蔵書目録

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歌劇 「連隊の娘」 帝国劇場 (1914.2)

2020年06月28日 | 帝国劇場 総合、和、洋
   

 大正三年二月狂言

     ドニツエテイ作曲
     小林愛雄譯
     ローシー指導
 第一 歌劇   聯隊の娘  一幕
 第二 時代劇  淸水淸玄  二幕
     田口掬汀新作
 第三 喜劇   留守宅   一幕     
 第四 時代劇  本藏下屋敷 一幕 二場
     山岸荷葉新作
 第五 喜劇 浄瑠璃 スケート  一幕

 第一 

 一 ホルテンシオ(侯爵夫人ノ家扶)  南部邦彦
 一 ズルピッツ(曹長)        淸水金太郎
 一 マリー(娘酒保)         原信子
 一 トニオ(青年農夫)        松山芳野里       
 一 伍長               柏木敏
 一 墺太利擲弾兵           石井林郎
 一 同                服部曙光
 一 同                小島洋々
 一 同                菅雪郎
 一 伊太利農民            河合磯代
 一 同                中山歌子
 一 同                澤美千代
 一 同                湯川照子
 一 同                石神たかね
   其他侯爵夫人擲弾兵農民等

     帝國劇場管絃樂部員
     竹内平吉指揮

     ドニツエテイ作曲
     小林愛雄譯
     ローシー指導
  第一 歌劇   聯隊の娘  一幕

 『墺太利 オーストリー テイロル山間の地方』上手に小舎 こや 、下手にとある村外 はづ れの家二三あり、背景には山見ゆ、農民大勢丘の上に立ち遠方の眺め、女共は聖母マリアの石像の前に跪 ひざま づき、侯爵夫人は家扶ホルテンシオに扶 たす けられ上手の石の上に勞 つかれ を休む、遠く太鼓の音聞え、銃の響漸 やうや く近づく、此侯爵夫人は家扶を連れて旅行する中 うち 、測 はか らずも戰爭の渦中に飛込み逃場を失ひたるものにてホルテンシオに命じて馬車を探し求め、難を傍 かたはら の小屋に避く曹長ズルピッツに續いて聯隊の娘と言はれ居る少女マリー出來 いできた れば、老曹長は『何だか、つひ昨日の事のやうだ、佛蘭西 フランス 軍が逃走して、道は破れた車や、容赦を願ふ人民で一杯だつた、所が不意に馬の足元に棄兒 すてご が居てな、笑顔を作つて我々の方へ可愛い手を延ばしたのよ』とマリーの戰場の棄兒にして、兵士等の手厚き介抱の下に人となり第二聯隊の娘と呼ばるゝやうになりし仔細を語り『お前と一緒に妙な書物を拾つたけれど、要領を得ないので、今でも衣嚢 ポツケツト に入れて歩いて居るのだ』と謂ひ、マリーに戀人の出來し噂ありとて其眞僞を尋ぬれば、マリーは岩間の花を手折 たを らんと足を滑らして打倒れ、折好く居合せし瑞西 スヰツル の若き男の親切なる介抱を受け、遂に戀に陥りしも、其男とは敵味方どうせ二度と會へる譯のものでなしと告げ、ズルピッツの心を安んず、茲へマリーの戀人トニオはマリーに逢はんとて浮々 うかゝ 敵中に入り、捕へられ出來り、兵士等は敵の間諜なり軍法に照らし死刑にせんと犇 ひしめ けば、マリーは吾が命を救けし恩人なりと、衆を宥 なだ む、是にて人々心を和 やはら げ、トニオを拉 らつ して戰線に入る、トニオ又立歸りマリーと戀の歌を唄ふ、ズルピッツ出來りて之を妨げトニオを追遣り、マリーも續いて退場す、侯爵夫人出來り、其口よりしてマリーの父タアルハイム大尉は侯爵夫人の妹の良人 をつと にして、マリーは實に夫人の姪なるのみならず、夫人の財産と名前の唯一人の相續人なる事も分明し、マリーは父と呼び、子と呼ばれし聯隊を後に夫人等に連れられ、名殘惜し気に立去れば、兵士は孰 いづれ も捧げ銃をなし、トニオは絶望の姿にて帽子を足にて踏付ける此模樣宜しく幕


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