
上・ポスター出兵絶対反対 支那南方政府即時承認せよ!対支絶対非干渉
労働農民党奈良県支部聯合会 労働農民党1927.春
上・「反帝国主義民族独立擁護聯盟支持の決議案」
日本労働組合同盟昭和三年度大会(1928年4月15日)
反戦、山東出兵反対の各労働組合の思想とは—1928年の労働運動(読書メモ)
参照・協調会史料
反戦、山東出兵反対の各労働組合の思想とは—1928年の労働運動(読書メモ)
1927年5月、中国国民革命軍の進撃に対し、田中軍閥内閣は第一次山東出兵を強行した。山東には日本資本の日清紡、鐘紡などの6大紡績会社など多くの工場が進出していた。中国民衆の反日感情を巻き起こし、おおがかりな日本商品ボイコット運動がおきた。6月、田中内閣「東方会議」で対中国強行路線決定。1928年、3.15弾圧、4.10評議会などへ解散命令。4月20日第二次山東出兵。5月3日関東軍による済南事件に中国全土で反日闘争が拡大。6月4日関東軍、張作霖元帥を爆殺。6月12日治安維持法死刑導入改悪。特高警察の全国網拡大。
二村一夫は《戦争にいかに対処するかは、この時期の日本労働運動にとってまさに決定的な問題であった》と指摘している。田中内閣による戦争政策、山東出兵に対して、各労働組合の思想と主張を当時の各大会報告から学んでみたい。
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評議会
対支非干渉運動
「列強帝国主義の支配の下に、その国士と民衆を奴隷せしめられ、飽くなき搾取に悩みつつある隣邦支那の民衆は打倒帝国主義を叫んで革命運動(無産階級を指導下とする)を起し、列強帝国主義の手先軍閥と闘いつつある。支那革命運動成功は凋落の途を急速に歩みつつある世界資本主義を縮め、その支柱を奪うもので、無産階級解放の日を速かならしめるものである。
我が大阪地方評議会は、支那革命運動を積極的に支持し、その運動に加えられる帝国主義の圧迫干渉に対して、有力に抗議すべく対支非干渉同盟の組織に友誼団体として協力し統一運動全国同盟発行のリーフレットによる研究会への参加等によって革命運動の真相を知らしめ、田中軍事内閣の積極的政策武力干渉出兵に抗議してきた。」(日本労働組合評議会大阪地方評議会第三回大会1927年8月6日~7日)
対中国非干渉運動
「我々の協同の敵たる列国の帝国主義を打破するために闘争しつつある隣邦支那の革命運動に対し(無産階級を指導勢力とする)自己の帝国主義的侵略主義政策を維持して支那をして永久に自国の植民地たらしめんとして革命運動に武力的圧迫を喰わへんとする田中軍治内閣の武断的対支那政策に反対し、我々と共同の目的をもって闘いつつある隣邦の同志を援助すべく対支非干渉同盟に参加し、組合員に対し、帝国主義の対支那政策の演説会集会等に於いて支那革命運動の真相を知らしめ、支配階級の弾圧に抗議し、これを暴露し組合員並びに一般大衆に対して、いかに支配大衆の露骨なる反動的政策なるかを意識せしめた。しかしかかる政治的闘争をより大衆的に発展させるためには尚充分な批判を要す。」(日本労働組合評議会大阪印刷労働組合第五回大会本部報告及議案綴)
暴圧反対運動
「田中反動内閣は無産階級運動を徹底的に弾圧する目的をもって絶対専制的権力によって、我々のあらゆる運動を暴圧し、労働者の工代運動、農民の立禁反対運動に対し言語に絶した暴圧をなした。これに対して労働農民党大阪府支部連合会指令に基づき、党工場班は全従業員を動員して暴圧反対の決議をなし、田中内閣に叩きつけ、一方7月9日には大阪府下一斉の5分間ゼネラルストライキが正服官憲監視の下に勇敢に遂行され、支配階級の心胆を寒からしめた。しかもかかる政治的大衆行動によって大衆の意識は高まり、工場内の前衛分子はかかる闘争の方法を修得することができた。組合は全力を挙げてこの闘争を援助した。」(日本労働組合評議会大阪印刷労働組合第五回大会本部報告及議案綴)
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日本労働組合同盟
反帝国主義民族独立擁護聯盟支持の決議
決議
『反帝国主義』『民族独立擁護聯盟』の組織は極めて厖大なものである。地域的には全世界の被搾取階級を網羅してゐるのみならず、質的には
