愛詩tel by shig

プロカメラマン、詩人、小説家
shig による
写真、詩、小説、エッセイ、料理、政治、経済etc..

彼女の賞味期限

2018年04月28日 18時22分58秒 | 

僕は新聞を取らない
朝コンビニに買いに行く

お目当てはレジの女の子
 

二ヶ月ほど通っただろうか

いつものように新聞をレジカウンターに置くと
彼女が言った


「他に買い物はないんですか、おまけを付けますよ」


「おまけって?」


「私よ

気付いてないと思ったの?
私だってあなたが朝、新聞を買いに来るの楽しみにしてたんだから」


こんな風にして僕たちはつきあい始めた


三カ月経った頃、彼女は言った


「そろそろね、私の賞味期限」


「賞味期限?」


「お弁当でもあるでしょ、それを超えると捨てちゃうの」


「だってまだ三ヶ月だよ」


「もう三ヶ月よ、私の魅力、全部使っちゃった

じゃあね」


暗い気持の僕を尻目に彼女は明るく去っていった

その時公園の噴水が勢いよく水しぶきをあげた


僕はもう、そのコンビニには行かなくなった


ところが1ヶ月もしないうちに彼女から電話がきた


「ねえ、新商品が入ったわよ、安くしとくわ、お買い得よ」


「もしかして、君?」


「もちよ」


「でも、賞味期限があるんだろ?」


「ぶー、今度のはね、期限無しなの

あなたなら私の魅力が少々減ったって我慢してくれるって解ったの

いい?」


僕は受け入れた

どんな娘だって、惚れてるというのは、圧倒的な弱みだから

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