博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『山河令』その2

2021年03月29日 | 武侠ドラマ
『山河令』第13~24話まで見ました。


英雄大会を前に新キャラ登場。長明山の剣仙・葉白衣。不老長寿らしく、年齢は100歳を超えているようで、周子舒の師父とは昵懇の中だった模様。また、容炫の師でもあったようです。性格は武侠物でよく見る強いけど人の話をあんまり聞かない系のキャラですw


英雄大会では番狂わせがおこり、五湖盟の盟主・高崇が「毒蠍」の秘術により操られた愛弟子によりこれまでの悪事を暴露され、武林の領袖から一転武林の公敵となり、琉璃甲を粉砕して自害。高崇の中の人は古装でバリューのあるおっさん役がよく回ってくる黒子。

で、高崇の愛娘の高小憐は緑柳・桃紅の爺婆コンビに攫われてしまいます。実の所温客行も黒幕は高崇だと決めてかかっていたのですが、英雄大会での一連の経緯を目の当たりにして疑問を抱き始めます。


視聴者には五湖盟の二弟・趙敬が怪しいとバレバレなんですけどね (^_^;) 高崇の死後、彼は五湖盟盟主の座を継承し、義子である「毒蠍」の首領の蠍王らを駆使して暗躍を始めます。「趙玄徳」こと趙敬は本作の偽君子枠なんですが、蠍王をはじめやたらと若い使い手たちを義子として囲っています。

一方、周子舒&温客行は葉白衣、張成嶺らとともに「天下武庫」の創建に関わったという龍淵閣主に会うために蜀へと向かいます。その過程で親世代の過去の因縁やら温客行の過去も明らかに。容炫はもともと五湖盟の盟主たちの兄貴分だったのですが、何者か(おそらくは趙敬なんでしょう)の陰謀により毒薬が塗られた剣で傷つけられ、走火入魔してしまいます。

そして容炫の子かと思われた温客行は、実は容炫を治療しようとした神医谷の医師・甄如玉の子なのでした。彼ら一家はこれにより師門から追われたところを、一度は四季山荘の秦懐章(すなわち周子舒の師)に助けられ、幼年の温客行は四季山荘の二師弟となります。しかし彼ら一家は結局琉璃甲の行方を追う鬼谷の面々に殺害され、温客行は鬼谷の一員として育てられ、後に谷主の座を奪い取ったのでした。

最初から周子舒のことを師兄だと気付いていても、本人の前ではなかなか素直になれない温客行…… 一行は故郷とも言うべき四季山荘へと向かいます。このあたりの過去話は小出しの形で語られます。


その温客行の侍女であった顧湘は、相思相愛の仲となった曹蔚寧とともに、彼の師門である清風山へと向かいますが、どうやら温客行が鬼谷の谷主であることは武林中に知れ渡っているらしいと察知してしまい……というところで次回へ。
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『贅婿』その6(完)

2021年03月28日 | 中華時代劇
『贅婿』第31~最終36話まで見ました。


方天雷は劉西瓜と寧毅に賜婚することにし、嘘から出た真で2人は本当に結婚せざるを得なくなります。うーんこの「どうしてこうなった」という表情 (^_^;) 檀児とは形の上で離婚したことになっていますが、劉西瓜と再婚しても寧毅は方天雷の入り婿扱いされ、入り婿という立場には変わりがないんですよね。

で、結婚式が恙なく終わり、寧毅が官軍の密偵であるという疑いが晴れて方天雷が油断したタイミングで官軍の総攻撃が開始。火薬庫の屋根に穴を開けて雨が入るようにしたりといった寧毅の工作が実り、官軍は霖安の奪回に成功。方天雷は生け捕りにされますが、寧毅は密かに劉西瓜・陳凡ら覇刀営の面々を霖安より逃亡させます。そして楼舒婉は3つ目の墓に鮑文翰を葬り、彼の隠し財産と各地の緑林の地図を手に、宣威営の配下とともに夜な夜な移動を開始。彼女の新しい人生は始まったばかりです……


