淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「7月最後の日曜日の午後のランニング」

2005年07月31日 | Weblog
 まるで蒸し風呂のような午後の街。
 曇っているけど30度は超えている。

 海岸近くの倉庫群の一角に自転車を留め、海辺を走る。
 汗が滴り落ちる。びっしょりとシャツが濡れ、汗が目に入って痛い。
 遠くから、海風に乗って祭囃子が聞こえて来る。

 もう今日で7月が終わる。
 真夏の午後の静かな街。僕の激しい息づかいだけが響いている。

 夏。

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阪本順治監督の映画「亡国のイージス」は、ポリティカル・サスペンスの範疇を超えたか?

2005年07月31日 | Weblog
 阪本順治は僕の好きな監督の一人。
 デビュー作の「どついたるねん」も、それから「新仁義なき戦い」も「ぼくんち」も「傷だらけの天使」も「顔」も、そのどれもが素晴らしかった。
 どちらかというと、無骨だけれど洗練性も加味している。そんな感じ。
 そして現在売れっ子の福井晴敏の原作「亡国のイージス」を、今回映画化した。

 訓練航海中のイージス船「いそかぜ」が、副艦長以下、幹部を含めたメンバーに乗っ取られる。彼は某国の工作員と共謀して、日本政府に宣戦布告をする。
 一度は乗っ取られ、海に放り出された船員たちの中にあって、たった独り、先任伍長だけが再び艦内に潜入して、乗っ取り阻止に向けて奔走する。

 ここからは「ダイハード」よろしく、真田広之が様々な困難を乗り切りながら暴走阻止に立ち向かう。
 近年の日本映画で言えば、織田裕二の「ホワイト・アウト」辺りか。
 キャスト陣も豪華。
 真田広之、寺尾聡、佐藤浩市、中井貴一、吉田栄作。これまで、阪本順治の映画に出演してきたメンバーたちが勢揃い。
 ポリティカル・サスペンス映画は、これまでもたくさん作られてきた。そして今回、それらの範疇を超えるような素晴らしい出来になっているのか。
 阪本順治である。期待は大きく膨らんだ。

 うーん。
 日本を憂うような台詞が重く響く。「平和ボケ」、「守るべき国なのか?」。
 しかし、それとは裏腹に、人物たちの個性が上手く浮かんでこないから、映画が流されてしまう。
 悪役とて感情移入出来さえすれば、映画そのものの面白さは倍増するのである。
 それにもうひとつ。
 イージス艦に立て籠もり、たった独り(仲間がもう一人いるのだが)暴走阻止に立ち向かう真田広之。しかし、いくら広い艦内かもしれないけれど、敵があそこまで自由に泳がせるだろうか? 立て籠もった場所を特定しているのに、向かおうともしない。
 勿論、バッタリ敵味方が遭遇して銃撃戦も何回か起こるのだが・・・。

 確かに現在の平和慣れした日本に警鐘を鳴らしてはいる。
 男臭さも漂っている。
 まあこの手の映画、過去に素晴らしい名作がいっぱいあるからなあ。
 それを超えるのは中々難しい。

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「土曜日のコミュニケーション・ブレイクダウン」

2005年07月30日 | Weblog
 朝、6時過ぎに起床。
 ところが、ちょっと横になったらまた眠ってしまい、気が付いたら8時を過ぎていた。
 慌てて起き出し、朝食もそこそこに車庫から車を出す。
 今日も先週に引き続き、「雪の保存・利活用」の一環として「桜」と「林檎」の苗木を取り出し、真夏に桜の花を咲かせる実験。
 八甲田連邦を目指して車を飛ばす。
 昨日の天気予報では、曇り時々雨だったのに、晴れていて暑い。
 城ヶ倉大橋から望む絶景。
 やがて目の前に、巨大な雪山が見えてきた。仲間のみんなはすでに到着していて、熱心に作業をしている。
 ごめん。本当にごめん。
 
 白い雪の山から、大きな桜の樹が引っ張り出された。
 凄い。
 黒い枝の周りに真っ白な雪がこびり付き、夏の太陽をいっぱいに浴びている。
 根っこの付いた素晴らしい桜の樹木。それに苗木を振り分けて、市内の各施設に配分する作業。
 これらの木々が、真夏に街中、咲き誇るわけだ。日本で一番遅咲きの満開の桜!
 テレビ局のカメラや新聞記者もわざわざ来ていて、同志の委員長にインタビューしている。
 実は昼過ぎまでに、十和田側まで車を飛ばさなければならず、雪利用委員会の委員長に事情を話してその場を引き上げる。