帝国主義に反対し、凡ての民族自決のために、凡ての民衆の国民的自由のために、凡ての種族・階級・個人の平等なる権利のために戦う處の―凡ての政治結社、労働組合及個人は本聯盟に加入することができる―という程その組織は広大なものである。
これを見ても本聯盟が全世界のプロレタリアートの権威統一をはかりもって帝国主義の牙城に迫ろうとするものであると窺い知れよう。
今日、各国の資本主義は、その凶暴な帝国主義的政策を弄して自国のプロレタリアートは勿論、その植民地、半植民地のプロレタリアートを弾圧搾取し、かつこれに対抗して各地に蜂起しつつある反抗運動を迫害していることは全世界の事実だ。
支那おいては、その国民革命運動がしばしば日英米の帝国主義的弾圧に傷ついている。
大英帝国の世界的覇権を脅かす印度の反英帝国の運動、フランスの金融資本の基礎を咜ふくするモロッコの叛乱、其の他エジプト、アフリカ等々、地球上の隅々にまで新興民族の新興を見る。
帝国主義政策が、其の地位を維持せんがために、自国のプロレタリアートを搾取するのみでなく、植民地の民族を搾取することによって強固なる権力を維持しつつある。これが闘争は全世界の被圧迫民族其他一切の被搾取階級的勢力の統一結成を以てその階級的勢力の実現を計らなければならない。吾等はプロレタリアート解放の実現を期さんが為、全世界的被圧迫、被搾取階級の統一のため本聯盟を支持するものである。
右決議す。
(日本労働組合同盟昭和三年大会提出決議 1928年4月15日)
対支出兵反対の決議
理由
中華民国民衆は、世界資本帝国主義の重圧をハネ飛ばさんと、国民革命を起こして、世界帝国主義のカイライたる軍閥打倒の為、北伐戦を進め、正に山東省を席巻せんとするや田中反動内閣は邦人現地保護を名として第六師団を出兵し、更に満南事件が起こるや、名古屋第三師団を動員し三万余の大兵を派遣して既に四千万円の国費を消費した。
しかも我国帝国主義・・・張作霖が革命軍に追われて満州に逃げ帰らんとするや田中内閣は山海関の戦備を固め、更に国民革命軍が満州に入るのを恐れ、兵乱満州に及べば直ちに支那兵の武装解除・・・・・を以て断行すべしと声明した。
吾々は斯くの如き政策に絶対反対するものである。
その理由は、
一、国民革命運動の中心は、帝国主義的搾取に苦しむ民国民衆であり、吾等の兄弟姉妹たる労働階級は、その解放の為此の運動に加わっている。
二、帝国主義時代の民族解放運動は必然的に無産階級解放と結果するものであり、民国民衆の勝利は我国無産階級解放を早めるものである。
三、田中内閣の在留邦人現地保護主義は仮面であり、実は大資本家の利益擁護である。その理由は、
イ 田中内閣は・・財閥の利益を代表するもので、三井は三菱に比し、支那に深い利害関係を有している。商工大臣中橋徳五郎は・・・汽船の重鎮であり、外務次官森挌は山東省に・・・利害を有している。
ロ かくの如きは・・武力外交を惹起する基礎である。現地・・・・・既に四千万円を支出したが、四千万円を以てするならば山東在留邦人は安楽に無事安全地帯に避難し得る。それを・・せず数百名の邦人を殺傷せしめたのは約一億円に乗らんとする投資と十・・億円の満州投資を保護せんとするものに外ならぬ。その具体的表現は去る五月九日大阪紡織聯合会が開かれた日華経済協会が紡織資本でありながら、強硬手段の採用を決議し、山東満州の紡績輸出の確保に狂奔していることによって知り得る。
実行方法
一、本大会の名に依り左記の決議文を可決し、関係各方面に送付すること
二、あらゆる機会を捕らえて反対運動を起すこと
決議文
田中反動内閣の対支出兵は、我国大資本閥の利害を代表して、支那の民衆運動、強いては世界の無産階級解放運動を暴圧せんとするものである。我等はかかる対支出兵に絶対反対す
右決議す
昭和参年六月十七日
日本労働組合同盟日本紡織労働組合昭和三年大会(1928.6.17)
関東合同労働組合
対支出兵絶対反対決議
決議文
田中反動内閣の対支出兵は、我国大資本の利害を代表し、敢えて中華民国の民族解放を阻止せんとするにある。日本政府の強度なる対支干渉は、中華民国の民族運動を蹂躙し、世界の無産階級解放運動を暴圧せんとする反動政策である。
我等はかかる対支出兵に絶対反対を宣明す。
右 決 議 す
理由
中華民国民衆が、中華国独立のため、国民革命を起こし、世界帝国主義のカイライたる張作霖其他の軍閥打倒のために北伐戦を進めてより、日本政府の取れる対支政策は悉く露骨なる対支干渉を示した。
