淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

松本清張賞受賞作、蜂須賀敬明の「待ってよ」を読む。うーん。これはちょっとキツイなあ。

2016年09月08日 | Weblog
 松本清張賞を獲った20代の新人作家、蜂須賀敬明の「待ってよ」を読んだ。
 「墓場からゆりかごまで、時が逆さまに流れる街」、つまり、老人として生まれて赤ん坊で死んでゆくという異空間にやってきた、マジシャンの物語である。

 簡単に言っちゃえば、SFファンタジー・ロマン小説と呼べばいいのだろうか。これまでの松本清張賞作品とはまったく異質な小説だ。

 今回の受賞作品である蜂須賀敬明の「待ってよ」、選考委員たちからは大絶賛。
 角田光代、三浦しをん、桜庭一樹、石田衣良ら全員が、「今まで読んだことのない作品」と褒めまくっているのである。

 そりゃあ、期待して読むでしょう。
 ところが、読み始めてゆくと、すぐに辛くなる。
 特に物語自体の展開が目まぐるしく変化するわけでもなく(もちろん、不思議な街に関する様々な描写には惹き込まれる部分もあるにはあるけれど・・・)、ただ延々とどうでもいいような会話が続いて、途中から投げ出したくなった。
 矛盾点もいっぱいあるし・・・。

 それでも最後まで読むのを止めなかったのは、ラストにどんな結末が用意されているのか、そこに興味が惹かれたからである。
 そしてそのラストだけれど、特に大きなどんでん返しも意表をつく結末も用意されているわけじゃなかった。なかったけれど、このラストはラストとして、個人的には悪くはないと思ってる。

 最後の数十ページは特に面白く読めたとは思う。
 でもなあ、これがなんで松本清張賞なわけ?
 まあ、これまでの地味な賞から大きく若い層への脱皮を図ろうとした、文藝春秋社の戦略なのかもしれないが・・・。

 松本清張賞作品だと思わずに、ちょっぴり村上春樹風なテイストを持った、一つの文学作品として読んだのなら、それなりに先入観なく読めたかもね。

 アマゾンの「カスタマーレビュー」では、散々な評価で埋まってましたけど・・・。











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