ニュースを見たら、抗うつ剤である「パキシル」(勿論、まったく知りませんが)の副作用が疑われる自殺者が、2005年度、2006年度と、2年連続で2ケタに増えたことが厚生労働省などの調べで分かったのだとか。
パキシルという薬、うつ病やパニック障害などには有効で、若い人を中心に自殺行動を高めるケースがあり、説明文書にも警告や注意がちゃんと明記されていて、厚労省は医療関係者に対して、きちんと適切な処置を行うようにと呼びかけているとのことである。
抗うつ剤パキシルは世界で発売されていて、抗うつ剤全体の約25%を占めるまでになっており、日本においては、うつ病などが増加傾向で、1996年の43万3000人に対し、2005年は、なんと倍以上の92万4000人にまで上っている。
92万人! 凄い数である。
テレビのNHKスペシャル「30代のうつ~会社で何が起きているのか」を観た。
「急増・30代の『うつ』、働き盛りに何が?」、「企業対策最前線職場復帰に秘策あり」というサブ・タイトルがついているように、最近、30代のうつ病が急増していることを、まずテレビは視聴者の前に提示する。
長い不況・経済低迷期の中で、企業は人材確保を後回しにして、リストラやコスト削減にプライオリティを置き、組織のスリム化、企業体質の強化、少数精鋭主義、成果主義へと急激な方向転換をした、今そのツケが露呈しているのだと言えなくもない。
これまで、企業、あるいは「組織体」は、経営層を含め、50代、40代、30代、20代が、日本的な終身雇用制度という美味しい「家的共同体」の中で綺麗に、スムースに循環してきた。
でもそれは、現在瓦解してきた。そういうシステムは急速に萎みつつある。
その荒波をもろに被ったのが30代ということになる。
長引く不況によって新規雇用を控えた日本の企業は、結局、いびつな年代構成を作り出すことになり、20代の人材が欠落した「組織」は、その穴埋めを30代、40代に担わせることになったからだ。
確かに一番働き盛りの30代、それから40代前半は、これまでよりも大きくて重い荷物を背負わされ、過酷な労働を強いられている。
テレビは、それら組織で働く30代の姿を追ってゆく。
ある30代男性がテレビの画面に登場する。
その男性は、組織の中で順風満帆に仕事をこなして来た優秀な人材である。管理部門を渡り、将来を嘱望され、リーダー職に就いた途端に、不眠や肩凝り、頭痛、めまいに襲われ、職場に行けなくなって精神内科に通い始める。
そして、うつ病と診断され、長期自宅待機を言い渡される。
画面は、何人かのうつ病患者を追ってゆく。
もう2年間も闘病生活を余儀なくされ、今でも頭痛や倦怠感に苛まれ、自宅にこもったまま苦悩する男性。
あるいはまた、会社自体が危機管理を徹底させ、優秀な人材の組織復帰を後押しする態勢へと転換を図り、きちんと社員らをサポートし続けたことで、うつから立ち直りつつある男性。
それから、うつということで解雇され、再就職すべく奔走するも、病気を告白した時点で各企業から雇用を断られ、掛かり付け医師から早急な復帰は控えるべきとの助言を無視して、企業行脚を続ける男性・・・。
何れも、テレビを観る側の胸を締め付けずにはおかない。
こうなると、ちゃんと社員を組織ぐるみで見守り、応援をし、病気に苦しむ人間を救い上げようとする企業と、それとはまったく逆に、単なる組織のパーツと捉え、その歯車に合わなくなった部品はすぐに取り替えるという企業哲学を持っている企業との差が、明確になってくる。
勿論、後者が断然多い。
しかし、テレビは語る。
それでも少しずつではあるが、ストレスやリストラが生み出した現代病ともいえる、これらのメンタルな病を、完治する病気の一つとして認知し、組織そのものが病巣であると反省して、真摯に福利厚生に取り組んでいる企業も増えているのだと。
「こんな私に誰がした?」というフレーズが浮かんできた。
企業は非情である。組織は無情である。
