電気料上昇を抑制
「再生可能エネルギー特別措置法案」を巡る民主、自民、公明3党の修正協議が11日合意したことは、太陽光発電などの拡大に向けて追い風になりそうだ。(山下福太郎、武石将弘)
ただ、産業界などに配慮して、電気料金引き上げを抑える方向となった。太陽光発電などの買い取り価格は、第三者機関が決める仕組みとなり、買い取り価格が低くなれば、普及が進まなくなる可能性もある。■国会も関与
同法案は、太陽光や風力などでつくる電気の買い取りを電力会社に義務づけることで、再生可能エネルギーの普及を目指している。電力会社が買い取る費用は電気料金に上乗せされるため、高値で長期間買い取れば、企業や家庭の負担が重くなる。
自公両党は、経済産業相の諮問機関が買い取り価格を決める政府案の仕組みについて、「恣意(しい)的な価格決定になる」と反対していた。
修正協議では、第三者機関「算定委員会」を設立して透明な手続きで決めることで合意した。同委員会の人選は国会同意人事とすることで、国会が関与できるようにした。
ただ、同委員会が電気料金の値上げ幅を抑えると、太陽光や風力発電などで作った電気を電力会社が買い取る額も安くなる。企業や家庭が発電設備に投資しにくくなると、再生可能エネルギーの普及が進まなくなりそうだ。■負担軽減措置
政府案では、電気料金の上乗せ幅は、2020年段階で1キロ・ワット時あたりの単価で最大0・5円(家庭の月額料金で平均150円)になる見通しだった。
修正合意では、中小・零細を含めて電力を多く使う産業に軽減措置を講じることが盛り込まれた。実際の対象業種は実態調査を行って検討するが、鉄鋼、鋳造業などが主な対象になる見通しだ。
自民党は、企業の負担が重くなれば産業空洞化につながりかねないと主張し、民主党も受け入れざるを得なかった。3党は、負担軽減に必要な財源を政府が確保することでも合意し、石油石炭税などの活用を検討することを付則に盛り込む方針だ。■見直し規定
修正合意の結果、野党側の主張で、1年と3年、10年の3段階で法律の見直し措置を講じることを付則に盛り込む方向になった。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、政府はエネルギー基本計画を白紙から見直し、来年策定する予定で、その内容を反映させる方針だ。
一方、施行後の3年間は再生可能エネルギー普及の「促進期間」と位置づけ、産業や国民生活への影響を検証する。再生可能エネルギー分野で技術振興を図るため、3年後に不備な点などを見直すことで、早期に買い取り制度の導入を図る。
(2011年8月12日
読売新聞)
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