哲学の木(上)にもわたしたちの上にも
夕陽が降りてきます。
美瑛のお天気はくるくる変わり、
晴れとも曇りともつかなかった一日。
そのフィナーレの演出も、また見事でした。
美瑛の丘シリーズはこれでおしまい。
明日から1週間ほどブログをお休みします。
哲学の木(上)にもわたしたちの上にも
夕陽が降りてきます。
美瑛のお天気はくるくる変わり、
晴れとも曇りともつかなかった一日。
そのフィナーレの演出も、また見事でした。
美瑛の丘シリーズはこれでおしまい。
明日から1週間ほどブログをお休みします。
この風景や木々には愛称がついてはいませんので、
あまり知られてない所なのかもしれません。
それぞれの針葉樹の高さといい、民家とのバランスといい、
なぜこんなに完璧なの?
これが自然の風景とは!
美瑛の丘に、心底感歎したひと時でした。
美瑛のお天気はよく変わります。
さっきまで、青空が見えていたのに、もう雲が低くおりてきました。
マイルドセブンの丘から少し下ったあたり。
整然と並ぶカラマツ林の向こうに夕陽が鈍い光を放ちはじめました。
パッチワークの丘は詩情豊か。
「セブンスターの木」(下の写真)は
かつてタバコのパッケージやポスターに登場した
柏の木です。
あの柏餅をつつんでいるのがこの木の葉っぱ。
冬になっても枯れ葉が木に着いているのが特徴です。
堂々とした枝ぶりですね。夏には緑濃い葉を繁らせます。
夏はさまざまな野菜がパッチワーク模様を作る美瑛の丘も
この季節は白銀の世界。
下の写真は「ケンとメリーの木」。
昭和40年代にTVのコマーシャルに登場して有名になりました。
雪原に直立する姿には、圧倒的な存在感があります。
ほかにも愛称をもつ木が幾つかありますが、
それらの木々は、広い農園の「道しるべ」であったり、
農作業の休憩時に木陰を提供したり・・と、
それなりに役割があったようです。
美瑛の丘が人々を惹きつけてやまないのは、
その風景の中に、
人の手の温もりを感じ取ることができるからではないか・・
と、いつも思うのです。
たくさんの氷柱をつくりながら美瑛川へ流れ落ちる滝。
白金温泉のはずれにあるブルーリバー橋から眺めた
白髭の滝です。
伏流水が断崖の途中から湧き出て滝となっています。
「四季折々ににすばらしい表情を見せてくれる滝」とのことですが、
厳寒の季節の凛とした姿はずっしりと心に響くものがありました。
ブルーリバーのほとりまで行き、白金温泉へ引き返す途上。
トドマツやエゾマツなどの針葉樹と、
白樺やダケカンバなどの広葉樹。
それぞれに団子のような雪をつけています。
時々「ドサッ!」と木の上から落下すると「ふわっ」と雪煙が舞います。
見上げると、梢の向こうに澄んだ空。
ブルーリバーの青(ターコイズブルー)とはまたちがった青がそこにありました。
ブルーリバー沿いの森に、道があるわけではなく、
この川岸まで行けるのは雪の季節のみ。
夏は、背丈もある笹などが生い茂り、踏み入ることができません。
近年、この近くに砂防ダムが作られる計画があるそうです。
1926年(大正15年)の十勝岳の大噴火で、
144名の方が火山泥流の犠牲になられました。
現在、このような災害を防ぐために、美瑛川やその上流などに
多くのダムが作られています。
防災という視点から考えると、しかたがないことですが、
ダムができれば、この辺りの景観は無くなります。
来年はどうなっていることか・・。
光の加減によって微妙に色合いを変えていくブルーリバー。
清冽な流れに心を残しながら、
私たちはスタート地点の白金温泉へ向かって歩き出しました。
ターコイズブルーの流れを見たときは
思わず「きれい!」と声を上げてしまうほど。
白金温泉(美瑛町)街を流れる美瑛川は
ブルーリバーと呼ばれています。
ネイチャーガイドさんによれば、「ブルー」の原因は二つ。
ひとつは温泉が川に流れ込み、この成分である硫黄や石灰分によって、
川底や岩肌が白くなっているということ。
もうひとつは水にアルミニウムが多く含まれていて、
それが粒子状になって光を反射。岩が白いので
「ブルー」がさらに強調されるのだとのこと。
さまざまな自然の要因が重なって、このような色彩が生まれました。
この川は美瑛の街中へと流れていくのですが、
下流に行くにつれ、色は薄くなっていくそうです。
気温は-12~13℃くらいだったでしょうか。
寒さも忘れて、「ブルー」に惹きつけられるように、私たちは
スノーシューで歩きました。
夕暮れ時、闇の帳が降りはじめると、
雪の世界はブルーに沈んでいきます。
雪は白だけではないのだ・・、と
刻々と色を深める雪景色に見とれてしまいました。
しかし、そんなにのんびりもしていられません。
気温はぐんぐん下がっていき、「早く帰らなければ・・」。
「森の神様」に会った後は、旭岳温泉へ。
旭岳の中腹までロープウェイで行く予定でしたが、
上は吹雪いているようなので、断念。
温泉周辺のクロスイカントリーコースを
スノーシューでのんびり歩きました。
標高1100mはさすがに寒い。
気温は-13℃くらいでしょうか。
雪原に「フー」と息を吹きかけると、
「ふわっ」と雪が舞い上がります。
これぞ真の Powder Snow!
「森の神様」がいらっしゃる森で見つけた
雪の上の落とし物。
上の写真はツルアジサイ、下はカツラの実。
小さなバナナのような実を割ると、中から粒々の種がでてきます。
土の上では目立たない彼らでも、雪がバックとなると
俄然その存在感を発揮します。
「雪の季節まで実が残っているのは、
鳥たちに食べてもらって、種を遠くまで運んでもらうための、
戦略なのかもしれませんね。」と
同行のネイチャーガイドさんは説明してくださいました。
旭岳の麓、天人峡へ向かう途中に
「森の神様」がいらっしゃるのだという。
スノーシューを履いて、森の中を歩くと、
勇壮な巨木が天にむかって手を広げていました。
これが森の神様・カツラの木です。
樹高31m、幹周り11・5m、推定樹齢は何と900年!
横に人が立っているのがお分りでしょうか。
カツラの葉はハート型をしていて、
秋に黄葉した落ち葉はあま~いバナナの香りがするのだそうです。
葉をつけた季節、落葉の季節に、また訪ねてみたい
森の神様でした。
陽がさすと、俄かに森は輝きはじめます。(上の写真)
(2007年1月24日 撮影)