蔵書目録

明治・大正・昭和:音楽、演劇、舞踊、軍事、医学、教習、中共、文化大革命、目録:蓄音器、風琴、煙火、音譜、絵葉書

『大眼目』  (1935.11ー1936.2)

2011年09月21日 | 二・二六事件 2 怪文書

 ○ 大眼目 第一号 (毎月1回発行) 昭和十年十一月二十三日発行 発禁:十一月二十四日

            編輯発行兼印刷人 福井幸 印刷所 実業之世界社 印刷部 発行所 大眼目発行所

  ・国体明徴とは何ぞや 〔下は、その最初の部分〕

   国体明徴とは何ぞや。
   神詔を体して此の日本国を肇建し給へる神武国祖の御理想ー而して明治天皇によりて最も明白にされたるー即ち、君民一体、 一君万民、 八紘一字の謂である。
   日本国民の営む所の思想的生活、政治的生活、経済的生活、全生活は之れを大本とし之れを理想とすべく、而して日本国の制度方針は此の国民の此の生活に相応はしき所のものでなければならぬ。
   総じて日本的生活ー日本の一切は此の御理想即ち国体を生活することである。    
   
  ・対外策と国家改造 英露を敵とすべき第二大戦の秋 到来ー国家改造は焦眉の急だ
  ・国債増発積極予算の編成を要求する 当局の詭弁欺瞞を看破して 国家財政の実力に起て

  ・相沢中佐の公判について
  ・粛軍の本義 相沢中佐蹶起の真因
  ・第三軍縮会議を決裂せよ
  ・国体明徴に関する国民当面の要望
  ・順逆不二の法門 〔下は、その最初の部分〕

   維新革命とは、天皇政治が代官政治に堕落するに到るや新たなる天皇政治を再建せんとする国民的運動なり。

           

 ○ 第二号 昭和十年十二月二十五日 発行 発禁:昭和十年十二月二十四日   

   革命とは未顕現真実を現前の一大事実となす事なり。恰も地震によりて地下層の金鉱を地上に揺り出す如し。
   経に曰く大地震裂して地湧の菩薩出現すと。大地震裂と過ぐる世界大戦の如き来りつゝある世界革命の如き是れなり。地湧の菩薩とは地下層に埋るゝ救主の群と云ふ事則ち草沢の英雄、下層階級の義傑偉人の義なり。

  ・相沢中佐の公判に就いて 
  ・公判を機に全維新 戦線の前進統一へ
  ・維新史より見たる永田事件
  ・順逆不二の法門
  ・予算編成に暴露せる 軍部の非維新性
  
  ・維新途上の国家在世は 如何なる方針をとるか 国家の全富力を抵当とする公債の 大増発大予算の編成を要求せよ
  ・維新的経済組織の大眼目
  ・私有財産制の否認に非ずして その合理的制限の制度化にあり
  ・当面の対外問題
  ・戦闘的同志の道

 ○ 第三号増刊 昭和十一年一月十七日 発行納本  発禁:昭和十一年一月十六日      
 
  ・渡辺教育総監に呈する公開状 〔下は、その最初の部分〕

   教育総監閣下。
   天皇機関説が国体の反逆の不逞思想であり、其の信奉者が逆臣国賊であること、従つて是れは断じて芟除せざるべからざるものであることは、今更此処に申述べるまでもない。
   一木喜徳郎、美濃部達吉、金森徳次郎氏等が、彼等を庇護し支持する同質の勢力系統等と共に挙国的弾劾を受けて居ることは固より其の所である。
   然るに近時「陸軍に潜む天皇機関説信奉者を芟除すべし」「渡辺教育総監こそ這個の不逞漢なり」の聲日を逐うて激化。実に閣下その人が彼の一木、美濃部、金森氏等に亞いてーー否、教育総監たり陸軍大将なるが故に却て彼等よりも遥かに重大に関心され弾劾されるに至つたとは、何事であるか。

 ○ 第四号増刊 昭和十一年二月二十五日 発行 7面 発禁:昭和十一年二月二十三日   
 
  ・〔相澤中佐の写真〕
  ・相沢中佐公判記録

   相沢中佐公判の内容は、我れ人ともに今日最も知らんことを欲し又知るを要する所である。茲に其の第一回乃至第四回の公判記録を送る。本記録は速記ではないが、速記に最も近き苦心の結果であることを断言する。        編輯同人識

    「公判第一日(一月二十八日)」
    「公判第二日(一月三十日)」
    「公判第三日(二月一日)」
    「公判第四日(二月四日)」)
  ・参考(秘)教育総監更迭事情要点 七月十六日 村中孝次
  ・極秘 軍閥重臣閥の大逆不逞 昭和十年七月二十五日 維新同志会同人

〔蔵書目録〕

 『二・二六事件ー研究資料Ⅲ』に、次の記述がある。

   印刷物大眼目ヲ二十四日夜約五百部受領シ日夕点呼ノ際週番士官ニ六、七部宛分配ス其ノ際ニ於ケル山口大尉ノ言左ノ如シ①中隊長ニ見セ然ル後下士官、兵ニ分配スヘシ②単ニ(分配スヘシ)③幹部ニ見セ次テ兵ニ分配スヘシ④単ニ(兵ニマテ分配スヘシ)

 また、この「大眼目」について、『右翼思想犯罪事件の綜合的研究』には、次の記述がある。

 更に直心道場は皇道派民間団体の牙城として西田税の指導下に雑誌「核心」「皇魂」及新聞紙「大眼目」等を総動員して相澤公判の好転、維新運動の推進のため宣伝煽動に努めつゝあつたが、就中「大眼目」は西田税、村中孝次、磯部浅一、渋川善助、杉田省吾、福井幸等を同人として、宛然怪文書と異なる所なき筆致を以て「重臣ブロック政党財閥官僚軍閥等の不当存在の芟除」を力説し、「革命の先駆的同志は異端者不逞の徒等のデマ中傷に顧慮する所なく不退転の意気を以て維新革命に邁進すべき」ことを煽動し、之は軍内外に広汎に頒布する等暗流の策源地たるの観を呈して居つた。



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