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「東京フィルハーモニー会管弦楽部 第二回公開試演 曲目及解説」(1915.6.27)

2020年02月04日 | 作曲家 山田耕筰、松島彝子

     

   Tokyo
 Philharmonic
 Orchilhestra
  conductor
Kóscak Yamada


 東京フィルハーモニー会
   管弦楽部 
    第二回
   月次公開試演

    曲目
     及
    解説


    東京フィルハーモニー会
     管絃楽部
    赤坂区伝馬町三丁目廿ニ番地
      (電話芝五三一九番

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    目次

  曲目
  曲目梗概
  第三回公開試演予告
  楽人逸話

 東京フィルハーモニー会管弦楽部
   ー第二回公開試演
 大正四年六月二十七日(日曜日)午後正一時半
      於 帝国劇場
   指揮者 山田耕作

   独唱 外山國彦(バリトン)
      船橋榮吉(テナー)
   合唱 有志 

   ー曲目

 一)歌劇「アブ、ハッサンの序曲」(初演) ヴェーバー曲
 二)管弦楽伴奏附男声合唱(初演)     ブールック曲
     「テルモピーレの敗北者に」
 三)ズィンフォニー第拾壹番(初演)    ハイドゥン曲
    い、アダーヂォーアレッグロ
    ろ、メヌエット
    は、フィナーレ

      -休憩-

 四)管楽五部合奏曲「パストラール」(初演)ピエルネ曲
 五)歌劇「帰郷」中の二部合唱(初演)   メンデルスゾーン曲
 六)アルルの娘              ビゼー曲
    い、プレリウード
    ろ、メヌエット
    は、アダーヂォ
    に、カリロン

    曲目梗概

    予告 第三回公開試演

    楽人逸話

  一 誤解

 ヴェーバーがフライシュッツの総譜を書き上げた時、批評をして貰ふつもりでそれをベートーヴの許へ送った。ベートーヴェンはそれを仔細に調べた上ヴェーバーに極めて簡単に、『今後は一切オペラをお作りにならぬやうに』と書き送った。
 賞讃の言葉を予期してゐたヴェーバーは此返事に対して不満の感じを持たずにはゐられなかった。そして、何時か機会を見て、親しくベートーヴェンに面談し、その訳を訊さうと思って居た。
 或日の事であった。機会を得たヴェーバーは、極めて不満さうに、何故、自作のフライシュッツを悪評したかと云ふ事をベートーヴェンに詰った。ベートーヴェンは笑ひながら、
 『悪評ですって? なにそんな事があるもんですか、その反対ですよ。私はあれ程いゝオベラは、今までは勿論の事今後とても出まいと思った程、感心したので、それで、「今後は一切オペラをお書きにならないやうにと」申上げたまでゞす。』

  二、ハイドゥンとメヌエット
  三、未婚者のお祈り
  四、ビゼー誤って勲章を授けらる


 カルメンが初めて上演されようとした時どういふ訳だったか急に延期になった。
 作者の友人達は、此の上演の機を幸にビゼーの為に勲章を貰ってやらうと企てゝゐたのだが、丁度その時、殆ど危篤の報さへ伝へられたビゼーが、その興行延期のために、その名誉を存生中に擔ふ事が出来るか何うかを一様に心配した。それで、その中の一人が、早速大臣に面会を求めて、有名なビゼーに対して名誉の勲章を與へられん事を懇願した。すると大臣は解せないやうな顔付で、
 『一体ビゼーとは誰です?』と訝った。
 『あの、いろいろな有名な作物をした藝術家ですよ』
 『いろいろな作物‥‥‥? で、例へばどんなものです。』
 『ま、何を置いても、あの「アルルの娘」ですね。』
 大臣は急に驚いて、
 『え-あの「アルルの娘」? ありやあ実に立派な作です、私もあれは非常に好きです、あの作者はまだ頌表されてゐませんでしたか? ではお帰りになったらすぐ仰しやって下さい。勲章はすぐに下げるやうにいたしますから‥‥‥。』
 かういふわけでビゼーは勲章を貰った が実は大臣は「アルルの娘」の音楽を書いた楽聖ビゼーと「アルルの娘」の戯曲を書いた文豪ドーデーとを取り違へてゐたのであった。

    注意

 〇月次公開試演と云ふのはいつも帝劇で月末日曜日の午後に開くのです
 〇七、八、両月は劇場の都合上開催いたしません。
 〇然し暑中納涼音楽会の様なものを鶴見の花月園で開く事になって居ります
 〇予約券は但し此種の会には通用いたしません

    東京フィルハーモニー会
      管絃楽部
   
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 ・毎月第三日曜演奏 音楽普及会 會員募集 臨時入場金参拾五錢 事務所本郷西片町十にノ十九

 ■本會は米国ビクタア会社と特約し、毎月同会社製の新譜全部をとり寄せ演奏会ごとに御聴かせいたします。故に居ながらにして欧米の最新楽潮を我国に於いて最も早く知ることが出来ます。
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 ・夏期 講習会  期日 九月上旬 演劇=小山内薫 舞踊=西本朝春 音楽=山田耕作
      (委細は本会事務所へ承合せらるべし)
   会場 赤坂区伝馬町三ノ廿ニ 東京音楽協会

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