中で棄教したミゲルがずっと気がかりでした。
豊臣秀吉が帰国した少年使節4人を聚楽第に招待し、ミゲルに「4人の中から一人は仕官して欲しい。でないと伴天連追放令を出した我が身は立つ瀬が無い」と持ちかける。しかしミゲルは4人とも司祭を目指して学問を続けると断わったので、秀吉はさらに「ミゲルが仕官しなければ4人を追放する」と脅すのだが彼らはひるまなかった。「弱ったのう」と秀吉はミゲルに砒素を盛らせたという件は想像上のことなのだろうか。松本清張賞を受賞したこの作品はどこまでがフィクションでノンフィクションなのだろうかと想像しながら、いっきに一日で読み終えてしまいました。

ミゲルは棄教しても心の中では信仰を止めてなどいなかった・・・。殉教を尊いと思い天主教を信奉して喜んで残虐な死を受け入れて行く人々。日本のキリシタンは南蛮人のために殉教を強いられてはならないと、念じ続けていたのです。

「マルガリータ」とはギリシャ語でmargarite真珠のこと。妻の名前が「珠」だったのと、もう一人の信者大村藩主の伊奈姫の2人を指しているのでしょう。
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