その無機質な感情を持つ共同体って、そもそもそこで働く人間たちの儚い共同想念でしかないんだけれどね、ぶっちゃけ。
やれやれ・・・。
パキシルという薬、うつ病やパニック障害などには有効で、若い人を中心に自殺行動を高めるケースがあり、説明文書にも警告や注意がちゃんと明記されていて、厚労省は医療関係者に対して、きちんと適切な処置を行うようにと呼びかけているとのことである。
抗うつ剤パキシルは世界で発売されていて、抗うつ剤全体の約25%を占めるまでになっており、日本においては、うつ病などが増加傾向で、1996年の43万3000人に対し、2005年は、なんと倍以上の92万4000人にまで上っている。
92万人! 凄い数である。
テレビのNHKスペシャル「30代のうつ~会社で何が起きているのか」を観た。
「急増・30代の『うつ』、働き盛りに何が?」、「企業対策最前線職場復帰に秘策あり」というサブ・タイトルがついているように、最近、30代のうつ病が急増していることを、まずテレビは視聴者の前に提示する。
長い不況・経済低迷期の中で、企業は人材確保を後回しにして、リストラやコスト削減にプライオリティを置き、組織のスリム化、企業体質の強化、少数精鋭主義、成果主義へと急激な方向転換をした、今そのツケが露呈しているのだと言えなくもない。
これまで、企業、あるいは「組織体」は、経営層を含め、50代、40代、30代、20代が、日本的な終身雇用制度という美味しい「家的共同体」の中で綺麗に、スムースに循環してきた。
でもそれは、現在瓦解してきた。そういうシステムは急速に萎みつつある。
その荒波をもろに被ったのが30代ということになる。
長引く不況によって新規雇用を控えた日本の企業は、結局、いびつな年代構成を作り出すことになり、20代の人材が欠落した「組織」は、その穴埋めを30代、40代に担わせることになったからだ。
確かに一番働き盛りの30代、それから40代前半は、これまでよりも大きくて重い荷物を背負わされ、過酷な労働を強いられている。
テレビは、それら組織で働く30代の姿を追ってゆく。
ある30代男性がテレビの画面に登場する。
その男性は、組織の中で順風満帆に仕事をこなして来た優秀な人材である。管理部門を渡り、将来を嘱望され、リーダー職に就いた途端に、不眠や肩凝り、頭痛、めまいに襲われ、職場に行けなくなって精神内科に通い始める。
そして、うつ病と診断され、長期自宅待機を言い渡される。
画面は、何人かのうつ病患者を追ってゆく。
もう2年間も闘病生活を余儀なくされ、今でも頭痛や倦怠感に苛まれ、自宅にこもったまま苦悩する男性。
あるいはまた、会社自体が危機管理を徹底させ、優秀な人材の組織復帰を後押しする態勢へと転換を図り、きちんと社員らをサポートし続けたことで、うつから立ち直りつつある男性。
それから、うつということで解雇され、再就職すべく奔走するも、病気を告白した時点で各企業から雇用を断られ、掛かり付け医師から早急な復帰は控えるべきとの助言を無視して、企業行脚を続ける男性・・・。
何れも、テレビを観る側の胸を締め付けずにはおかない。
こうなると、ちゃんと社員を組織ぐるみで見守り、応援をし、病気に苦しむ人間を救い上げようとする企業と、それとはまったく逆に、単なる組織のパーツと捉え、その歯車に合わなくなった部品はすぐに取り替えるという企業哲学を持っている企業との差が、明確になってくる。
勿論、後者が断然多い。
しかし、テレビは語る。
それでも少しずつではあるが、ストレスやリストラが生み出した現代病ともいえる、これらのメンタルな病を、完治する病気の一つとして認知し、組織そのものが病巣であると反省して、真摯に福利厚生に取り組んでいる企業も増えているのだと。
「こんな私に誰がした?」というフレーズが浮かんできた。
企業は非情である。組織は無情である。
その無機質な感情を持つ共同体って、そもそもそこで働く人間たちの儚い共同想念でしかないんだけれどね、ぶっちゃけ。
やれやれ・・・。