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きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

都と京

2010-05-29 19:58:22 | 
少し前の本ですが、図書館で何気なく手に取ってみたら、表紙のデザイン(少しポップな洛中洛外図屏風)に興味をそそられて借りてみました。

作者の酒井順子さんは「負け犬の遠吠え」で有名なエッセイストさん。
酒井さんが愛する京都を東京と比較しつつ語っておられます。

なる程と思ったり、ヘーこんなの知らなかったかもとか思いつつなかなか楽しく読む事ができました。

あとがきで酒井さんは30歳を過ぎてから京都の見方が変わったと書かれていて、それまでには見えなかったものが見えるようになって京都の魅力にはまっているとおっしゃっておられました。

私は年齢を重ねて京都の見方が変わったという感覚はあまりないのですが、小学校の修学旅行で初めて京都を訪ねた時に、とにかく楽しかったのです。それは旅行そのものが楽しいというのではなくて、京都に居る事が楽しかった・・・。

京都に行くまではさほど京都に興味があったわけでもなく、むしろ修学旅行なんてあまり行く気がしなかったのですが、帰った後の旅行記も嬉々として書いた記憶がある程に、京都は私にとって魅力的だったのです。

私は小学生の感性のまま成長していないのかもしれないですが、自分がハッピーになれる場所が京都なので、これからも通い続けるのだろうなと思っています。
そして、この本からもこれからの京都通いの新しい切り口が見つかったような気がしています。

それにしても酒井さんが京都好きだなんてずっと知りませんでした。



本日、ブログ開設から200日目みたいです。という事はこの日記が200投稿目

おひとりさまの老後

2010-04-22 20:50:15 | 
かなり前に新聞でこの本のタイトルを見た時に、読んでみたいなと思ってましたが、その時、行動に移せなかったので長く忘れてました。

ですが先日、図書館で見かけたので遅ればせながら読んでみました。




もともと、ひとりで過ごす事に抵抗感が全くない私は(むしろひとりの方が自由に時間を過ごせるので旅行や観劇もほとんどひとりで出かけますし、一緒に出かけても自由行動時間をお互い持ったりします)、内容的には納得できる部分は沢山あるのですが、はっきり言ってこれは恵まれた人の老後じゃないかなと思った。

今の私がこのまま仕事を続けて、運良く元気に年を取ったとしても、この本に書かれているような年金生活が送れるとは思えないんですよね・・・残念ながら。

でも、介護を受け入れる勇気を持たなければいけないという部分や介護される側のノウハウが必要だというお話はとても参考になりました。

信長が宿敵本願寺顕如

2010-04-09 20:42:16 | 
何となく、以前から気になっていましたが、読んでいなかった本。
作者の方を見たら、最近読んだ信長に関連する本と同じ方だったので、ちょっと手にしてみました。

題名からして、信長と顕如の戦いのお話だと思ったのですが、どちらかと言うと顕如とその息子の教如の親子の葛藤の部分が大きかったかも。

自分とは正反対のような息子の教如に、古いものを破壊してゆく信長の姿を重ねている顕如の心の動きがなかなか興味深くて面白かったです。

この作家さん、親子の微妙な感情を扱ったものが多いんでしょうか。何だか私がチョイスした本はどれも親子のお話になっている・・・。

でも、父親と息子ってやはり、どこか難しいのかもしれないですね。
ちょっとライバル心とかあったりして・・・。

そんな事を思いながら読み終えた後には、顕如の「古いものは滅びない。ただ形を変えるのみ」という言葉が、妙に印象に残っています。

狂気の父を敬え

2010-04-07 19:55:51 | 
織田信長の長男・信忠を扱った小説がちょっと気に入ったので、同じ作者さんで、信長の次男・信雄を扱った小説を読んでみた。

信雄と聞いて、私が思い出す事といえば、本能寺の変の後、安土城を焼いてしまった事と秀吉の御伽衆だった事ぐらいで、こんな人だったんだというイメージは全くありませんでした。

でも、不思議なんですが、この小説の中で、誰も心の中を語る相手がいなくて、蝋燭の炎を相手に会話をしたりするのが、とてもぴったりくる感覚がありました。

又、光秀が父親だったらという思いとか、二人で信長を倒そうと考えるとか、今まで、読んだ事のない展開でしたが、こんな事ありえないとは言い切れないなと思いました。

でも、魅力的な女性が登場しないのと、やはり、信長が好きなので、息子から否定的に扱われているのは、少し抵抗を感じてしまって、「信長と信忠」のように好きにはなれませんでした。

やはり、私の中では信雄が信長より魅力がある人には思えないというのが正直な感想でした。

信長と信忠

2010-03-11 20:32:06 | 
少し前に朝刊に紹介されていた「信長と信忠」。

信長を扱った小説は多くありますが、信忠を扱っているのはちょっと珍しいなと食指が動き、書店で本を見たり、参加しているSNSで、書いた事もありましたが、やっと、読む事ができました。



私が小説を読むのは舞台の原作が一番多いのですが、その次に多いのが歴史もの。
でも、最近、あまり読んでいなかったので、久しぶりでした。

歴史小説の場合は、歴史の事実を大幅に変える事はあまりないので、基本的な流れは同じなんですが、主人公とそれを取り巻く人間関係がどのように描かれるかによって、自分の好みに合うかどうかという事になります。
ですから、歴史小説といっても、現代小説と特に変わりは無いのではないんでしょうか。


今回の「信長と信忠」は結論から言いますと、自分好みの設定や展開でかなり楽しませていただきました。

実は私、信長小説といえば、山岡荘八さんの「織田信長」で、どんな信長小説を読んでも常にどこかで比べてしまうのです。



山岡さんの小説で、私が一番好きなのは、信長と濃姫の場面。
二人の会話は機転が利いていて、楽しい。濃姫が本当に素敵で、私の憧れなんです。

近年の信長小説では濃姫はあまり重要視されないものが多くて、私的には、その点が不満だったりもしたのですが、この「信長と信忠」では、少し離れた所から、信長を見守っていて、信長が自分では意識していないけれど、彼女との会話や触れ合いに安らぎを得ている場面が登場して、二人の何気ない会話にウルウルしてしまいました。

信長と信忠の小説の感想なのに変ですが、濃姫(この小説では美濃の方ですが)に対して、心の中を思いを素直に話す信長が可愛くて、それを受け止められる濃姫が本当に素敵でした。
とにかく二人の場面はいいな~と思うんです。

何故、天下をとろうとしたかという美濃の方の問いに「褒めてもらいたかったから」と本心を答える信長。

肉親、家臣が俺を見捨てるのに何故、お前は見捨てなかったのだと言われた、美濃の方はさらりと「家族ですから、当たり前です」と・・・。

この他にも、素敵な会話がたくさんあって、お気に入り小説になりました。