南海鉄道争議657名高野山ろう城②応援! 1927年の労働争議(読書メモ)
参照「協調会史料」
「南海電車ストライキの追想」上野孤舟
南海鉄道株式会社労働争議②
南海鉄道争議への応援
(南海争議応援共同委員会の立ち上げ)
7月13日に南海電鉄争議が勃発するや、ただちに以下の団体、労組で「南海争議応援共同委員会」が組織された。
南海争議応援共同委員会
・日本農民組合
・関西合同労働組合
・統一運動大阪地方同盟
(評議会大阪地方評議会、関西電気従業員組合、大阪俸給者組合、大阪刷子工組合、大阪統一労働者組合、朝鮮労働総同盟聯合会)
・交通総聯盟
・関西聯盟
・市電自助会
・水平社労農党支持聯盟
・青年同盟大阪府支部
・労農党大阪府支部聯合会
応援方針
(統一運動大阪地方同盟)
①南海電車争議を共同応援すること
②統一運動大阪地方同盟が指導統括すること
③交通産業代表者会議の開催し、南海鉄道争議支援のため短時間でもゼネラルストも対峙し、ブルジョワ専制主義に脅威を与えること
④檄ビラ「南海同志会諸君」「南海争議を全交通労働者に拡大せよ」をすぐに作製し各関係者に送ること
⑤警察当局はいつ何時検束を開始するやもしれないので、各自潜伏場所に注意すること
⑥労働農民党大阪府支部聯合会及大阪評議会は共同協議会を組織すること
(交通産業代表者会議から南海争議団への「檄文」)
諸君の要求は正当だ
諸君の行動もまた当然だ
会社は諸君のこの正当なる要求に対して何をもって答えたか
四カ条の要求を即時拒絶と幹部の馘首だ
その理由がデタラメだ
未成年者や婦人をふくむ同志会が政党加入の決議をしたからだー
諸君果たしてそうであったか
否同志会は階級的無産政党たる労働農民党を支持して今後の運動を進めるから会員は自ら進んで入党しようと決めたではないか
全会員諸君!
会社はこんなコジツケを言って諸君の団結を打ち壊し諸君の切実な要求を蹂躙しょうとしているのだ
全会員諸君
我らは会社のかかる奸策を諸君と共に全労働者を代表して断乎として反対し諸君の争議をあくまで応援する
諸君の争議は全労働者のーー特に交通運輸労働者に影響するんだ
全国の兄弟は諸君の勝利を熱望している
すでに関西の交通労働者の代表者会議は交通総聯盟の下に開かれるようになっている
勝利は目の前だ
勇敢に最後まで闘え
南海の争議を全交通労働者に拡大せよ
会社の横暴を絶滅せよ
以上
(労働農民党大阪府支部聯合会)
①大阪市電自助会に働きかけ、交通産業代表者会議を組織発展させ、1分間もしくは5分間の同情ストライキを行うこと
②南海電燈料金値下げ要求で、南海沿線住民大会を開催し一般民衆にアジテートすること
③小宮山富枝(評議会)を隊長とする婦人隊の活動で罷業団の家族を慰問すること
④争議基金(カンパ)袋を作り各方面に配布すること
⑤決議文を南海本社に提出すること
⑥争議共同応援委員会は統一運動大阪地方同盟が指導統括すること
⑦労働農民党として多数の闘士を派遣すること
(日本農民組合)
14日午後4時、日本農民組合は中央委員会を開き以下決定した。
①会社の組合弾圧が明白のため、無産階級的立場から極力応援すること
②日本農民組合本部から各聯合会に対し「遂に横暴なる南海会社と戦端を開いた南海同志会を極力応援せよ」と指令をだすこと
③日本農民組合本部として高野山に代表を派遣し慰問すること
農民組合の指令書
大根でも芋でも送れ
全国八万の組合員に指令す
日本農民組合総本部では全国八万の組合員に檄し、応援金応援米その他芋でも大根でも高野山に送れと指令し、ただちに代表西光万吉氏(全国水平社設立の中心人物で、水平社旗の意匠の考案者および水平社宣言の起草者)を特派し争議団を激励した。
争議団の高野山より第一報
ブルジョワ新聞の報道は皆嘘だ
千数名の争議団の意気益々昂る !
全国から集まる軍用金の応援と雨のごとく注ぐ檄電、勇敢なる応援闘士の激励演説等いやが上にもあがって意気旺盛だ。
会社の誤魔化し政策に乗って裏切りを勧めに来た争議団員の家族たちも、この意気を現実に見せつけられて会社の欺瞞を憤って、かえって「家族のことは心配するな、最後の勝利を得るまで戦え」と雄々しくも激励して下山する家族もいる。
(つづく)
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