 用事を済ませ、青森までの道を急ぐ。
 物凄い雨。そして大渋滞。
 CDをガンガン流す。
 久方ぶりに聴いた「佐野元春」。アルバム「VISITERS」。
 「コミュニケーション・ブレイクダウン」。
 そうか。コミュニケーションか。そうだよな。中々上手くいかないよね。
 打算とか。妬みとか。

 携帯電話の留守電に「雪利用委員会」のメンバーでもある盟友HIRATAから。
 「みんなで夜の6時過ぎに集まって飲むから来いよーっ!」。
 アンタという奴は・・・。
 多分、あれから泥塗れ、汗まみれで一日中作業をし続けただろうに。
 何ひとつ不平も言わずに、途中で抜け出した俺を打ち上げに誘っている。
 グッと、何か熱いものが込み上げて来る・・・。
 行きたいけど。多分、間に合わないだろう。
 でも。その借りは必ず返すよ。

 貸し借り。言い方は悪いかもしれない。
 でも借りた恩は必ず返す。絶対に。

 土砂降りの中、車内では大音響で「コミュニケーション・ブレイクダウン」が鳴り響く。
 でもブレイクダウン。それはないな。うん。


 
 

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中国映画「故郷の香り」には、僕たちが忘れかけていた風景の全てが詰まっている。

2005年07月29日 | Weblog
 中国の貧しい山村。
 2人の若い男女が楽しそうに畦道(あぜみち)を歩いている。
 ススキを揺らす秋の風。遠くから響く村人の声。小川のせせらぎ。曇った空に浮かび上がる高い山々の尾根。
 青年は、その女の子を深く愛している。女の子も好意は持っているものの、それよりは、いつか舞台の女優になってこの辺鄙な村を出て行くことを夢見ている。
 2人はブランコに乗ってはしゃぎ合う。それから高く詰まれたワラ山の上で寝転がり、未来の夢を語り合う。
 村には、もうひとりの若者がいる。
 どういう理由からか定かではないが、口がきけないというハンディを負っている。いつも家畜を移動させたり、マメに仕事に精を出しているが、ほのかな恋心をその女性に抱いている。
 やがて、2人に別れが訪れる。
 青年が、大学に合格して北京に行くことになったからだ。小さな山村なので、そのことは一つの大きな事件になり、村人全員が彼を見送ることになる。
 でも彼女は足を引きずっていた。2人でブランコに乗った際、事故にあって足を挫いてしまったからだ。
 でも2人は手紙のやりとりをすることを約束し、必ずまた村に彼女を迎えに来る事も誓い合うのだ。
 一年。また一年。手紙のやりとりは少しずつなくなって、それから十年という月日が流れてしまった。
 そして・・・。

 監督は、名作「山の郵便配達」を撮ったフォ・ジェンチン。
 この映画も、静謐な時間の流れとともに、ゆっくりと2人を追う。
 それから、周りの風景も。
 雨の音。川のせせらぎ。山々のざわめき。ススキの揺れ。風の気配。
 あるいはまた、静かな食卓の俯瞰。人々の笑顔。働く姿。
 静謐な映画である。
 しかし、「山の郵便配達」を超えたかと言えば少し疑問が残る。

 それとあと一点。
 これは映画というよりも配給会社の宣伝方法への苦言になるのかもしれない。
 予告編で何回も見せられるある場面。そこが、この映画のクライマックスになるのだが、その緊迫感のある箇所を予告編で見せられた観客は確かに引き付けられるだろう。
 でも、本編を観た者だけが解るのだが、その場面、この映画の最大のクライマックスであるとともに、最も感動するシーンなのである。
 それを先取りして予告編で提示するのは、ある意味掟破りだろう。
 種明かしをするような映画じゃないから、いいといえばそれまでだけど。
 だって、観ているうちに、そうかじゃあラストはあの予告編のあの場面ね。って全部解っちゃう。
 拙いと思う。
 

 

