出かけ先で道がわからなくなった。
地図はあるのだが、方向の取り方をまちがえたらしい。
周りを見ると中老年の女性と、二人連れの女子高生がめについた。
どっちに声をかけようかとまよう。
無難なのは中老の方だろうが、ここはせっかく出かけてきたのだ、日ごろ付き合いのない女子高にしよう。
二人は、目標の建物は知らない様子であった。
が、たわしの手元の地図に目をやると、素早くとりあげて地図をさかさまにし、反対側の方向をさした。
え、あっちなの。と不安になる。
ふたりも大丈夫?一人で行ける?ときいてきた。
よっぽど頼りなくみえたらしい。
大丈夫だと答えると、わからなくなったら、もう一回だれかにきくのよという。
おお、小学生並みの取り扱いだ。ふりかえると、見守っているではないか。
そうかい、近頃の女子高生はこういう感じなのか。
いい子たちだなあ、介護保険なみのやさしさであった。
外にはでてみるもんだ。こんなことでも年寄りには新鮮なのだ。
第一、幸せではないか。