殊に北伐軍の山東省に入るや、田中反動内閣は、単に「邦人現地主義」と名して、第六師団を出兵し、済南事件が起きるや名古屋第二師団を動員し、今三万余の大兵は派遣せられてゐる。かかる出兵費はすでに四千万を費消した。然るに中華国民革命は列強の干渉と重〇とを踏み越えて、既に世界各〇〇上、青天白日旗を翻すに至った。
田中反動内閣は、此の形勢にも拘わらず、尚国民革命軍が満州に入るのを恐れ、「兵乱満州に及べば、直ちに支那兵の武装解除を武力以て断行すべし」と声明している。山東省在邦人の保護は、敢えて現地保護主義に依らずとも、〇〇に依り安全地帯に無事避難保護をなし得ることは明白なる事実である。故に多額なる四千万円の国費を費消し対支非干渉の国論を排して遂に出兵を断行したる田中内閣の反動政策は、日本大資本閥の帝国主義的政策の現実暴露である。
見よ! 田中内閣が三井財閥を代表し、三井は支那に尤も深い利害関係を有すること。現商工大臣中橋が日清汽船重鎮なること。外務次官森挌の山東省に殊更の利害化関係を有すること。即ち満州を中心として廿憶以上の大資本閥の投資がある。かかる出兵問題惹起の基礎をなすものである。
日本政府の対支干渉政策は、帝国主義的搾取に苦しむ民国民衆の独立と解放とを積極的に挫折せしめんとする。従って中華民国全無産階級解放を暴圧せんとするものであって、延いては全世界無産階級の解放運動を暴圧せんとするものである。
我等はかくの如き田中反動内閣の出兵政策に絶対反対する。
(関東合同労働組合第4回大会提出議案1928年7月1日)
朝鮮労働者差別待遇即時撤廃の件
理由
日本政府の朝鮮民衆に対する弾圧についての糾弾は別として、内地に在る朝鮮労働者諸君に与へつつある冷酷なる放任政策は我等労働階級の絶対反対するところである。現在に於いては先ず土木建築業務参加労働者の大半は朝鮮労働者諸君である。さらに辺を各工場に見れば臨時工の多数を占め、本職工としても其の数甚だ多きものがある。故に朝鮮労働者諸君は日本生産事業中の労働関係に於いて重要なる任務を果たしている。然るに朝鮮労働者諸君は、其の賃金に於いて極めて安く、労働時間甚だ永く、待遇は全く奴隷的であり、労働立法保護の恩恵を与えられず、完全なる差別待遇をなされつつある。朝鮮労働者なるが故にかかる劣悪な待遇と差別をなさざるを得ない理由はなんら根拠有らざるところである。
然しながら之を資本家的搾取の条件に照応すれば、極めて重要なるからくりを発見せるを得ない。
朝鮮労働者なるが故にという無根なる理由により、安い賃金並びに劣悪なる労働条件・・・・、一つは過酷なる搾取をなし、二つには内地労働者の就業の権利と既得の条件を脅威するの方便とすること。
故に朝鮮労働者諸君に対する日本政府の放任的態度と之が自由拘束の政策とは、内地労働者の政治的経済的の勢力の増大をコントロールするあると云ふ点に於いて、朝鮮労働者、内地労働者の階級的一致点がある。我等は此の支配階級の敢えて競争者を設けて、当然の結合をさまたげ、両者の共通の利益と分離且つ対立せしめんとする愚劣な政策に絶対反対を声明する。
我等は今日の労働者階級の階級的立場に起ち、両者の政治的経済的平等化のために協力一致することに於いて、両者の損失を防ぐものになることを確信し、「朝鮮労働者差別待遇撤廃」の諸運動を勇敢に支持し之が実現を期するものである。
実行方法
(一)朝鮮労働者差別待遇撤廃の理由を公明にして、之を全労働者階級に徹底せしめること。
(二)在日本朝鮮労働団体と協力して、此の目的達成のための社会的運動を起すこと。
(三)朝鮮労働者と内地労働者との組合加入を絶対に差別せざることを徹底せしめること。
昭和三年七月一日
関東合同労働組合第四回大会
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総同盟
対支外交にたいする決議
本大会は、中国革命の進行にたいし満腔の祝意を表す。ひるがえって日本政府の対支外交をみるに、いたずらに局部的権益に拘泥して、両国の親善を阻害しつつある。政府はただちに一切の行きがかりを放棄し、中国全民衆を対象とする両国共存共栄の対支外交に転換し、もってさらに国民更生と世界平和のために貢献せんことを要求す。
(総同盟第17回全国大会 1928年10月7日~9日)
以上