著者は地震が起きた翌日には福島に向かい、その後福島第一原発周辺の市町村を回った。また、同原発の作業員が語った原発事故の様子、避難した人びとの話、東電・政府・メディアによる原発事故の隠ぺい、拡大する放射能被害、福島の子どもたち、チェルノブイリでの原発事故からわかること、そして今後のことが書かれている。
著者は、福島の原発事故が「戦争での情報管理に似ている点もある。都合のいいことだけを発表し、都合の悪いことは隠す。」そして、「戦争と原子力災害に共通なのは、『加害者は市民の被害を隠す』ということである。」(80頁)
また、福島の人々の間では、「人に会ったとき、洗濯物をどこに干しているかを聞いて、家の中で干していると聞けば、その人は放射能に注意しているわけだから、原発の話ができるのだ」ということになっているという(143頁)。