博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

2021年版『天龍八部』その1

2021年08月26日 | 武侠ドラマ
2021年版『天龍八部』第1話~10話まで鑑賞。全56話予定です。


物語は北宋の哲宗期。丐幇では汪剣通が幇主の座を愛弟子の喬峰に譲ろうとするあたりから始まります。少林寺に挑戦を申し出た慕容復を打ち破ったり、宋に攻め込んだ遼の南院大王の軍を官軍とともに撃退したりと功績を重ね、周囲の信頼を得て晴れて第九代幇主に就任します。

展開はおおむね原作通りなのですが、喬峰回りは原作開始以前のエピソードをかなり補足しています。そして原作では出番が後の方になる慕容復と虚竹も序盤から顔見せ的に登場。


もちろん序盤の主人公段誉の活躍ぶりも描かれます。


鍾霊、そしてこちらの木婉清といった美少女と出会ったと思ったら2人が異母妹であることが判明したり、凌波微歩や北冥神功を身につけたり、南海鱷神の岳老三に目を付けられたりしてますが、このあたりは原作通りですね。


そして艶福ぶりから妻子を振り回す段正淳 (^_^;)

今回は段誉が六脈神剣を身につけ、鳩摩智に攫われるあたりまで。キャスティング的にはどうしても2003年版より見劣りしますが、シナリオは割と丁寧で、アクションもまあまあです。出来としては悪くないです。2013年版よりは楽しく見られるのではないかと思います。
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『鎮魂』その1

2021年08月23日 | 中国科幻ドラマ
『山河令』のPriest原作ということで前々から気になってた『鎮魂』を見てみることに。今回は全40話中第1~8話まで鑑賞。

地球によく似た星「海星」は太古の昔、海星人、亜獣人族と地星人による抗争が繰り広げられていた。そして二大勢力感の和解の結果、海星人と亜獣人族が地上で暮らし、地星人が地底で暮らすことになり、そこから長い年月が経過して現代へ。


主人公その1沈巍。龍城大学教授。専門は生命工学。彼の大学で殺害事件が発生した所から物語が始まります。


主人公その2、地上へと脱走した地星人絡みの不可解な事件を専門に扱う特別調査処の処長趙雲瀾。龍城大学での事件を担当したことから沈巍との腐れ縁が始まります。というかこの2人、前世からのつながりがあるようです。

特別調査処では彼のような海星人のほか、猫の化身の大慶、蛇女の祝紅のような亜獣人族も処員として勤務しています。で、この特別調査処の面々と沈巍が地星人の引き起こす怪事件に取り組んでいくわけです。ここまでは毎回読み切り形式で話が進んでいきます。


そして事件のたびに一同の前に姿を現す謎の黒袍使。地上に脱走した地星人の取り締まりが任務のようですが、その正体は謎に包まれている……って中の人が誰だかバレバレなんですがw


今回は親類のコネで特別調査処に配属されたパンピーの郭長城が、仲間の信頼を勝ち得て正式処員として採用されるあたりまで。
コメント (4)
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『大決戦』その3

2021年08月19日 | 中国近現代ドラマ
『大決戦』第21~28話まで見ました。

国民党側が確保する長春で食糧不足が喫緊の問題となり、民衆が兵糧を略奪しようと暴動を起こします。そして長春を守る第60軍と新七軍が共産党側に降伏し、長春が陥落。


蔣介石のもとに長春の司令官鄭洞国が自殺して殉国したという情報が伝わった後、それは誤報で実は部下に促されて彼も投降していたとわかると模範的な軍人から裏切り者に評価が一変 (^_^;) 結局国民党側の公式発表では自殺して殉国したことにされてしまうのですが……


そしてこのあたりで唐突に登場する鄧小平。

その後も蔣介石が錦州奪回にこだわって現場に困惑と混乱をもたらしたこともあり、遼西での戦いも共産党側が勝利。更には東北の中心都市瀋陽が陥落し、三大戦役のひとつ遼沈戦役は共産党の勝利ということで決着。

