ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

“有口無行” の爺さん

2019-10-22 07:01:29 | 世相
 “有言実行”、“不言実行” という四文字熟語があります。この頃は  “有言実行”の方が、より価値ある生き方と考えられているようですが、どちらも見倣うべき人生訓です。

 これらと正反対の意味を持つ四文字熟語があることを、つい最近ネットで知りました。“有口無行”という言葉です。口先ばっかりで何もしない、という意味だそうです。今回は、この言葉を体現しているような爺さんの話です。

 東屋が2つある公園は、週1回だけ巡回しているゴミ拾いコースにあります。このところゴミ拾い仲間が新たに加わってくれたらしく、随分キレイな公園になりました。

 ここは毎朝10時頃になると、70~80歳代の爺さん数人がお喋りを楽しみに集まって来る公園でもあります。彼らは同じ会社のOBで、現役時代から気のおけない仲間だったようです。

 先日、その東屋のある公園西側入り口に着いてみると、少し離れたプレハブの物置小屋の前に大きなゴミ袋が2つ放置されているのが見えました。ひとつは大きな黒いビニール袋、もう一つもやや大きめのレジ袋でした。

 レジ袋の方はカラスに啄っつき回されたのか、中味の生ゴミがそこら中に散らかっていました。例の爺さんたちは、そのゴミ近くのベンチでダベっていました。ゴミなど素知らぬふり、これも相変わらずです。

 この惨状を見るなり私は、手始めにこの片づけから始めるしかないと決めました。

 作業中の私にこう声をかけて来たのは、彼らの中でも飛びっきりお喋り好きの爺さん。
「これは家から持ち込んだゴミだね。この公園、以前はゴミ箱が置いてあって、そのときも家庭ゴミを持ち込んで捨てる奴がいた。あまりにヒドイので市役所に言ってやったよ、どうにかしてくれと。」

 さもさも、自分が言い出しっぺでゴミ箱がなくなったと自慢しているように聞こえたので、
「それは10年以上前の話ですよね。何でも、この公園だけの問題じゃなかったそうなので、市の方針で市内全部の公園からゴミ箱を撤去したそうですよ。」と、諫めたつもりの私。

 それでもこのお喋り好きの爺さん、めげません。
「何せゴミを拾っても、その端から子どもたちが散らかすもんだから・・・」

 まるで自分がゴミ拾いをやっていたように話すものだから、ついこう言い返してやりました。
「悪いのは子どもたちじゃないですよ。大人が悪いから子どもがマネをするんです。タバコの吸い殻だって、そのまま散らかしっぱなしにしているのは大方年寄りなんですよ。
 見ての通り、あんなに散らかっていた生ゴミでも片付けるのに10分もかかっていない。普通ならペットボトルや菓子袋だけですから、公園全体でも10分もあれば済みますよ。」

 何もしない人へのちょっとした嫌味のつもりでしたが、そんな私の皮肉も何処吹く風、件のお喋り好きの爺さんはプロ野球談義に話題を変えてヘラヘラお喋りを続けていました。

 嫌味も皮肉も全く通じない、何とも喰えない “有口無行” の爺さんでした。まぁ、あれだけ神経が図太くて口も達者なら、100歳までも長生きすること間違いなし、でしょうネ?

 ところで、もう一方の大きな黒いビニール袋、啄っつき回されても中味が飛び出ていませんでした。よく見ると、袋が二重になっていたのです。カラス対策にはこんな手もあるのだと納得しました。



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