江寧の蘇府に帰還した寧毅は檀児と2人で結婚式のやり直しをします。しかしこれで一件落着とはならず、劉西瓜らは何とか方天雷の身柄を取り戻そうと武都へと向かいますが、寧毅の尽力で奪還計画は事前に阻止され、方天雷は霖安攻めの黒幕は靖国だと告白することで死罪は免れ、劉西瓜らも武都からの逃亡を密偵司により黙認されます。


あとは霖安陥落により後回しになっていた靖国への対応をどうするかが問題となりますが、ここで寧毅は両国間の開戦を回避するために武朝の皇帝周喆を担ぎ出します。周喆を演じるのは『大秦賦』の嫪毐役が印象的だった葉項明。


彼が靖国に赴いて靖国皇帝と直談判。こちらは古装のおっさん役でよく見る黒子です。色々あって武朝側が世子を人質として差し出すことで、靖国が長年占領していた青雲六州は武朝に返還され、中立的な交易地帯として運営されることになります。寧毅がここで、領土の回復は武力以外では果たせないのか?戦争は青雲六州に暮らす民に苦しみをもたらすことにならないか?という疑問を呈しているのは、現実の中国の領土問題への対応と重ね合わせると面白いです。

これですべてが解決したと思いきや、靖国皇帝の参謀の正体は……というところで第二季に続きます。

【総括】
設定、キャスティングと『慶余年』のパロディとしての要素が濃厚に感じられた本作ですが、入り婿の立場、女性と仕事などジェンダーの要素は『慶余年』にはないものです。

そして本作は『慶余年』と同じく劇中劇の体裁で進められる一方で、『慶余年』とは違ってこちらは敗残者の物語となっています。本作はネット小説家が書いていた現代ビジネス物の小説がサイト管理人の意向で打ち切られてしまい、主人公を無理やり異世界転生させて敗者復活させたという設定で、主人公の江皓辰=寧毅だけでなく語り手であるネット小説家自身も敗者復活を期す敗残者であるというわけです。この重層性も『慶余年』には見られない要素で大変面白いです。昨年配信の『花の都に虎われて』もそうなんですが、近年はこういう重層性を意識した異世界転生物が目立っていますね。
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『贅婿』その5

2021年03月23日 | 中華時代劇
『贅婿』第25~30話まで見ました。

寧毅は思いがけず侍女の小嬋や耿護院と再会し、霖安から逃したと思っていた檀児が自分を捜索するために霖安に留まっていたこと、そして山賊に攫われたことを知ります。


ついでに寧毅らを捜索するために霖安へと入城していた二房の父子ともニアミスw 真ん中が耿護院こと耿直です。

事情を知った陳凡、劉西瓜、楼舒婉、そして謎の女侠こと墨影(陸紅提が本名でこっちはコードネームらしい)らの協力で、寧毅は檀児を捜索します。墨影はどうやら秦嗣源配下の密偵だったらしく、寧毅と連携して工作活動を展開することとなります。


それでも檀児の行方は杳として知れません。しかし寧毅は自分の来ている服が彼女の発明のはずの防水布を使用していることに気付きます。檀児は実は楼舒婉の父と兄につかまり、楼氏布行で働かされていたのでした。寧毅は檀児が楼書恒に襲われそうになっている所を救出しますが、その際に楼書恒を射殺してしまい、父親の方も瀕死の重傷を負います。


鮑文翰の愛妾として地位を得ていた楼舒婉は実家での惨劇の跡を確認し、父と兄を葬ります。彼女が用意した墓碑は2つではなく3つあるようですが……?