総司令の衛立煌はいち早く飛行機で現地から脱出しようとしますが、その行動は南京の蔣介石にバレバレで、電話で叱責されるのでした。現地住民を置き去りにしてエライ人だけが飛行機で逃亡というのは、目下のアフガン情勢で見られる光景とも重なりますね。

そして蔣介石はアメリカ大統領選挙で自分たちとつながりの深いデューイが当選すれば、アメリカからの支援が存分に得られると皮算用をしていましたが、トルーマンが当選したとの報が届き…… 天はどこまでも総統に試練を与えます。

東北方面は共産党側に押さえられましたが、次なる戦いの舞台は華東。ということで三大戦役の二番目淮海戦役の火蓋が切って落とされます。


そして徐州でも国民党側の司令官何基灃と張克侠がともに語らって共産党側に降伏。兵士とともに橋を走って渡り、共産党側の陣地へ。画像では伝わりにくいですが、画面の奥から手前に走ってくる演出が無駄にカッコいいw
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『隠密的角落』

2021年08月12日 | 中国近現代ドラマ
『隠密的角落』全12話を見ました。『バッド・キッズ』の邦題で既にWOWOWで日本語版が放映済みなのですが、原作小説の日本語版(『悪童たち』というタイトルで全2冊、ハヤカワ文庫から出てます)を読んだので、ついでにということでドラマ版も見てみることに。


物語は中学生の少年朱朝陽(右端)のもとに、その幼馴染みで孤児となって故郷を離れていた厳良と孤児仲間の少女岳普が訪ねてきたところから始まります。3人は記念にということで地元の名所六峰山に遊びに行き、頂上でビデオカメラで記念撮影をしたりしてましたが……


そこで少年宮(日本にはない施設なのですが、取り敢えず青少年文化センターのようなものと考えてください)の数学講師張東昇が妻の両親を崖から突き落とす様子がバッチリ映像として収められておりました。

これを警察に突き出すかどうか逡巡する3人ですが、岳普の弟の手術費用を賄うための手段とすることにし、張東昇と接触して映像を記録したカードと引き換えに30万元の現金を要求します。

これだけで話が終わらず、張東昇は妻の殺害にも手を染め、朱朝陽らは偶発的事故とはいえ、少年宮で朝陽の異母妹(離婚した父親と後妻との間の子)を事故死させてしまいます。それぞれ泥沼にはまっていく彼ら。そして少年たちと張東昇との間には信頼関係のようなものが芽生えていきますが、あることをきっかけに関係が破綻し……


ということで原作の筋もある程度拾ってますが、オリジナル要素の強い作品となっています。厳良(これも原作では丁浩で、厳良は作中の別の人物の名前なのですが)の後見人を自認する老警官陳冠生など、オリジナルキャラも登場します。

原作小説は割と救いのないダークな締め方なのですが、ドラマの方は良くも悪くも日本の刑事物のような締め方となっています (^_^;)
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『大決戦』その2

2021年08月04日 | 中国近現代ドラマ
『大決戦』第11~20話まで見ました。


共産党側は山東省の首府済南を陥落させます。これが省都を奪われた最初の例ということで、蔣介石は衝撃を受けます。東北でも錦州郊外の白老戸頭で決死の攻防が繰り広げられます。こちらは国民党が攻める側となりますが、共産党側は戦車部隊の猛攻に耐えつつ防衛に成功。


危機感を覚えた蔣介石は軍幹部たちを集め、作戦会議をするのかと思いきや自著の『剿匪手本』の朗読を始めます。幹部たちは困惑しつつも朗読が終わると拍手をしますが、当の蔣介石は「拍手などいい」「お前ら真剣に聞いていなかっただろう?」と、ひとしきり説教を始めます。このドラマの蔣介石、割と「こんな蔣介石はイヤだ」という人物像を体現しております (^_^;)


白老戸頭の勝利を受けてハルビンから錦州へと列車で移動を開始する林彪。中の人は陳独秀の生まれ変わりです。腰が重く、自分の娘を叱りつけた時は周りから「子どもは打つくせに錦州は打たない」などと嫌味を言われたりしてました。しかし列車に乗り込んでも「状況が変わった」など言い出して列車を停止させ、遅々として進みません。


