酒好きな人ならば、酔って記憶が飛んでしまい、その間に何があったのか全く覚えていない経験をしたことがあると思います。
居酒屋でしこたま飲んで家に帰ろうとしたまでは覚えているが、気が付いたら自宅の玄関の床で寝ていたなどよくある話です。酔っていても意外とシッカリしているんだなぁと妙な自信を持ったりしてしまいます。
それからしばらくは反省して気を付けるようにしますが、そのうち危なかったことをケロッと忘れてしまい、ご愛嬌だったなぁと再犯してしまうものです。肝心の記憶がなく結果的に無事だったことで、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」を地で行ってしまうのが常ではありませんか?
それが不審な行動をするらしいという疑いを周りの人に湧かせてしまうと大変です。
仕事のチーム全員で東京へ出張した40歳代初め頃のことです。担当する化合物の臨床開発業務で最終段階に入る大きな臨床試験(治験)のキックオフミーティングを夕方から開催し、無事終わって気持ちが昂揚していました。宿舎のホテルの部屋に戻ってから、ひとりで多目にアルコールを飲み直してしまいました。何時寝たのか分かりません。
翌朝は普通に目覚めました。ほぼ全員がそろっていた朝食の席で開口一番、上司が「昨夜、N子さんの部屋に男の声で不審な電話があったそうだ。心当たりの有るものは注意するように」と発言したのです。私はドキッとし、一瞬で顔が変わって表情に出たように感じました。記憶はないのですが、“心当たり” はありました。
N子嬢は中途入社の新人で、私のチームに属していました。スラリとしたお尻のキレイな体型で、愛嬌のある丸顔でした。今思い返してみるとオカメ顔なのですが、私の好みのタイプでした。
その頃の私は大規模な治験をいくつも抱え、自分の手に余る状態でした。仕事のストレスが極限にまで溜まっていたのでしょう。精神的に大分マイッテいました。それに加えてチーム内の女子社員に心を奪われるとなっては大問題になりかねません。気を紛らわすため、出張の時にホテルに風俗嬢を金で呼ぶようになっていました。自慰をするよりはマシですが、その程度のことです。満たされることはありません。明らかにSex依存にまで精神に異常を来していたと思います。これが “心当たり” の伏線です。
以上は振戦がまだなく、アルコール依存症までは進行していなかった頃の話です。後日談ですが、N子嬢はチーム内の社員と社内結婚しました。影の仲人は私とみられていました。
バツが悪くて居たたまれない程度であれば、まだご愛嬌でしょう。恐ろしいことに、記憶が飛んでいるうちに人を殺していたというブラックアウトの事例も実際にあったそうです。
ごくたまに酒で記憶が飛ぶ程度ならその酒を控えればよいのですが、“朝から酒” のような連続飲酒状態となると、ジグソーパズルの絵から所々パーツが欠けたように記憶が断片的になってしまいます。酒で覚えてないことが多く、頻繁に記憶が飛ぶようならアルコール性認知症の危険性が高いそうです。とどのつまり、痴呆になってしまうのです。ご愛嬌などと暢気に言っていられません。心に重いものを抱えていると危険です。
ブラックアウトはアルコール依存症になっていなくとも大量に飲酒した時に起こる急性アルコール障害のひとつだといいます。俗にいう “目が据わった” 状態のことです。
社団法人アルコール健康医学協会・常務理事の古屋賢隆氏によると「吸収されたアルコールは血液に流れ、脳へと到達して神経細胞を麻痺させます。深酒をして記憶の保管庫である海馬が麻痺すると、短期的な記憶ができない “ブラックアウト” の状態になるのです。また、飲酒は理性を司る大脳皮質の活動も低下させます。酔うと気が大きくなるのは、抑えられていた本来の感情が出るからでしょう」とのことです。
記憶にないときの自分の行動・言動を第三者だけが知っている。記憶が飛んでしまった時の自分の行動・言動を実際に友人に聞いてみた人もいます。共感できますが、とても勇気が要りますよね。
どうですか、とても不気味で不安になりませんか?
