やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】323  (23) 日中関係Ⅱ(第1次世界大戦以後)-11- <ⅲ :ワシントン会議~満州事変:まとめと考察 2/3> 

2017年10月11日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

(23) 日中関係Ⅱ (第1次世界大戦以後~1945) -11-

ⅲ ワシントン会議~満州事変までの描き方  -6-

■まとめと考察 2/3

 

※「目的」「目標」「動機」という言葉のあいまいさについて

 

ある「人間の行為」を、全体像として過不足なく説明(表現)するためには、一般的には、①その行為の客観的な表現(=行為そのものの映像や音声など、または文章表現など)と、②行為者の「動機・目的」の説明 の両方が必要とされる。 

 例えば「犯罪行為」の裁判では、①物証による行為の確認と、②動機の確認が必要とされるように。

 ただし、②は行為者の内心であり、絶対に、他者が客観的に確認できることではない。(※たとえ行為者が“自白”したとしても、それは〝嘘や、記憶ちがい”の可能性があるので、絶対ではない。)

 したがって、きちんとした学者は、よほどの確信がなければ、②について言及することはない。確信がない場合は、①(事実)だけを述べる。

 

「目的」「目標」「動機」という言葉はすべて「内心」を表しているので、たとえ行為者が言ったとしても、そのまま信用するわけにはいかない。

 特に、現代では、政治・外交・軍事・経済(商売)などの世界では、《言ってることと本心は別》というのが、ほぼ〝世界の常識”らしい。(※中華圏では、だますのは賢さの証明であり、「だまされた方が悪い(おろか)」というのが完全に主流らしい。)

 

・しかも、それらの言葉はほとんどの場合、「因果関係による階層的構造」をもつ。特に、複雑化した上記の世界では、階層と枝分かれ構造をもつ複雑な構造になる。

 例えば、単純な例:因(動機)1:《おいしいものをたっぷり食べたい》 (ので)→ 果1=因2:《カネをかせぎたい》 → 行為:せっせと就活する。

 複雑な例 ↓

 

 この図だけで言えば、山東出兵の目的は、直接的には、「移民保護(推進)」「資本保護(投下)」「満州権益確保」ということになる。より広げれば「満州の安定化」なども入ってくるだろう。現実の世界では、大きな行為(行動)の目的・目標はいくつもあることが多いようだ。

 

1 「山東出兵」の目的(理由)の描き方

 ウィキペディアなどを調べると、山東出兵の目的構造は、《A:在留日本人の保護・日本権益の保護 を達成するため → B:山東出兵=蒋介石指揮の国民(党)政府軍の進軍阻止を行う》となっていたようだ。

 

●「日本人保護」だけでは不十分だろう → △ 育鵬社。

●「日本人保護を名目に」・・・同上。なお、中学生の多くは「名目」を「たてまえ」や「口実」と解釈する可能性が高いと思われる。 → △ 日本文教。

●「満州などにもつ利権が危うくなる」・・・中学生は「利権」のなかに「日本人居留民の人権(生命・財産の保護)」が含まれるとは思わないだろう。 → △ 学び舎。

●「居留民保護を口実に」・・・中学生の多くは、「口実」とは「嘘の理由」と誤解する可能性が高いと思う。「居留民保護のため」は出兵の理由(の一部)だったのだから、誤解させないためには「…のために」と書くべきだろう。 → × 自由社。

 

※ 中学生に〝より真実に近い理解”をさせる説明は、「日本人居留民と日本の権益の保護のために」だろう。 

 

2「日本・満州・日本軍の状況」の描き方・・・ほぼ同じようだ。

 

~次回、まとめ3/3~

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