特殊詐欺(振り込め詐欺など)は、2000年代初頭から見られるようになった架空請求詐欺から始まり、オレオレ詐欺などに手口が進化し、より巧妙になってきた。その中の手口の一つとして、スプーフィング技術を使った詐欺行為がある。詐欺師は、銀行や警察、役所、あるいは被害者の知人の番号を装い、ターゲットに信頼させろることで詐欺を働く。これによって被害者は相手が本物だと信じ込み、金銭の振り込みや個人情報の提供などを行ってしまう。
近年、IP電話などの発展により、詐欺師は、海外のサーバーなどを経由することによって、電話の発信者番号を容易に改ざんすることが可能となっている。
例えば、
① オレオレ詐欺の場合、電話スプーフィングを悪用すると、実際に家族の電話番号が表示されるため被害者は簡単に信じ込んでしまう。高齢者のもとに「オレだけど、事故を起こしてしまった。示談金がすぐに必要だ」と息子を装った詐欺電話がかかってくるケースがある。電話番号が本物と一致しているため、被害者は疑うことなく指定された口座にお金を振り込んでしまう。
② 警察を装う振り込め詐欺の場合、 警察を装って「○○警察署の○○です。あなたの口座が詐欺に利用されている疑いがあります。安全な口座に資金を移す必要があります」といった電話がかかってくることがある。被害者は本物の警察からの連絡だと思い込み、詐欺師の指示通りに送金してしまう。
③ 架空請求詐欺の場合、「こちらは○○法律事務所です。過去に利用したサイトの料金が未納となっております。本日中に支払わない場合、法的措置を取ります」といった電話がかかってくる。電話番号が本物の法律事務所と同じであるので、被害者は本当に未払いがあるのではないかと焦り、支払ってしまうことがある。
これらの特殊詐欺への対処方法としては、
① 重要な電話であっても、折り返し確認の電話をするような癖をつける。
② 電話で個人情報を求められても答えない。
③ 不審な内容の電話の場合、一旦電話を切り、地元の警察署や「#9110」の警察相談電話に相談する。(警察が、直接お金を要求したりすることは無い。)
④ スマートフォンなどでは、迷惑電話対応のアプリがあり、掛かって来た電話が、予め登録された電話でない場合は、相手に「迷惑電話対策として、今から録音を開始します。」とのアナウンスが流れたりする。このことによって、詐欺の予防効果がある。