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居酒屋でしこたま飲んで家に帰ろうとしたまでは覚えているが、気が付いたら自宅の玄関の床で寝ていたなどよくある話です。酔っていても意外とシッカリしているんだなぁと妙な自信を持ったりしてしまいます。
それからしばらくは反省して気を付けるようにしますが、そのうち危なかったことをケロッと忘れてしまい、ご愛嬌だったなぁと再犯してしまうものです。肝心の記憶がなく結果的に無事だったことで、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」を地で行ってしまうのが常ではありませんか?
それが不審な行動をするらしいという疑いを周りの人に湧かせてしまうと大変です。
仕事のチーム全員で東京へ出張した40歳代初め頃のことです。担当する化合物の臨床開発業務で最終段階に入る大きな臨床試験(治験)のキックオフミーティングを夕方から開催し、無事終わって気持ちが昂揚していました。宿舎のホテルの部屋に戻ってから、ひとりで多目にアルコールを飲み直してしまいました。何時寝たのか分かりません。
翌朝は普通に目覚めました。ほぼ全員がそろっていた朝食の席で開口一番、上司が「昨夜、N子さんの部屋に男の声で不審な電話があったそうだ。心当たりの有るものは注意するように」と発言したのです。私はドキッとし、一瞬で顔が変わって表情に出たように感じました。記憶はないのですが、“心当たり” はありました。
N子嬢は中途入社の新人で、私のチームに属していました。スラリとしたお尻のキレイな体型で、愛嬌のある丸顔でした。今思い返してみるとオカメ顔なのですが、私の好みのタイプでした。
その頃の私は大規模な治験をいくつも抱え、自分の手に余る状態でした。仕事のストレスが極限にまで溜まっていたのでしょう。精神的に大分マイッテいました。それに加えてチーム内の女子社員に心を奪われるとなっては大問題になりかねません。気を紛らわすため、出張の時にホテルに風俗嬢を金で呼ぶようになっていました。自慰をするよりはマシですが、その程度のことです。満たされることはありません。明らかにSex依存にまで精神に異常を来していたと思います。これが “心当たり” の伏線です。
以上は振戦がまだなく、アルコール依存症までは進行していなかった頃の話です。後日談ですが、N子嬢はチーム内の社員と社内結婚しました。影の仲人は私とみられていました。
バツが悪くて居たたまれない程度であれば、まだご愛嬌でしょう。恐ろしいことに、記憶が飛んでいるうちに人を殺していたというブラックアウトの事例も実際にあったそうです。
ごくたまに酒で記憶が飛ぶ程度ならその酒を控えればよいのですが、“朝から酒” のような連続飲酒状態となると、ジグソーパズルの絵から所々パーツが欠けたように記憶が断片的になってしまいます。酒で覚えてないことが多く、頻繁に記憶が飛ぶようならアルコール性認知症の危険性が高いそうです。とどのつまり、痴呆になってしまうのです。ご愛嬌などと暢気に言っていられません。心に重いものを抱えていると危険です。
ブラックアウトはアルコール依存症になっていなくとも大量に飲酒した時に起こる急性アルコール障害のひとつだといいます。俗にいう “目が据わった” 状態のことです。
社団法人アルコール健康医学協会・常務理事の古屋賢隆氏によると「吸収されたアルコールは血液に流れ、脳へと到達して神経細胞を麻痺させます。深酒をして記憶の保管庫である海馬が麻痺すると、短期的な記憶ができない “ブラックアウト” の状態になるのです。また、飲酒は理性を司る大脳皮質の活動も低下させます。酔うと気が大きくなるのは、抑えられていた本来の感情が出るからでしょう」とのことです。
記憶にないときの自分の行動・言動を第三者だけが知っている。記憶が飛んでしまった時の自分の行動・言動を実際に友人に聞いてみた人もいます。共感できますが、とても勇気が要りますよね。
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