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「いつの日にか帰ってゆくべき、その暖かなる場所」

2005年07月28日 | Weblog
 誰にでも、いつまでも忘れる事の出来ない原風景がある。
 辛い事や悲しい事や苦しい事、それから、ふとした時間にぼんやりと思い出す、とても懐かしい記憶の奥底に眠っている遠い場所・・・。

 真冬の地吹雪が吹き荒れる中を、僕は祖母と2人で手を繋ぎながら映画館に向かう道を急いでいる。
 猛烈な横殴りの突風が、雪と一緒になって体めがけて突き刺さってくる。空気は痛いほど冷たく、顔中に溶け切れない雪の塊がこびり付いている。
 僕は、祖母の暖かな温もりだけを頼りに、しっかりとその手を硬く握り締め、離すことで世界が全て消滅してしまうとでも言うように、必死で縋り付いている。
 やっとの思いで辿り着いた映画館。
 2人分の入場券を払って重い扉を開けると、中はまるで南国の楽園のような温度にむせ返る。
 僕と祖母は、人いきれの中を泳ぎながら席を見つけ、急いで腰を掛けると2人顔を見合わせ何故か笑い合う。
 やがて、幕が開き、映画が始まった・・・。
 その時、僕が観た映画は「エレキの若大将」という、加山雄三と星由里子が主演した東宝映画だった。本当は「キングコング対ゴジラ」を観るために来たのだけれど、当時は二本立てというのが主流で、仕方なしにその青春映画を観ざるをえなかったのだ。

 映画の中の東京の街は、真冬だというのに青空に輝いていた。全く雪のない賑やかな街中。高いビル。おしゃれな若者たち。
 太陽は光り、みんなが活き活きと動き回っている。
 日本が、高度成長を突っ走り、景気の右肩上がりの時代を駆け抜けようとする、一番若かった時代。
 その街で、主人公の加山雄三は、大学生活に、スポーツに、恋愛に、バンドにと充実した生活を送っている。
 
 僕は衝撃を受けた。
 確かに今もう一度観ると(というか、通算で数えると数十回は観返してるけど)、平坦で能天気な青春映画であると思う。映画的にも、取り立てて素晴らしい傑作ではない。
 でも幼い僕は、この映画に強い衝撃を受けたのである。
 これが東京なんだ、これが多分今後、僕という人間が歩む人生スケジュールの中に組み込まれてゆくのだと、馬鹿な僕は心に深く刻み込んでしまったのである。

 映画が終わり、僕は祖母と2人で表に出た。
 淋しい夕暮れだった。
 雪は止んでいたけれど、冷たい北風が街に吹き荒れていた。
 凍りつくような寒さだった。暗く物悲しい風景が続いていた。

 でも僕はとても暖かかった。
 いつか僕はこの街を出て行く。そして東京という街で生きてゆく。
 そこには吹雪も凍てつくような寒さもない。
 その場所は、まるで「南国の楽園」だった。
 そういう何か夢の場所を想像しなければ、僕は未来に広がる人生に対して、多分耐えられなかったのだと、今では思う。

 つまり、幼い僕にとって、そこは、いつの日にか帰ってゆくべき暖かい場所だったのだ。ずっと。
 

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SMAPの2年ぶりの3枚組新作、「SAMPLE BANG!」を聴く。

2005年07月27日 | Weblog
 SMAPとは、SPORTS・MUSIC・ASSEMBLE・PEOPLEの略なんだそうである。で、SMAP。
 ジャニーズ事務所の中にもたくさんの人気グループがいて、それぞれ大ヒットを飛ばしているけど、アルバム自体をきちんとコンセプチャルに捉えているのは、このSMAPぐらいではないだろうか。
 それに何と、今回は3枚組CDだという。
 1枚目がメインで、そのほかの2枚はどちらかというとサブ。リミックス・バージョンだけを集めた1枚と、もう1枚は完全に際物っぽいと言えなくもない。
 そして今回。シングルとして発売されたのが、今話題の「BANG!BANG!バカンス」である。
 アップテンポなノリのナンバーで、あの宮藤官九郎ことクドカンの作品。さすがに、歌詞がシュールと言うかちょっと変わっている。
 でも解せないのは、このシングル、アルバムと別売りにしているということ。ちゃんとアルバムの中に入れて欲しかった。
 だって、ファンは両方買う羽目になってしまうからである。営業戦略上、仕方がないと言えばそれまでだけど・・・。
 それに、話題としての3枚組は、理解できないではないけれど、もう少し整理して圧縮してもよかったのではないだろうか。
 リミックス・バージョンを毎日聴くというのも少しシンドイ。この中で突出していたのは「青いイナズマ」だけである。