そして共産党側はやはり錦州近郊の義県を陥落させますが、東北民主聯軍(共産党側が元の満州国の地域で結成させた軍隊)の砲兵司令の朱瑞が地雷を踏みつけて爆死してしまいます。この情報を受けた林彪はようやく錦州への直進を決意。

一方、北平では国民党の人士がパーティーで朱瑞の死を祝ったりしておりますが、蔣介石が「お前たちには優れた敵将に対するリスペクトがないのか」「我々は朱瑞に学ぶべきだ」と静かに怒りを示し、お祝いムードに水を差し、朱瑞の冥福を祈る献杯を求めます。この面倒くささがたまらないw

その後も共産党側が塔山を攻め落とすなど、錦州戦役は共産党側優位に進み、双方多大な犠牲を出しつつも共産党側の勝利が確定。国民党側の司令官范漢傑も共産党側の捕虜となります。

当然蔣介石はお怒りですが、敗戦の責任を面詰された闕漢騫は「我が軍が敗北したのは、こちらは数を恃むばかりで敵軍の方が優れていたからです」とぶちまけて拘束されてしまい……
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2021年7月に読んだ本

2021年08月02日 | 読書メーター
中国史SF短篇集-移動迷宮 (単行本)中国史SF短篇集-移動迷宮 (単行本)感想
今までのアンソロジーでもタイムスリップ物など歴史に関係する作品を面白く読んできたので、待ってましたという短編集。やはりタイムスリップに関係する作品が多いが、「時の祝福」は魯迅小説のパロディとしても面白い。中国古代にコーヒーが存在したらという「南方に嘉蘇あり」もパロディとして秀逸。作者の衒学趣味が良い方向に作用している。最終篇となる「永夏の夢」は不思議な味わいの作品。
読了日:07月02日 著者:

魔道祖師 3 (ダリアシリーズユニ)魔道祖師 3 (ダリアシリーズユニ)感想
今回は温寧、温情、阿苑と温氏巻。温寧、温情はドラマでは序盤から登場するが、原作ではここで初登場。しかしキャラクターの印象は強い。阿苑についても出会いと、思追が阿苑なのではないかという示唆が同時に描かれることで、より効果的になっているように感じる。
読了日:07月05日 著者:墨香銅臭

藤原仲麻呂-古代王権を動かした異能の政治家 (中公新書 2648)藤原仲麻呂-古代王権を動かした異能の政治家 (中公新書 2648)感想
藤原仲麻呂と言えば政権を握った全盛期以後の印象しかないが、算術による実務能力が評価された点、兄豊成への対抗意識、人生の要所要所で影響した疫病の流行、橘奈良麻呂の変の鎮圧など、前半生についても詳述。仲麻呂の乱は、淳仁天皇に対する孝謙上皇のクーデタの側面が強いということで、「孝謙上皇の乱」と位置づけている。最後に仲麻呂の残した歴史的な影響をまとめているのも良い。
読了日:07月07日 著者:仁藤 敦史

中国共産党、その百年 (筑摩選書)中国共産党、その百年 (筑摩選書)感想
党成立以前に存在した同名の政党から新型コロナまでの中国共産党の歴史。党国体制のもとで党の歴史はかなりの程度国家の歴史と重なると言いつつも、今時の若者の党に対する見方など、党の歴史ならではのトピックが詰め込まれている。大冊だけあって、本筋をちゃんと押さえつつ散漫にならない程度に余談的な話も面白く読めるようになっている。基本的な知識と豆知識的なことと両方身につけられる良書。
読了日:07月11日 著者:石川 禎浩

図説 明治政府図説 明治政府感想
内閣制度以前の太政官制の時期の各機関についても詳述されているのがよい。正院や右院、あるいは岩倉使節団派遣時の留守政府の約定書など、個別のトピックで所々近年の理解がまとめられている。
読了日:07月14日 著者:久保田哲