二房の父子も含めて蘇氏一家と無事再会を果たした寧毅。あとは彼らと霖安を脱出するのみですが、折悪しく官軍の攻撃がはじまり、霖安から出るに出られなくなります。おまけに墨影らと夜な夜な方天雷の接収した火薬庫を襲撃したところ、待ち構えていた鮑文翰に顔を見られてしまい、彼を射殺してしまいます。そしてその過程で寧毅を庇おうとした耿直が死亡……

当然鮑文翰の部下たちは激怒し、寧毅の属する覇刀営と一触即発の状態に。方天雷はこの事態を招いた寧毅を殺そうとしますが、そこへ劉西瓜が「実は彼のことが好きなのだ」と寧毅を庇い…… 

一方その頃、宣威営では鮑文翰亡き後幹部が楼舒婉ら側妾たちを我が物としようとしますが、楼舒婉の方は配下の兵士の心をがっちりつかんでおり…… というあたりで次回へ。楼舒婉がかなり印象的なキャラになってきました。
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『贅婿』その4

2021年03月18日 | 中華時代劇
『贅婿』第19~24話まで見ました。

寧毅は檀児らを霖安から脱出させ、自分は居残って兵士とともに山賊たちと戦うことにしますが、衆寡敵せず、気絶したところを捕らえられたと思ったら、無理やり劉西瓜の軍師にさせられてしまいます。霖安を占領したことで城内統治のために公文書を処理できる人材が必要になったようです。


山賊たちのボス方天雷。モデルは『水滸伝』にも登場する方臘の模様。劉西瓜はこの方天雷の養女にあたり、覇刀営の首領に任じられています。彼女は今後のことも考えて民生の安定に努めるべきだと主張し、略奪上等の宣威営の鮑文翰と対立。


一方、江寧の蘇府では霖安の急変を知らされ、二房の蘇仲堪&蘇文興父子が寧毅らの捜索に向かうことに。

寧毅は何とか隙を突いて山賊たちのもとから逃亡しようとしますが、ここにやはり囚われの身となっていた男徳学院の同級生4人組と合流。城内の人々の安否を気遣う城外の人たちの意志も知り、敢えて山賊の軍師として食糧の調達と分配など、民生の安定に努めることになります。

密偵司指揮使の身分を生かして近隣の県の役所から食糧を獲得する一方で、軍中の兵糧を管理して私腹を肥やす鮑文翰を罠に掛けて食糧の民間への安売り競争を持ちかけ、食糧を放出させることに成功。

一方、霖安の豪商は方天雷への服従を強いられ、楼家では自分たちの保身のために、鮑文翰に見初められた楼舒婉を差し出そうと画策。父や兄に見捨てられたと感じた舒婉は一度は入水自殺を試みますが、寧毅に助けられて翻意。堅い決意を秘めて敢えて鮑文翰のもとに身を投じることにし……
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『山河令』その1

2021年03月15日 | 武侠ドラマ
『陳情令』の向こうを張るBL武侠ということで『山河令』を見てみることに。今回は全36話予定のうち第1~12話まで鑑賞。


時は五代十国(たぶん)。晋王の特務機関「天窓」の首領周子舒は主君の言いなりに暗殺業務を続けるのに嫌気がさします。そこで自ら「七竅三秋釘」を体に打ち、寿命を縮めることで組織を脱けることに。念のためマスクで容貌を変え、乞食として江湖を彷徨います。元々は四季山荘の後継者でしたが、自分の代で山荘を潰してしまったとか色々負い目があるらしい……


そこを、こちらは優雅に江湖を渡り歩く温客行にロックオンされ、行く先々でつきまとわれることになります。実は青崖山鬼谷の谷主で十大悪人を配下に抱えているのですが、周子舒らには身元を隠しています。


こちらは温客行のお伴の顧湘。武侠物でよく見るおてんばというか凶悪系の武少女ですが、一行のムードメーカーです。


で、周子舒は「五湖盟」の一角をなす鏡湖派が鬼谷十大悪人に全滅させられる現場に立ち会ってしまい、掌門の三男で鏡湖派唯一の生き残り張成嶺を「五湖盟」の盟主・高崇のいる岳陽山まで護衛することになります。

「五湖盟」はかつて大魔頭・容炫を倒した際に、彼の秘宝が隠された「天下武庫」を開く鍵である「琉璃甲」を五派で分け合っておりました。その「琉璃甲」を晋王配下の天窓、青崖山鬼谷、そして四大刺客を擁する毒蠍といった組織が虎視眈々と狙っており、更には「五湖盟」の内部でも、各派の掌門が他派の「琉璃甲」を手中に収めようとしております。

