Joeのライブに行ってきました。（Joe Thomas）

「ごちそうさま」
品川で軽い食事を済ませ、足早に山手線に駆け込む。
午前中に降った雨が乾く匂いと、慣れない腕時計に微かなストレスを感じながら、１時間後に始まる幸福な時間に思いを巡らせる。

降り立ったのは地下鉄の六本木駅、無機質な地下通路を通ってミッドタウンを目指す。
エスカレーターを昇りながら、壁に貼られている大理石を伝って上から流れ落ちる水を見ていると左腕に目がとまった 20:23。

一旦地上に出て案内板と携帯電話で会場を確認。
華やかな店々を横目に、夏の余韻含む風とオープンカフェから流れ出す甘い香りを纏わせ再び中へと入る。

エレベーターで階上へ。

高鳴る胸を抑えつつ、青白いイルミネーションが煌くエントランスを通り過ぎ、案内されたのはL字のソファが配された２階席中央付近。
時計は20:30。

先程までの目にも鮮やかな世界から一変し、淡い照明によって吹き抜けのガラス張りにぼんやりと浮き上がった夜景と、開演前のざわめく観客に否が応にも高揚感は覚えずにはいられない。

非日常的な雰囲気に呑まれてしまいそうな気分をモスコーミュールで流し込み間もなく、スタッフやバンドメンバー達が登場し拍手の中演奏が始まる。
会場を温めるようにバンドは心地よいグルーヴを放っていた。

すると、ステージ左袖から悲鳴にも似た歓声が起こる。
シックなスーツに身を包んだJoeの登場だ。

Joe
Can't get over you