博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2023年10月)

2023年10月02日 | 中華時代劇
『異人之下』
張楚嵐はぼっちの普通の大学生……と見せかけて、実は異能力を持つ異人で「八奇技」のひとつ「炁体源流」の使い手だった。それが故郷の村でたった一人の身寄りだった祖父の遺体が盗まれた日からすべてが一変し…… ということで『少年歌行』の現代版みたいなノリの、夢のあるアクション満載のドラマです!異能力アクションと見せかけて武当山とか龍虎山も登場しますw 『陳情令』以来の修慶とか大物おっさん俳優も続々登場。しかし今年は本当に武侠が豊作ですね。

『九義人』
煙雨繍楼で針子の修業をする孟宛と藺如蘭はルームメイト同士。しかし楼主の呉廉は針子たちを次々と我が物にし、孟宛たちもその毒牙にかかる。藺久々如蘭は呉廉を告発しようとするが、街の人々の信頼が厚く有力者とも結びついている彼を訴えるのは並大抵のことではなく、様々な困難に見舞われた末に自害の道を選ぶ。そして7年後…… ということで昨今のジャニーズ問題を投影したようなドラマです。久々に(なぜか)日本の時事問題とシンクロしてしまったような作品が来ました!しかも如蘭への二次加害など、胸糞が悪くなるレベルで嫌なリアリティに溢れています (^_^;) 今年の暫定ナンバーワンドラマです!
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2023年9月に読んだ本

2023年10月01日 | 読書メーター
客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書 427)客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書 427)感想
数値に代表される「客観性」を偏重することで見落とされるものを個々人の経験と語りを重視することで埋めていこうという内容で、想像していたものとはかなり違う方向の議論となっていた(少なくとも本書の帯にある「それって個人の感想ですよね」「エビデンスはあるんですか」などのフレーズの問題点を挙げる本ではないと思う)。私と同様に肩透かしを食らったように感じる読者も多いと思うが、内容は確かに「客観性の落とし穴」についてであるし、著者の言いたいこともわかるという内容。
 
読了日:09月01日 著者:村上 靖彦

はじめての人類学 (講談社現代新書)はじめての人類学 (講談社現代新書)感想
マリノフスキ、レヴィ・ストロース、ボアズ、インゴルドといった著名な人類学者の事績を通じて学ぶ人類学入門。「交叉いとこ婚」「トーテミズム」など人類学の重要な基本用語もいくつか途中で触れられるという作りになっている。終章で多少言及されているが、日本の人類学のあゆみについても触れて欲しかったというのは無い物ねだりか。
読了日:09月03日 著者:奥野 克巳

ハイチ革命の世界史 奴隷たちがきりひらいた近代 (岩波新書 新赤版 1984)ハイチ革命の世界史 奴隷たちがきりひらいた近代 (岩波新書 新赤版 1984)感想
世界では初めて黒人の手で独立国が成立するという画期的な革命であったことが、フランスの軍事的圧力による、独立承認と引き換えの多額の賠償金など、現在にまでつながる苦難のもととなったという過程と理不尽を描く。アメリカのハイチへの軍事介入は、戦後の日米関係や現代アメリカの国際的な振る舞いの淵源が見て取れるだろう。欲を言うと、ジャレド・ダイアモンドがハイチの貧困について、隣のドミニカと比較して環境決定論的な分析をしていたと思うが、これについてのコメントも欲しかったところ。
読了日:09月07日 著者:浜 忠雄

古代史講義【海外交流篇】 (ちくま新書 1746)古代史講義【海外交流篇】 (ちくま新書 1746)感想
読みどころは日本と百済、新羅、高句麗など朝鮮半島の諸国との関係や渡来人に関する章だろうか。(個人的に日中関係についてはある程度知識を有しているという事情もあるが……)日本と新羅の関係は、両国が対立しつつも自国中心の国際秩序を形成するうえで互いに互いを必要としていたというのは、著者は現在の日韓関係になぞらえているが、日中関係の方が当たっているような気もする。その他の章では鑑真の章が存外に面白く、鑑真の専著を読んでみたくなった。
読了日:09月09日 著者:

Z世代のアメリカ (NHK出版新書 700)Z世代のアメリカ (NHK出版新書 700)感想
軍事費の増強よりも社会保障費など「人間の安全保障」を求めるサンダースに共感し、バイデンやハリスに失望を隠さず、「現実主義」の観点から米中協調を支持してTikTokなど中国製アプリの規制に抵抗感を覚え、対外関係での自国の偽善とダブルスタンダードを批判する。本書から見えてくるアメリカのZ世代の姿はこのようなものになるだろうか。そしてあとがきに見える、ロシアを批判するのであれば、アメリカもきっちり批判するべきである、そうしてこそ自分たちのロシア批判に説得力が生じるという意見には同意しかない。
読了日:09月11日 著者:三牧 聖子