張成嶺は一旦は岳陽派に引き取られたものの、武功はからっきしということで同門の弟子からはいじめられ、「五湖盟」の師伯・師叔からは自分が隠し持っている「琉璃甲」を狙われたりして嫌気がさし、再び周子舒&温客行のもとに戻って周子舒に弟子入りします。しかし周子舒は張成嶺の今後のことも考え、彼を岳陽派に戻して高崇に「琉璃甲」を差し出させることにし……というあたりまで。

何と言うか今のところは何の変哲もない武侠です (^_^;) 思わせぶりな使い手が次々と出てきてはあっさり始末されるというあたりは古龍物の雰囲気が強いですかね。この点は金庸物のオマージュになっていた『陳情令』とは対照的になっていると思います。
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『戦争の中国古代史』

2021年03月14日 | 中国学書籍


今月講談社現代新書より『戦争の中国古代史』という本を出します。発売日は3月17日ですが、早い所だと明日あさってあたりから店頭に並び始めると思います。Kindle版も同時発売予定です。

Amazonでは目次が章単位しか上がってないので、見出しのレベルまでの詳細な目次を上げておきます。

まえがき
白登山の劉邦/本書の構成

序章 戦争の起源
戦争の出現を示すもの/軍権の象徴/中国最初の王朝交替

第一章 殷王朝 旬に憂い亡きか

第一節 干戈を動かす
大都無城/殷王朝と方国/干と戈/西方からもたらされた戦車/殷代に騎兵は存在したか/軍隊と徴兵/戦う王妃たち
第二節 殷王朝の落日
処刑された方伯/克殷前夜/牧野の戦い

第二章 西周王朝 溥天の下、王土に非ざる莫し

第一節 殷鑑遠からず
第二次克殷/敗者への視線/「中国」の原点/二つの中心/兵農合一の軍隊
第二節 国の大事は祀と戎とに在り
前線の指揮官として/周が対峙した人々/使役され統制される諸侯/軍事王から祭祀王へ/勝利に導く祖霊
第三節 「溥天の下」の内実
再び軍事王へ/戦車を駆使する玁狁/馬車の復原/崩れゆく周軍/西周を滅ぼしたのは何か
  
第三章 春秋時代 「国際秩序」の形成

第一節 東遷と新たな秩序の模索
二王並立と東遷/吾れ王を葛に逐う/覇者の魁/「国際政治」の誕生
第二節 覇者たちの尊王攘夷
五覇の登場/桓公の攘夷/楚の「創られた伝統」/宋襄の仁/城濮の戦い/機構としての覇者体制/三軍と六卿/滅びゆく小国
第三節 天下の甲兵を弭めん
戈を止めるを武と為す/呉と晋の通交/柏挙の戦い/黄池の会/三晋の成立
  
第四章 戦国時代 帝国への道

第一節 長い春秋時代
春秋と戦国の区切り/長城を修むる毋かれ/列国の称王
第二節 兵は詭道なり
軍事王からの脱却/呪術の排除/反戦平和のために/正しい戦争
第三節 短い戦国時代
商君変法の虚実/合縦連横/隗より始めよ/胡服騎射/帝国への胎動/長平の戦い/来るべき世界/この帝国の片隅に

第五章 秦漢王朝 「中国」の形を求めて

第一節 秦を亡ぼす者は胡なり
十二体の金人/長城と直道/物言わぬ兵馬俑/刻石が語ること
第二節 王侯将相寧くんぞ種有らんや
陳勝・呉広の乱/先んずれば即ち人を制す/懐王の約/約の如くせよ/楚漢戦争
第三節 漢と匈奴、二つの帝国
冒頓単于/そして白登山へ/反逆と亡命/草原帝国と中国
  
