こうした中国経済の実態を、日本は見極めねばならない。
作家の深田祐介氏(故人)によれば、伊藤忠商事の元会長で中国大使を務めた丹波宇一郎氏は伊藤忠の役員時代、「将来は大中華圏の時代が到来する」「日本は中国の属国として生きていけばいい」と語り、深田氏が「それでは朝貢(ちょうこう)貿易ではないですか」と反論すると、「日本が幸福かつ安全に生きる道は中国の属国になること」と自信に満ちた表情で答えたという。
また、丹波氏と同じ伊藤忠で中国総代表を務めた藤野文晤(ふみあき)氏も、『文藝春秋』(平成16年12月号)で中国問題に関し、「今後本格的に国際的な市場となった暁に、日本だけが孤立してしまうことが心配」「小泉さんが靖国参拝をやめれば歴史問題は一番すっきりする」「日本人が中国と本気で付き合おうと思ったら中華世界の一員になる覚悟が必要」などと語っていた。
これは伊藤忠だけの中国追従ではない。多くの企業が「バスに乗り遅れるな」とばかり中国に傾斜したが、中国の要求に寄り添うだけが日本のビジネスマンの在り方なのか。ここでも、何のための中国ビジネスなのかを問う必要があった。伊藤忠が儲かれば、それが日本国民の利益といえるのか。
現実に中国経済の綻(ほころ)びは、あちこちに出てきている。中国が日本に対抗して進める高速鉄道計画を中心としたインフラ輸出が、世界各地で頓挫(とんざ)や延期などの事態に陥っている。
たとえば、2015年9月に習近平主席が訪米した際に結ばれた、米ネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州ロスアンゼルスを結ぶ高速鉄道計画(全長370キロ、投資総額約1兆3500億円)で、米企業のエキスプレスウエストが中国鉄道総公司を中核とする中国企業連合に合併解消を通告した。
これは中国による初の対米鉄道輸出だったが、中国の計画では建設に大幅な遅延が生じるというのが合併解消の理由だという。
日本に競り勝つかたちで受注したインドネシアでの高速鉄道計画も順調に進んでいないし、シンガポールでは納入された都市型鉄道車両の大半にひび割れなどの重大な欠陥が見つかり、ミャンマーでは水力発電事業が中断となっている。
中国の高速鉄道は日本が供与した新幹線技術がもとになっているが、日本の技術力は日本人の精神性に裏打ちされている。単に仕様だけを真似ても、同等同質のものはつくれないし、運用もできない。
---owari---
伊藤忠だけでなく、経団連幹部の皆さんの責任がたいへん重いと思っています。
10年以上前に、私は経団連に対し抗議のメールを送りました。あなた方は政冷経熱と称し中国への企業進出を推し進めました。
その結果、中国は大儲けをしてその財力を軍備につぎ込み、日本の都市を照準とした核ミサイルを配備させました。
あなた方の金もうけ主義が日本を危機に陥れたという認識を持ってくださいと訴えましたが、音沙汰なしでした。
米中貿易戦争のさなかにおいても、親中派の政治家(二階堂氏など)の意向をくんで、経団連は中国を訪れ、さらなる経済協力を進めています。
米中は経済戦争や政治戦争の域をこえて、いまや軍事戦争の危機が迫っている状況です。そのような認識のない経団連が旗振りをして、中小企業を巻き込んで、さらなる中国進出を計っていることは憂慮すべき事態です。
進出した企業は中国から容易には撤退できない状況(工場は搾取される)になることを大いに懸念しています。私たち国民が声をあげて、正していかなければならないと思います。