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お山にお宮がたちました

荒大神

耳の神様だけは、昔お祀りしていた祠が残っていた。針金で閉じられた石の扉の中に木の祠が入っていて、最初は開けていいものか心配した。ただ、87歳のお婆さんが昔はお札を交換しに村の人が行っていた話を聴いていたから大丈夫だろうと母と相談して石の扉をそっと開けてみた。

石の扉を開けると木の祠があり木の祠を開けてみると、とても綺麗とは言えない状態で、木彫の御本尊、お札、おおあさが納められていた。お札は何年も変えられてないようだった。それと干上がって空になった湯呑みも中に入っていた。湯呑みは山頂を綺麗にした時に山から出てきたものと同じだったので同じ人が昔はきちんとお詣りしていたのだと思う。

神様は綺麗なところが好きなのにこんなにほったらかして酷い、なんという事なんだろうと心が傷んだ。お札には荒大神と書いてあった。母と私はそのまま正座して頭を地につけて長年の失礼を謝った。

耳の神様の御本尊は木で彫られてあり正面と両耳のところにもお顔があった。最初はお顔ではなく耳が大きいから耳の神様と言うのだろうと思ったけどよく見ると耳ではなくお顔がある。荒神様のお札があったので調べてみると三宝荒神様の御顔のようだ。木彫りの御神体をみると、決して市販で売っているような繊細な作りのものではなく、確かにこの神様を感得した人がいて、そのお顔を真似て一生懸命、御神体を彫ってお祀りしたのだろうと思った。

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