見出しの言葉は、イザヤ・ベンダサン(山本七平の筆名といわれる)が、40年以上前に述べた言葉であるが、高度経済成長期に全国で一斉に整備されてきた上下水道も、40年・50年以上経過すると何処で破裂して大きな事故が発生したり、その補修工事の間は使用できなくなったりするか分からないということが、先ごろ発生した埼玉での下水道管の破裂が原因による陥没事故などで明らかになった。今後、上下水道の老朽化や人口減少の影響もあって、全国的に水道代金が上昇していくだろうと言われている。一方、安全についても、闇バイトを実行犯として利用した匿名・流動型犯罪グループによる強盗事件が各地で見られるようになり、刑法犯認知件数も2023年には二年連続で増加するなど予断を許さないようになっている。また、自由と民主主義を掲げて西側諸国のリーダーであったアメリカ合衆国政府は、トランプが大統領に返り咲いてからは、権威主義体制の象徴とも見られていたロシアのプーチン大統領と親和的な姿勢を見せ、ロシアから三年間に渡って侵略戦争を仕掛けられているウクライナへの支援も打ち切るかもしれないと言われている。このような国際状況を考えると、ロシアと北方領土を巡って未解決な領土問題を抱え、中国、北朝鮮、ロシアという強圧的な態度を見せている核保有国に囲まれている我が国にしても、いつまでも日米安全保障条約を頼りにして安逸をむさぼっていることが出来ない情勢になってきた。専守防衛や非武装中立などという、純軍事的に有り得ないような理想論で防衛論議を封印してきた我が国においても、米国が頼りにならない場合に如何にして国を守るかということも真剣な検討が必要な状況となっているのではなかろうか。
水と安全はタダではない世界に生きているということを、改めて自覚する必要があるだろう。
ついでに言えば、政府保管米の放出が決定されても、米の品不足と高値とは一向に改善しそうもない。これは、農水省の続けて来た減反政策の明らかな失敗と、昨年の米の収穫量などについての算定ミスが原因だと思われる。米価以外にも、消費者物価の相次ぐ値上げは、春闘などで多少賃金が上がっても実質賃金は目減りし、特に年金生活者など経済弱者の生活を直撃しつつある。その反面、我が国での一億円以上を保有する富裕層と超富裕層は、全世帯の約2.7%の148万5000世帯であるとされ、年々、その数は増加傾向にある。まさに格差社会が拡大しつつあると言える。これをどのように捉えるべきだろうか。国民一人ひとりの考え方、生き方が試されているような気もする。