中国の城郭都市 ――殷周から明清まで (ちくま学芸文庫 オ-36-1)中国の城郭都市 ――殷周から明清まで (ちくま学芸文庫 オ-36-1)感想
中国の各時代の都市の城郭の形状、大きさ、都市内部の構造や都城プラン、都市の地理的位置に加え、州郡県といった各時代の行政単位の変遷や戦争の変化など、都市に関係する政治・社会上の変化を追う。先秦の都市についてはさすがに古さが目立つが、巻末の解説が補っている。解説では新石器時代の城壁都市の発見や許宏の「大都無城」説など、本書刊行後の研究の進展や発見を紹介している。
読了日:09月13日 著者:愛宕 元

ルポ 大学崩壊 (ちくま新書 1708)ルポ 大学崩壊 (ちくま新書 1708)感想
最初の文科省による国公立大学の学長、総長等大学幹部の人事介入の話だけでも、軍事研究に否定的な候補者の排除、特に下関市立大学では安倍絡みの人事であることが疑われる(もっと言えば、個人的には統一教会も関係しているのではないかと疑っている)等々が示唆され、お腹いっぱいになる。最後の章を見ると山形大の事例なんかは天下り人事が引き金となっているようなので、究極的には大学のすべての問題は文科省、ひいては統制を志向する国家の問題ということになるのだろう。
読了日:09月15日 著者:田中 圭太郎

北京の歴史 ――「中華世界」に選ばれた都城の歩み (筑摩選書 263)北京の歴史 ――「中華世界」に選ばれた都城の歩み (筑摩選書 263)感想
農耕文化と遊牧文化とが接触する境界都市としての北京の歴史を新石器時代から現代まで辿っている。燕国が置かれた西周時代など、古い時代についてもガッツリ書いていて読み応えがある。また都城の構造だけでなく明清の紫禁城の双肩
構造についても詳述している。明清以前では、安禄山が北京地区に強いアイデンティティを持ち、北京の地域性が安史の乱のバックボーンとなったことや、金の海陵王による中都(=北京)への遷都に彼の先見性を評価しているのが面白い。
読了日:09月19日 著者:新宮 学

隋―「流星王朝」の光芒 (中公新書, 2769)隋―「流星王朝」の光芒 (中公新書, 2769)感想
前史から建国、滅亡まで、たかだか30~40年程度、実質2代で滅んだ隋について、よくこれだけ書くことがあったなと思いつつ読んだ。高涼の洗夫人や「忠臣」堯君素、沈光、隋室を外から支えた義城公主ら和蕃公主たちといったように、知られざる人物やエピソードも多々掘り起こしている。隋の君主には皇帝、河汗、菩薩天子の3つの顔があったこと、隋室が鮮卑、突厥、漢人のハイブリッドと言うべき存在であったこと、煬帝が漢の武帝を目標としていたこと、そして李世民と煬帝の関係などが印象に残った。
読了日:09月23日 著者:平田 陽一郎

紫式部と藤原道長 (講談社現代新書)紫式部と藤原道長 (講談社現代新書)感想
表題の二人の生涯と関わりを、紫式部らの和歌を交えて描き出している。『源氏物語』の執筆に道長が関与していたことについて、当時の紙の値段も踏まえて考証しているのは面白い。また、作中の政治状況などについても、当時の実際の朝廷の状況を参照しているようだ。本書後半は紫式部の動向が不明確となることから、「藤原道長と藤原実資」といった方がふさわしくなっているのがナンであるが……(そして実資は本書のもうひとりの主役と言うべき人物である)
読了日:09月27日 著者:倉本 一宏

1973年に生まれて: 団塊ジュニア世代の半世紀1973年に生まれて: 団塊ジュニア世代の半世紀感想
団塊ジュニア世代の視点を中心に振り返る世相史といった内容。それこそ世代的な問題か野球の話題が多い。著者は元コンピュータ誌の編集者ということだが、意外とゲームの話題は少ない。意外なのは、この世代の大学進学率から、子どもの人口増加に大学の枠の増設が間に合ってなかったのでははないか、あるいはこれはその後の人口減少を見据えていたところがあるのではないかと見る議論。普通は大学を作りすぎという方向になりがちだが……
読了日:09月30日 著者:速水 健朗

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