終章 「中国」の行く末
呉楚七国の乱/北へ南へ/「中国」の古代の終末

あとがき
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『贅婿』その3

2021年03月11日 | 中華時代劇
『贅婿』第13~18話まで見ました。

武都では政務に復帰した秦嗣源の主導で靖国との開戦が決定し、歳布の話が消滅。歳布のために店舗を担保に借金してまで生糸を仕入れてきた烏氏布行が窮地に陥ります。というか元々歳布の話はその程度に引っくり返るような胡乱な案件でしかなかったのか、宋都尉ら高官の旗振りでみんな確かな話だと何となく思い込まされていたわけですね。このあたり商売で政治に関わる怖さが示されてます。


そしてその宋都尉も謎の女侠こと陸紅提によって殺害され、烏啓豪父子は拠り所を失います。寧毅はここぞとばかりに反撃を開始して烏家の顧客を奪って破産に追い込み、蘇家を江寧の首富に押し上げます。

となるとあとは孫が欲しいと蘇家の岳母がせっつき始め、それまで別室で就寝していた2人はようやく寝床をともにすることに(そのために檀児は寧毅の寝室を燃やしてしまいます (^_^;))

で、寧毅は檀児と2人で霖安(臨安がモデルらしい)にハネムーンに出発……のはずだったのですが、侍女の小嬋や耿護院がお伴として着いていくことになり、更には男徳学院の同学たちもこっそり後を追ってきます。


霖安では檀児の幼馴染みでやはり布商の娘の楼舒婉が登場。中の人は『大秦賦』で趙姫役だった朱珠です。寧毅と同じく店舗に駐車場を設置したり、店内で安売りゾーンなどの区画分けをしたりしており、寧毅は思わず彼女が自分と同じく異世界から転生してきた者ではないかと疑ってしまいます。

楼舒婉は檀児と幼い頃に自分たちで布を作って店を出そうと夢を語り合い、長じては相応の商才を示しているわけですが、兄の書恒からは女だからと軽んじられ、彼女も横暴な兄に逆らうという発想が持てません。


一方、霖安郊外では方天雷率いる山賊が跋扈しており、彼らが城内に攻め入って霖安を占領してしまいます。ここで山賊の頭目のひとりとして劉西瓜が登場。ふざけた名前ですが、名前通り西瓜が好きなようです (^_^;) この世界ではカタギの商家より山賊の方が女性でも伸び伸び実力を発揮できるようです。

城内から出るに出られなくなった寧毅たちですが、ここで秦嗣源が武都に出立する際に餞別として寧毅に与えた小刀が、実は朝廷の密偵司指揮使の身分を示すアイテムだったことが判明。寧毅は城内の将軍に請われ、山賊たちとの戦いの指揮を執ることに……
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『贅婿』その2

2021年03月05日 | 中華時代劇
『贅婿』第7~12話まで見ました。


蘇檀児が晴れて蘇氏布行の掌印となった後は、江寧の布商が集う年に1度の濮園詩会が問題に。詩を披露する花魁を確保する必要があるのですが、競合店の烏氏の跡取り息子・烏啓豪に江寧中の花魁を押さえられてしまいます。


そこで寧毅が以前に川で溺れている所を助けた美女が伝説の花魁・聶雲竹だったことが判明。何で川で溺れてたかというと、家で飼ってるアヒルを絞めようとして逃げられてしまい、包丁を片手に追いかけてるうちに勢いあまって川に落ちてしまったという狂った理由です (^_^;)

彼女の披露する「水調歌頭」(蘇軾の詞ですが、当然この世界には蘇軾など存在しません。EDテーマの歌詞にもなってます)が大喝采を浴び、寧毅と檀児は面目を施します。

その頃、北方では新興の靖国が梁国を脅かすようになり、寧毅たちの暮らす武国ではそれまで梁に送ってた歳布を靖に切り替えることに。その歳布に充てられる絹布を、朝廷が江寧から調達することとなり、烏氏から買い上げるか蘇氏から買い上げるかが焦点となります。当然布商にとっては旨味のある商売となるわけです。

武都から江寧へと使者が派遣され、蘇氏では二房の縁戚にあたる韓主使がハッパをかけますが、宋都尉と結託した烏啓豪は江寧中の生糸を買い占め、蘇氏を追い込みます。かつ性懲りも無く檀児をおびき寄せて我が物にしようと画策。彼女を救出した寧毅は烏氏を潰すことを決意。


