本書は、鈴木さんの読書について書かれたものの中から厳選された文章の集まりである。数年前や30年前に書かれたものだったりと、時間的にもバラエティにとんでいる。鈴木さんが、『「『好きなもの』だけ読んでいたら、本当にこれが好きなものかどうかがわからない。いろんな本を読んで、はじめてこれが好きだってわかる。」(193ページ)といっていて、そのために文学全集やら思想全集のものを読むのがよいというのは、自然とわかったし、今後やってみるつもりだ。
なお、鈴木さんは、講演会などで忙しいにもかかわらず、毎月30冊の読書ノルマを自らに課していて、ある年だけわずかに足らないことがあった以外はそのノルマをこなしているというから、猛読家と言ってよいだろう。