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愛詩tel by shig

プロカメラマン、詩人、小説家
shig による
写真、詩、小説、エッセイ、料理、政治、経済etc..

メル友

2009年01月20日 08時26分52秒 | 

知らない人から携帯にメールが届いた

初めまして 僕 有働静夫ともうします 22歳 京都の○○という料亭で働いています
下働きで休みもなく ガールフレンドを作る暇もありません
せめてメル友でもと思って アルファベットと数字を組み合わせて送っています
気持ち悪い と思われるなら そうおっしゃってください
二度とメールは送りません
このメールが男性や 既婚の方に届かないことを祈ります
時節柄ご自愛下さい

断ろうと思ったけれど
友達に相談してからにすることにした
友達曰く 真面目そうじゃん メル友にしてあげたら
あなたも22歳 ぴったりじゃない 彼氏いないし 神戸から近いし
返事した

解りました メル友としておつきあいしましょう
ただ、私の本名はあかせません はる とでも呼んで下さい

あのう すみません はるさん 有働です
友達が飲んだ席で 僕の携帯を奪って勝手にやったことです。
でも もしメル友になっていただけるのなら こんな嬉しいことはありません

彼は礼儀正しく 私が空いてる時間にしか メールをよこすことはないし
会ってくれと頼み込むようなこともなかった
彼は料亭の内幕や 仲間のことを書いてきて 私を楽しませてくれた
私は神戸の町並みや 素敵な場所を紹介した
ひと月ほど過ぎたとき 彼は自分の写真をメールで送ってきた
料亭の調理場で撮ったらしく 色んな調理器具が並んでいる前で
背の高い 感じのいい青年が微笑んでいた
私も神戸の異人館をバックにした写真を彼に送った
私はだんだん彼に興味を持ち始めた
そこで友達と一緒に彼の働く京都の料亭に行ってみることにした
もちろん彼には内緒で
老舗らしい門構えをくぐると小部屋に案内された
小さな庭をみながら 前菜から始まっておすましまで 堪能した
お茶のおかわりを持ってきた仲居さんに聞いてみた

すみません ここに有働さんって方働いて居られますか

ええ ええ 感じのいい今時珍しい青年ですよ
彼が何か?

いえ いいんです ちょっとした知り合いで

あら 呼んできましょう 少々お待ちを

割烹着姿の有働君がやってきて 大きな目を開けて驚いた

参ったな はる さんが来られるならもっといいものをご用意しましたのに

いいえ 十分です とっても美味しく頂きました
これからは はる ではなく 本名の木戸春美と呼んで下さい
それと もうメル友でなく 普通のおつきあいをさせてください
たまにはお休み取れるんでしょ 神戸もご案内差し上げたいわ

京都の料亭で初めてあった 有働君
彼の存在は日に日に私の心を埋めていった
12月に入った
私は彼に一度神戸に来ない? と誘った
なんとか休みをもらって来るという
クリスマスは混むので クリスマス前の平日に来て貰うことにした
約束の11:30に 彼は神戸三宮駅にやって来た
割烹着姿の彼もりりしかったが 普段着もとても素敵だった
そこから港へ行き港の見えるレストランで食事をした
大きなタンカーが行き来していた
支払いの時彼は自分が払うと聞かなかった
そして異人館めぐり
最後に中華街で中華を食べた

どう?プロのお口に合うかしら?

とっても美味しかったよ

ねえ もう一つつきあって欲しいところがあるんだけど

いいよ

私達は神戸ルミナリエの列に並んだ
18:00ちょうどにそれは点灯された その瞬間歓声が上がった
270mに渡り21基の光のアーチが光る 一大光の廊下
まるで光るアラビアンナイトみたい
彼も ほー とため息を付いた
わたしは背が低いのでよく見えなかった
その時彼が私を肩車した がっしりした肩だった

ほら よく見えるだろ

駄目よ 恥ずかしいわ

でも内心は嬉しかった と同時にどきどきした

彼は270mずっと私を担いでくれた
アーチが終わって回廊に来たとき初めて私は降りた
まだ ずーっと彼にくっついていたかったんだけれど
数多くの人がいるため 迷わないようにと言って 初めて彼の手を握った
再びどきどきし 顔が赤くなった
彼を三宮駅に送り 改札で別れた
その時初めて自分が恋をしてるのに気付いた
すぐメールした

好き 有働さん 大好き

彼も返してきた

僕も春美さんのこと 好きです

一番大切なことをメールで伝えたことになったが
きっと目の前では言えなかった
メールに感謝したひとときだった
Ruminarie


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