近代アジアの啓蒙思想家 (講談社選書メチエ)近代アジアの啓蒙思想家 (講談社選書メチエ)感想
「一身にして二生を経」たアジア各地の啓蒙思想家たちと、少しずつ似ていて少しずつ違う各国の近代化。最後に語られる、著者が「ユニーク」と表現する日本の立ち位置が印象的である。アジアの一員でありながら西欧植民地国側の一員でもあったという矛盾は、現在の思想や国際関係にも大きな影響を及ぼしているのかもしれない。
読了日:07月16日 著者:岩崎 育夫

志士から英霊へ: 尊王攘夷と中華思想 (犀の教室Liberal Arts Lab)志士から英霊へ: 尊王攘夷と中華思想 (犀の教室Liberal Arts Lab)感想
著者のエッセー、論文等を収録したものだが、近年大河ドラマで注目された西郷隆盛と吉田松陰を取っかかりに尊王攘夷思想、水戸学、太平記、そして中国での朱子学・陽明学に関する諸問題へと及んでいく。特に1章は著者久々の大河本としての性質も兼ねているが、尊王攘夷、水戸学と無縁どころか大いに関わりのある今年の大河を肴に続編を書いて欲しいところである。
読了日:07月18日 著者:小島 毅

徳川忠長: 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇 (歴史文化ライブラリー 527)徳川忠長: 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇 (歴史文化ライブラリー 527)感想
家光と忠長の関係は巷間に言われてるほど悪いものではなく、むしろ良好だったと見られるが、忠長の乱行は幼少期に両親に偏愛されたこととその後の状況とのギャップ、そして異母弟正之の出現が影響しているのではないかとのこと。家光は最後まで弟の改悛を望んでいたが、秀忠死後の政治状況の不安定さもあり、悲劇的な結末となったとする。忠長像というより家光像をやや塗り替えたという印象を受けた。
読了日:07月20日 著者:小池 進

中先代の乱-北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (中公新書 2653)中先代の乱-北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (中公新書 2653)感想
一時的にでも鎌倉を押さえたというのはかなり強いインパクトを与えたのだなという印象。中先代の乱以外の、幕府滅亡後の北条氏残党による蜂起についてもまとめられており、高時の弟泰家の動向も押さえてある。乱の位置づけは単なる鎌倉幕府再興運動というよりも、建武政権に対する武士の不満を具現化したものと位置づけており、その他の残党の反乱も同様の性質を持っていたとする。旧時代の主役たちも新時代の過渡期にあってはまだまだ担うべき役割があったようだ。
読了日:07月21日 著者:鈴木 由美

妻と娘の唐宋時代 (東方選書)妻と娘の唐宋時代 (東方選書)感想
唐宋時代の女性の地位は?時代の移り変わりによる変化は?夫婦や家族の関係は?家族の構成や人口比?こうした問題を小説、判決文、戸籍類など多彩な史料から探り出していく。ジェンダー論としても史料論としても読むことが出来る。本来そういう用途のために書かれたものではない史料から女性のあり方について読み解いていく試みは研究の参考になるだろう。
読了日:07月23日 著者:大澤 正昭

米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界 (中公新書 2650)米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界 (中公新書 2650)感想
この手のテーマでは中国側に主軸を置き、中国に批判的に解説するというパターンが多いが、こちらは逆にアメリカ側に主軸を置き、アメリカに批判的な視点もある。ただ、中国側が改革の意思を示せば評価したというのは、欧米の中国観が甘かったというよりも、改革という行為を過大に評価する当時の「改革病」の現れではないかと思う。対中支援によって中国が期待通りの方向に進んでいくはずという見方についても、アメリカの傲慢さの現れという批判も可能だろう(例えば子育てなんかでも、子どもは親の都合や期待通りに育ってくれるわけではない)。
読了日:07月26日 著者:佐橋 亮

悪童たち 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)悪童たち 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
上下巻まとめての感想。上巻から主役の朱朝陽少年に感情移入できそうな感じで話が進められていくが、ラストで示唆されることからすると、彼は友人たちをどう思っていたのか?丁浩、夏月普の残る2人の子どもたちについても二面性が示唆されている。社会派ミステリという触れ込みで、孤児たちや片親家庭の境遇などそういう要素も確かにあるのだが、心理面の問題の方が印象に残る。
読了日:07月29日 著者:紫金陳

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