ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その1)

2015-09-04 20:17:29 | 悪文見本市
 以前書いたものを読み返してみて、正真正銘これは欠陥だらけの悪文だと思いました。書いた当時、悪文を書いているという自覚は全くありませんでした。在職中、メディカル・ライティングの業務に就いていた自負もあり、正直ショックを受けました。

 私は断酒継続中のアルコール依存症者として、その時々の事実関係と、どのような症状であったのかを記録として残そうと思い立ち、このブログを始めました。出来るだけ正確に症状を記録することが目的で、読者に心情を共感してもらうことが目的ではありません。文芸作品のような技巧を駆使した描写をするつもりはありませんし、そのような技巧を持ち合わせてもいません。つまり、あくまでも “ありのまま” の記述を心掛けているつもりです。

 私の書いたものが、経験した事柄の記録であるばかりでなく、文章そのものが記述時の思考プロセスを記録したものでもあることに気付きました。普通、読み返してみて何か変と違和感があれば手直しするのが当たり前ですし、当然、投稿当時も何度か読み返していたはずです。ここに挙げた文例は、そんな読み返しと推敲の手順を踏んでいたにもかかわらず、網の目をすり抜けていた事例です。

 当時は、文章にどこか違和感があっても、どう手を入れたらよいか分からなかったのだと思います。注意力が散漫だったせいばかりでなく、思考プロセスにも問題があったのではないかと考えました。“思考プロセス障害” の参考例となれば投稿した甲斐があるというものです。


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【事例1】
 トップ・バッターは断酒10ヵ月後の最初の投稿からです。(「ハイテンションになると危ない!」より)

 「AAからの帰り道、一時的にひどく遣る瀬ない気持ち(やるせなさ:何かに向けたいけど何処に向けたらいいか分からない不穏な気分)に襲われました。断酒後に度々襲って来る酒を飲まずにはいられないような情緒不安定な心理状態です。」
      
 「AAからの帰り道、一時的に胸がひどくザワザワした不吉で不穏な気持ちに襲われました。断酒後に度々襲って来る酒を飲まずにはいられないような情緒不安定な心理状態です。」

 不意に襲ってきた病的気分は、“胸騒ぎ” の感覚に近いながら、格段にひどく激しいものでした。その原因が何なのか、“めまい” に襲われたときにも似て意識をどこに向ければいいのか分からない心境でした。目当てとする的確な言葉がどうしても浮かばなかったので、上記の下線部分の表現、“遣る瀬ない” になってしまいました。“遣る瀬ない” が最も近いと感じたのです。ほぼ9~10ヵ月後になって、やっと浮かんで来た言葉が「不穏」、次いで「不吉」でした。焦がれた言葉にやっと出会えた気持ちでした。“胸騒ぎ” に近いのですから、もっと早く浮かんできてもよさそうなものです。参考のため浮かんで来た言葉の変遷を以下に示しておきます。


 言葉の変遷:
 ○胸がひどくザワザワ→(原因あるいは由来を探るために)どこかに(意識を)向けたい
  けど何処に向けたらいいか分からない→遣る瀬ない;(本来、“遣り場のない” が正し
  い)
 ○極端にひどい胸騒ぎ(軽いときは空回り)→不穏→不吉で不穏

【事例2】
 次の事例は、断酒10ヵ月後の2回目の投稿からです。(「私の底着き体験・断酒の原点」より)

 「飲酒欲求が優しそうに変装した慢心や油断は思わぬ時に顔を現わしてきます。いつ何時現れてくるのか分かりません。」
     
 「飲酒欲求は慢心や油断の陰に隠れ、優しそうな姿に変装して思わぬ時に現われてくるそうです。いつ何時現れてくるのか分かりません。」

 この時は、“慢心”、“油断”、“優しい” という言葉がランダムに浮かんで来たものと思われます。次いで “変装” を思い付いたのでしょう。これらの言葉に引き摺られた結果、上記の下線部分の表現になりました。一見文芸作品風の表現になってしまい、決して論理的な表現とは言えません。投稿時にも違和感があったとは思いますが、適切な表現が浮かびませんでした。元の文でもニュアンスは伝わるものの、柄でもないのでより説明文風に改めました。

【事例3】
 3番目の事例は、断酒11ヵ月後の7回目の投稿からです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その1)アルコールとの馴れ初め―プロローグ」より)

 「入試直前の気の緩みから来るえもいわれぬ不安と、入試前夜に緊張で眠られなかったのが祟り、・・・」
    
 「気の緩みとその後ろめたさから、入試直前にはえもいわれぬ不安と緊張が募っていました。その挙句に(の)入試前夜、一睡もできなかったのが祟り、・・・」

 “気の緩み” と “不安”、“緊張” との関係が曖昧になっています。元の文でもニュアンスは伝わるとは思いますが、これらの言葉の因果関係を交通整理して当時の心境を表現し直しました。助詞が “に” なのか “の” なのかについても、今でも迷ったりしています。

【事例4】
 4番目の事例は、断酒11ヵ月後の同じ7回目の投稿からです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その1)アルコールとの馴れ初め―プロローグ」より)

 「坐ったまま思いっきり漕いでブランコから飛び離れ、危険防止のためにブランコを囲った鉄製の柵を飛び越えるという遊びもしました。」
  
 「坐ったままブランコを思いっきり漕いで勢いをつけ、そのまま飛び出して危険防止用の囲いの柵を飛び越えるという遊びもしました。」

 受験当時の行動の順にそのまま記述した部分です。肝腎要の言葉 “勢い” が思い付かず、それを欠いているため未熟な印象となっています。さらに、後半の “柵” の修飾語が述語を含む節であることから、全体的に諄い印象となっています。投稿時どこか違和感があったのですが、肝腎要の言葉が欠けていることに気付かないままに投稿していました。“勢いをつけ” を補い、修飾語の節の部分を簡潔な句に改めてみました。やっと、思いの丈が伝わるようになりました。

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 いかがでしたでしょうか? 思いを表現できないでいるヒゲジイのもどかしさをご理解いただけましたか? 想起障害は今でも悩みの種です。私のブログを読んで違和感を覚えた際は、元々文才がない上に想起障害も抱えているのだから・・・と、大目に見てやってください。
次回に続きます。


「ボケが始まった?(急性離脱後症候群:PAWS)」も併せてお読みください。
 http://blog.goo.ne.jp/19510204/e/9c6d1fc08d197902061b8e0ee33adb6a


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コメント (6)
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