博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ2022年7月

2022年07月15日 | 中華時代劇
『我叫劉金鳳』
『成化十四年』の辣目洋子主演のコメディ。田舎の不細工な村娘が実は宰相の娘で、都に出て皇后になって宮廷で騒ぎを引き起こすという内容のコメディ。皇帝のモデルが献帝、宰相のモデルが曹操ということだと思いますが、宮廷物のパロディというかアンチテーゼのようになっていて一風変わった感じで面白いです。登場人物の衣装が日本式っぽいということで炎上したのが残念…… これ、日本語版が出せるんでしょうか。

『星漢燦爛』
ド派手な予告編に騙されましたw 蓋を開けてみたら大家族物です。生まれてからこのかた両親と離れて意地悪な祖母や叔母に育てられ、いわばネグレクトされてしまって基本的な教養(識字能力すらあまりない)や人格を身につけ損なったヒロイン。突然両親が帰還してきて「これでもう安心」と思いきや、実母は同居する従姉妹を贔屓して自分をかわいがり……という感じなので、見ていて非常に辛いです…… こちらも衣装が一部和服っぽいということで炎上しました。

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2022年6月に読んだ本

2022年07月01日 | 読書メーター
フェミニズムってなんですか? (文春新書 1361)フェミニズムってなんですか? (文春新書 1361)感想
本編でフェミニズムに関連してよく話題になる、結婚、性暴力、教育、ケア労働などの問題に加え、間に挿入される対談でその他の問題、スポーツとジェンダーなどを補足するという構成。「そういう所で引っかかりを覚えるのか」と参考になる。第5章で言及される、同じ女性でも、たとえば白人女性と黒人女性とでは差別の経験は異なるという個別性の問題を指摘している箇所は、SNSでもしばしば議論になっていることもあり、興味深く読んだ。あるいは「弱者男性」の問題もこれと関わってくるだろうか。
読了日:06月01日 著者:清水 晶子
辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿感想
シャーロック・ホームズの舞台を同時代の香港に置き換えたパスティーシュ(あるいはパロディと言ってもいいかも)。実在の人物・団体や事件(清仏戦争など)を織り交ぜたり、武侠要素など中国、あるいは香港ならではの要素をふりかけ、清末を舞台にした歴史エンタメとして読んでも面白い。
読了日:06月04日 著者:莫理斯 (トレヴァー モリス)
イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」(光文社新書) (光文社新書 1199)イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」(光文社新書) (光文社新書 1199)感想
ヨーロッパ世界、イスラム世界、ユダヤ人の共存と交流の歴史。扱う時代が幅広く、それがバラバラに触れられるので読みにくいのが難点。個別のエピソードには興味深いものが多い。たとえば病院の制度はもともとムスリムの制度であったのが、十字軍遠征を通じてヨーロッパに取り入れられたのだという。現在の対立、相互不信の状況が歴史的に決して常態ではなかったことを示し、共存の重要性を説く。その認識・姿勢に大いに賛同したい。
読了日:06月07日 著者:宮田 律
新中国論: 台湾・香港と習近平体制 (1005;1005) (平凡社新書 1005)新中国論: 台湾・香港と習近平体制 (1005;1005) (平凡社新書 1005)感想
同じ著者の『台湾とは何か』『香港とは何か』の補編的な内容。納得できる点は多いが、やや煽りすぎかなという点もある。本書に足りない要素があるとすれば、韓国と日本、あるいは中華圏との関係であろう。韓国は著者の専門ではないが、日本の中国に対する印象の悪化は、韓国への印象の悪化と軌を一にしており、無視できる要素ではないだろう(たとえば、本書でも言及されている中国崩壊論とともに韓国崩壊論も語られてきたという流れがある)。次回作があるとすれば、このテーマに期待したい。
読了日:06月10日 著者:野嶋 剛
明治史講義【グローバル研究篇】 (ちくま新書 1657)明治史講義【グローバル研究篇】 (ちくま新書 1657)感想
外国人研究者を中心とする論集。本書の内容は、①同時代の海外の目から見た明治維新、②外国人研究者によるグローバルが絡まない研究、③海外の研究動向に大別され、まとまりに欠ける。元の国際シンポジウムの会議論文集ならそれで良かっただろうが、一般向けの読み物としては①に絞った方が良かったのではないか。内容は、特に第12講で、「親日」と思われてきたオスマン帝国人も、実際のところ明治日本のイメージは否定も含めて多様であったと指摘しているのが興味深い。
読了日:06月19日 著者:瀧井 一博
新疆ウイグル自治区-中国共産党支配の70年 (中公新書 2700)新疆ウイグル自治区-中国共産党支配の70年 (中公新書 2700)感想
当初は連邦制的な枠組みも模索されていたこと、統制には時期によって緩急があったことなどは興味深い。また、大躍進、文革、改革開放、ソ連崩壊、911事件など、自治区の政策の動向は(当たり前のことながら)中国全体の政策や海外の動向と連動していたことがわかる。漢族が相手なら問題になりにくい所、相手が少数民族であったことが「炎上」につながる傾向があったと言えそうである。当局の「脱貧困によって問題が解決される」という考え方は、しばしば日本の保守派が日本の状況について取りがちな発想なのが気になるが…
読了日:06月23日 著者:熊倉 潤
帝国日本のプロパガンダ-「戦争熱」を煽った宣伝と報道 (中公新書 2703)帝国日本のプロパガンダ-「戦争熱」を煽った宣伝と報道 (中公新書 2703)感想
錦絵、絵はがき、写真、活動写真、新聞、グラフ誌等々、戦争をめぐるメディアの歴史。日本と、日本と敵対した国のプロパガンダの状況が対比的に扱われているのが面白い。現在のプロパガンダの諸相は……と、ネットをめぐる状況を連想させる作りになっている。
読了日:06月25日 著者:貴志 俊彦
GHQは日本人の戦争観を変えたか 「ウォー・ギルト」をめぐる攻防 (光文社新書)GHQは日本人の戦争観を変えたか 「ウォー・ギルト」をめぐる攻防 (光文社新書)感想
本書によると、ウォー・ギルト・プログラム(いわゆるWGIP)のプロパガンダとしての効果は限定的で、プログラム自体も尻すぼみで終わったということになりそうである。当時の日本人の反応を見ると、日本自身の戦前・戦中のプロパガンダないしは洗脳の方が余程効果を及ぼし、呪縛力も強かったということになりそうである。著者のスタンスとしては幾分日本人の方に寄り添ってはいるが、当時の我々は戦争の実情を知らされていなかったことを踏まえつつも、ここまでふてぶてしくなれるものかという印象を抱いた。
読了日:06月28日 著者:賀茂 道子

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