寧毅は聶雲竹が飼育するアヒルの卵を原材料にしての皮蛋の小売りに商機を見出します。ということで皮蛋の屋台チェーンの従業員となる男徳学院の同学たちw 烏啓豪の妨害に遭いつつもこれが思いのほか売上を伸ばし、総店として竹記飯荘を開店。蘇氏布行の方も支店をすべて一時閉店し、従業員を皮蛋の販売に従事させます。


で、今回は男徳学院の学院長・康賢の囲碁友達として登場した秦嗣源が梁国の滅亡を承けて宮廷に復帰することになり、寧毅が宋都尉の暗殺を狙う謎の女侠・陸紅提に弟子入り志願するあたりまで。

武国は北宋、梁国は遼、靖国は金がそれぞれ投影されている模様。寧毅たちの暮らす江寧は南京を指しているようです。街を流れる秦淮河はそのまんまの名前で出てきます。
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『山海情』その2(完)

2021年03月02日 | 中国近現代ドラマ
『山海情』第13~最終23話まで見ました。

凌教授と学生たちの尽力により金灘村の村人たちが双孢菇の栽培を開始。しかし販路が近隣の土地に限られることにより双孢菇はあっという間に供給過多となり、買い取り価格が大暴落…… しかも間の悪いことに陳金山の後任の麻副県長が村をモデルケースにしてキノコ栽培を県下で推進しようと画策。


馬得福は視察にやって来た領導たちの前で村の実情を暴露。寧夏側の代表の楊書記と福建側の代表の呉主任が善後策を練ることに。楊書記と呉主任の中の人は『武林外伝』で共演していた閻妮と姚晨ですが、同じく『武林外伝』の莫小貝役だった王莎莎も本作に出演しています。

そして責任を感じた凌教授も奔走し、外地への販路の確保に成功。福建の麦苗の方も、工場の火災で一心不乱に荷物を運び出したことが注目され、マスコミの取材を受けたりして一躍時の人となります。

時は流れて2001年。陳金山の講話に感化され、村の小学校に福建から大卒の先生・郭閩航が赴任。しかし白校長は生徒たちが家庭の事情で年齢をごまかして福建に出稼ぎに行かされるのに心を痛めていたのでした。


出稼ぎに行かされる子供たちのせめてもの思い出にと、県で開催される合唱コンクールへの参加を決めた白校長。しかしグラウンドの修復費用とコンクール出場のためのユニフォーム代を捻出するために、娘が仲介して福建側から学校に寄贈されたパソコンを売り払っていたことが発覚し…… ここで歌われている「春天在哪里」は改革開放を称える有名な童謡とのこと。

2004年。閩寧村は閩寧鎮へと昇格したものの、財政上は問題が山積み。特に前々から懸案とされていた農業用水路の工事で作業員への工賃の不払いが問題となり……


と、ここで王凱演じる潘書記が登場。『大江大河2』とナリが一緒です (^_^;) 鎮のトップを処断し、馬得福らに問題の解決を命じます。得福は鎮長代理となりますが、ここで用水路工事の入札をめぐって弟・得宝の建設会社への利益供与が疑われ、一時停職の処分。故郷湧泉村で、村に居残っている住民をすべて閩寧鎮への移住に同意させよと命じられます。

そして2016年。閩寧鎮では麦苗が興したブドウ栽培が根付き、鎮の名産となっており……

【総括】
ということで1991年から2016年までの四半世紀をあっという間に駆け抜けました。1998年頃の話というかキノコ篇以降は展開がちょっと忙しくなってましたね(一番面白かったのもキノコ篇のあたり)。せめて全30話程度あればと思いましたが、あるいは実際の中国の地方の経済発展の速度も体感的にはそれぐらいのスピード感だったのかもしれません。

しかし得福の最終学歴が農学校(おそらく高校相当)で得宝が中学に行ったか行ってないかという中、年の離れた妹の得花は当たり前のように高校に進学し、更には大学院の博士課程まで出てるという設定。このあたり経済力やら教育観の変化がモロに出てるなあと。
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2021年2月に読んだ本

