愛詩tel by shig

プロカメラマン、詩人、小説家
shig による
写真、詩、小説、エッセイ、料理、政治、経済etc..

万年筆返さなくちゃ

2018年05月04日 17時17分32秒 | 

ふと思い立って机の引き出しを整理していた
 

転がりでてきた

モンブランの万年筆

彼が大切にしていたものだ
1日だけの約束で借りた

でも、返せなかった
別れたからだ

私の我が儘での、一方的な別れ


彼への思いが、万年筆とともに一挙によみがえってきて

胸が苦しくなった


会いたい・・


おそるおそる彼の携帯に電話してみた


「なんだ、君か 久しぶりだね、何の用?」


冷たい答えにひるみながらも、万年筆のことを告げた


「あーあの万年筆、君の所にあったのか 大切なものなんだ、返してくれる?」


やはり、私はもう彼の心には棲んでいないんだ

でも、万年筆を返すためだけの約束をした


明るいガラス張りの喫茶店

彼は無表情だった


「これ」


「ああ、ありがとう

そうだ、お返しがあるんだけど」


彼は小さな箱を取り出した


開けてみた

ダイヤの指輪だった


「君に渡すつもりで買ったから、誰にも渡せずに困ってたんだ 受け取ってくれる?」


彼は笑顔に変わっていた


そして私は、大粒の涙を流していた

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