やあ お久しぶり 元気?
夏に別れたはずの彼女から電話がかかってきた
紅葉シーズンね どこか連れて行ってよ
僕は別れるつもりはなかった 彼女が突然言いだした
うん いいけど
僕はお人好しだ
僕は愛車で彼女を迎えに行き 滝と紅葉の名所に連れて行った
ねえ どうして別れを言いだしたと思う?
紅葉の流れる川で葉っぱを拾いながら彼女が聞く
あなたの優しさよ それに我慢できなくなったの 自分の身勝手さと比べて
じゃあどうして誘ったんだい?
あなたの優しさよ こんな優しい人 他にいないわ
他の人にあげるのが惜しくなったの
滝の飛沫の中で僕は言った
いいよ 帰っておいで でも 二度と出ていっちゃ駄目だよ
彼女の頬は飛沫で濡れていた
あるいは涙だったのかも知れない