2021年03月01日 | 読書メーター
中国史学入門 (研文選書)中国史学入門 (研文選書)感想
正史をはじめとする史書、経学など旧時代の学問の展開、近代的な考古学と文献史学との結合など、中国史学を学ぶうえで一通り知っておくべき要諦をまとめてくれている。『左伝』の成立に関する見解や「中華民族」に関する事項など、問題点も内包されているが……
読了日:02月01日 著者:

暗殺の幕末維新史-桜田門外の変から大久保利通暗殺まで (中公新書)暗殺の幕末維新史-桜田門外の変から大久保利通暗殺まで (中公新書)感想
桜田門外の変から紀尾井坂の変まで幕末維新の暗殺総ざらいという感じの内容だが、暗殺の政治的な評価、特に第六章で触れられている井伊直弼の顕彰とその反発をめぐる話が面白い。それが事実なのかどうか考えず暗殺に突っ走る刺客たちの姿は、同じ中公新書から出ている『民衆暴力』の問題意識ともつながる。本書の最後に触れられているように、若年の頃にそうした暗殺に関与し、さして反省すらしていなかった伊藤博文の末路には因果応報めいたものを感じる。
読了日:02月03日 著者:一坂 太郎

社会を知るためには (ちくまプリマー新書)社会を知るためには (ちくまプリマー新書)感想
社会学というか、社会学も含めた社会科学の世界に入るための導論。「緩さ」と「意図せざる結果」がキーワードとなっており、それに関連して陰謀論も俎上に挙げられいる。社会科学研究者は社会についての医者のようなものということだが、人文科学に対してその実践性が社会科学の特徴なのかととも思った。
読了日:02月05日 著者:筒井淳也

高校生からの韓国語入門 (ちくまプリマー新書)高校生からの韓国語入門 (ちくまプリマー新書)感想
ハングルの読み方から初歩的な文法、基本語彙、日本語との類似点と違いまで、韓国語がどんな言語なのかをザックリと教えてくれる。今年韓国に行く予定(だけは)あるのでハングルの読み方や片言の挨拶ぐらいは知りたいと思って読んでみたが、それ以上の役割を果たしてくれそう。
読了日:02月06日 著者:稲川 右樹

ウィリアム・アダムス: 家康に愛された男・三浦按針 (ちくま新書, 1552)ウィリアム・アダムス: 家康に愛された男・三浦按針 (ちくま新書, 1552)感想
ウィリアム・アダムスが日本にやってくる前の前半生も含めて、その生涯と歴史的な役割を描き出す。イギリス、オランダ側との関係の逐次的な変化や、家康の死後に幕府から冷遇されていくさまをじっくりと描いているのが面白い。本書を読むと家康が外交面で大変な見識を具えていたように見えるのだが、アダムス側あるいはオランダ側の史料による過大評価という可能性はないのだろうかとやや疑問に感じた。
読了日:02月07日 著者:フレデリック・クレインス

現代中国の秘密結社 -マフィア、政党、カルトの興亡史 (中公新書ラクレ, 716)現代中国の秘密結社 -マフィア、政党、カルトの興亡史 (中公新書ラクレ, 716)感想
歴史的な背景とともに探る現代中国の秘密結社。会党・幇会篇と邪教篇の二部構成。洪門が民主党派のひとつ中国致公党という形で取り込まれているという話、外売の配達員が結成するのが近代的な労組ではなく伝統的な結社になってしまうという話、中国政府の宗教弾圧が国民のキリスト教の教義への理解を不十分なものにしてしまい、却ってカルトの布教に有利な状況を作ることにつながっているという指摘が面白い。現代中国を理解するうえでなぜ秘密結社のことを知る必要があるのかというオチというか締めの言葉もよい。
読了日:02月10日 著者:安田 峰俊

