朝から妹がいらだっている。傍にいたくない。
公民館でヴィヴィアンリーのアンナカレニナをやっている。よし、そっちにしようと、でかけた。
私はこの有名な物語にえんがなかった。一度も目をとおしていない。
77歳でアンナカレニナを見るとは思っていなかった。
でも、17歳でも27歳でもない恋愛物語というのは、思っていた以上に感動をよばないということが
わかり、ショック。
注目は主人公の二人ではない。
へー、ロシアの貴族ってすごい生活していたんだ。
えー、社交ダンスってすごい、あんなドレスをあんなに振り回したら、さぞ埃がたつだろうに、あ、駆
け落ちしたんだ、へー、すごい家に住んでる。
どうやってこんな生活できる大金をもちだしたんだろう。
近松の駆け落ちとはえらいちがいじゃ。あれま、そんなことしてたらどっちかがまもなくイヤになる
よ、あ、やっぱりだ。そのうちにけんかになるのよね。で、片っ方が嫌気がさしたら片っ方が余計に燃
えちゃって、あああ、やっぱりなあ。
だからって死なんでもよかろうに。人間しんだらおわりやて。
かつて、恋愛映画を愛したわたしであるのに。どうだろうこの殺伐とした心のうごかしようは。
これが現実と言うものであっても、もうちょっとなんとかとおもっていた。
あまありといえばあまりな。薄ら寒くなった道を急ぎ足で帰ってきた。