魂の義務教育

特に、母親としての役割を担う多くの女性たちに言いたいのですが、家庭を守ることは大事なことです。子供を立派な社会人として巣立たせるのは、何にも増して大切なことです。子供が家庭で生きていく、十数年ないし二十年の時間と空間を、充実した、実りの多いものにすることは、とてつもなく素晴らしいことなのです。

みなさんは、「天国に還りたい」と思っているでしょう。女性が天国に還るのは、そう難しいことではありません。家庭の主婦として、夫をよく助け、母親業を立派にこなし、円満な家族関係を築いたならば、必ずや天国に還れるでしょう。それだけでも合格点を貰えると言ってもよいのです。

しかし、現在は、それさえできない人があまりにも多いのです。

考えてみれば、人間にとっていちばん大切なものは、すべて、目に見えるものではありません。目に見えないもののなかに、至高の喜びがあり、光があります。

素晴らしい家庭というものも、はっきりと目に見えるかたちで、手に取れるかたちで示すことはできないかもしれませんが、確実に存在します。素晴らしい家庭をつくることは、一つの徳を生む作業です。各人に徳が生まれると同時に、家族全体での大きな徳が生まれてくるのです。

それは、果てしない上空から眺めたならば、「まだ暗闇が続いている地球の表面の一角から、光がほとばしっている」ということです。「一軒一軒の家に灯がともり、窓から明るい光が漏れている」ということが、どれほど喜びに満ちたことであるか、みなさんは分かるでしょうか。

まず、家庭ユートピアを築くことです。家庭ユートピアを築くことが急務なのです。

それは、決して、男性が仕事で素晴らしい業績をあげることの妨げになるものではありません。

家庭が光に満ち、喜びに満ちていくとき、その雰囲気は、自然に、家庭の主人にも宿ってくるものです。家族関係がうまくいっているとき、男性は、職場でも光に満ち満ちているのです。それを忘れてはなりません。

家庭をユートピアにすることは非常に大事な仕事です。これを卒業することなくして、他の応用問題を解こうとしても、極めて難しいのです。それは、ちょうど、義務教育を終えることなく大学の勉強を始める人にも似ています。基礎の勉強が足りないと、いろいろなところで無理が出てくるのです。

家庭ユートピアを経験することは、魂にとって、一種の義務教育です。親として、子として、夫として、妻として、息子として、娘として、ユートピアを経験することは、魂にとって、とても大きな学習であり、喜びの源泉でもあるのです。

もちろん、過去の歴史を振り返ってみれば、「家庭的に恵まれなかった人が、刻苦勉励して偉人になった」というケースも数多くあるでしょう。確かに、優れた魂が、荒々しい魂修行を計画し、好んでそういう家庭に生まれることがあります。

しかし、そのような事実があるにせよ、現に家庭生活を営む者が、勝手気ままに生き、家庭を崩壊させてよいということにはならないのです。

このゆびと～まれ！