『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか (講談社選書メチエ)『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか (講談社選書メチエ)感想
『論語』はどう読まれてきたかの歴史。注釈を中心とした解釈史がメインなのかと思ったら、定州漢簡や海昏侯墓出土竹簡なども使用しつつ『論語』成立史に意外と紙幅を割いている。朱熹の新注を「あまりにも自らの体系に固執しながら、古典を解釈する」と批判し、古注にシンパシーを寄せるが、「孔子の本来の教え」は古注ともやや遠いところにあるのではないだろうか。
読了日:02月13日 著者:渡邉 義浩

第三帝国 ある独裁の歴史 (角川新書)第三帝国 ある独裁の歴史 (角川新書)感想
第三帝国の成立から崩壊までを教科書的、かつ簡潔にまとめている。社会民主党よりはヒトラーをという思惑から政権首班に選ばれ、ナチの敵対者もヒトラーは早晩政権に行き詰まって失敗するだろうと甘く見ていたこと、今でも喧伝されがちなナチ体制による経済的成功も、戦争が起きることによって初めて割に合う、負債による軍需経済が成功の要因であったこと、更には戦争が始まると、密かに国民の貯蓄が戦時資金調達に利用されたことなどをまとめる。
読了日:02月14日 著者:ウルリヒ・ヘルベルト

不老不死: 仙人の誕生と神仙術 (志学社選書, 003)不老不死: 仙人の誕生と神仙術 (志学社選書, 003)感想
『抱朴子』『列仙伝』などの伝世文献だけではなく馬王堆漢墓帛書なども駆使しつつ解説。読みどころは丹薬、導引、房中術などについて解説した第4・5章。丹砂の服用が血を飲むことの代用ではないかとか、『論語』の老彭から老子・彭祖が分かれ出たのではないかという議論が面白い。仙人・神仙術に関するわかりやすい入門書となっている。
読了日:02月16日 著者:大形 徹

中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元 (講談社学術文庫)中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元 (講談社学術文庫)感想
今となっては古松崇志『シリーズ中国の歴史3 草原の制覇』が完全にこちらの上位互換になってしまっている。契丹に関係する部分が多くを占めるという構成も同様。ただ第四章の現地調査記は、この手の通史としては異例の内容ながら今読んでも面白い。文庫版あとがき等、その後の研究に関するコメントがないのも物足りない。
読了日:02月18日 著者:杉山 正明

〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く (講談社学術文庫)〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く (講談社学術文庫)感想
前近代のムスリム自身の世界認識、近代ヨーロッパでの「イスラーム世界」認識、そして近現代日本での認識と、三段階を経て我々日本人のイメージする「イスラーム世界」認識がどのように形成されていったのかを追う。三段階目では東洋史あるいはアジア史という歴史学の枠組みについても問題にしている。補章では「イスラーム国」について取り上げている。「イスラーム世界」という枠組み自体がある種のバイアスという指摘は、『中東政治入門』の論旨とも重なってくるだろうか。
読了日:02月20日 著者:羽田 正

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)感想
ヒトラーは選挙で首相になった、ナチ党は世論の支持によって政権を得たと単純に評価できるのか?ヒトラーの経済政策によりドイツは恐慌から脱したと手放しで評価してよいか?アウトバーンの建設についてはどうか?といった具合に、ヒトラーやナチ党について肯定的に評価されがちなポイントにツッコミを入れている。伝統的な保守派・右派の力がヒトラー政権を生み出す地盤となったと見ると、往時のドイツの状況は今の日本にとってなお大きな教訓となり得るのではないか。
読了日:02月22日 著者:石田 勇治

考古学はどんな学問か (ちくま学芸文庫)考古学はどんな学問か (ちくま学芸文庫)感想
標題作の第Ⅰ章で、文字通り考古学はどんな学問か、考古学ではどういう発想をするのかをザックリ語ってくれる。冒頭のトイレの種類と配置の例えが秀逸。実の所考古学にまつわるエッセー集という趣きだが、縄文時代の食料事情が意外と安定していたのではないかという評価、縄文土器から見出せる縄文人の数に対する意識、アメリカで先史考古学が人類学の中で扱われる背景などを面白く読んだ。
読了日:02月26日 著者:鈴木 公雄

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