 本編の1枚はそれなりに充実してはいる。
 エリック・クラプトンと竹内まりあが競作した「友達へ-SAY WHAT YOU WILL」や、クレイジー・ケン・バンドの横山剣が作った曲も入っているし、選曲もこれまでの流れを踏襲している。

 で、全体的にどうかって?
 うーん。やっぱり1枚にきちんと収めて欲しかったなあ。それが本音。
 
 

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漫画「ドラゴン桜」。なかなか面白いじゃん。

2005年07月26日 | Weblog
 その昔は、「ジャンプ」も「マガジン」も「サンデー」も「チャンピオン」も毎週全部読んでいた。
 それから、週一で「ヤングジャンプ」とか「ビッグコミック」とか「モーニング」とかもチラチラ読んでいて、だんだんと強迫観念に取り付かれ、苦しくなって結局辞めてしまったけれど。
 だから今は、面白そうな漫画は全部、単行本で一気に読むことにしているのである。でないと、身が持ちません。はい。

 で、三田紀房の「ドラゴン桜」である。
 現在、TBS系で夜10時からドラマ化もされ、関係本も出始めた。
 つまり、今話題の漫画である。

 偏差値がかなり低い生徒だけが集まる「龍山高校」は、倒産の危機に瀕している。その債権整理にやってきたのが弁護士の桜木健二。
 ところがこの弁護士、元暴走族だったのが写真週刊誌にバレ、顧客が逃げ出し、今回の請け負いで起死回生を計っているのだが、急に方針を変え、一年以内にこの高校から東大生を必ず一人出して学校を再建すると宣言してしまうのだ。
 そして自ら、特別進学クラスを立ち上げるのだけれど、集まった生徒は、到底大学進学など望めない落ちこぼれの生徒2人だけ。
 東大受験までの日数さえ、もう一年を切っている。さあどうする?

 「お前らのお先なんて、このまま行くと真っ暗闇なんだ!」とか「お前らみたいに頭使わずに面倒臭がっていると、一生だまされて高い金払わせられるんだ!」とか「日本のルールなんて東大出た奴が作ってんだよ!」とか、中々刺激的な言葉が乱れ飛ぶ。
 日々、本音と建前を使い分けている我々にとって、ストレートな剛速球がガンガンと襲って来る。
 これが何とも面白い。
 ただ欲を言えば、だんだんと漫画自体が「効率的な受験勉強方法」に傾斜してゆくところ。これがちょっと不満といえば不満だけど・・・。
 でも台詞そのものが、啓蒙的で示唆に富んでいる。

 この国で勝つためには東大しかない!
 そうではないとキッパリ言い切りたいけど、今の自分にはそう言い切るだけの、力も才能もバックボーンも何もない。
 とほほほ・・・。

 
 

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マイケル・ベイ監督の近未来アクション最新作「アイランド」を観る。

2005年07月25日 | Weblog
 「スターウォーズ3」でオビ・ワン・ケノビを演じた、ユアン・マクレガーが主演した近未来アクション映画の「アイランド」を観る。
 監督は、マイケル・ベイ。
 「バッドボーイズ」とか「パール・ハーバー」とかを撮った監督というより、オッシャレーな映像で、まるでミュージック・クリップを観ているように撮る人といったほうが手っ取り早いかも。
 悪く言えば、格好の付け過ぎ。
 だから、映画の内容とフィットすればハマるんだけど、ちょっとズレると悲惨になる。例えば「パール・ハーバー」みたいに。

 大気汚染に塗れた近未来。
 無菌状態で巨大なドームに隔離されている世界では、男女を含めて肌を触れ合うことも禁止されている。
 その完全に管理された世界では、毎日の抽選で選ばれた人間だけが、この世の地上の楽園である「アイランド」に招待されるという得点があり、それだけを心待ちに、人々は様々な規制の中で暮らしている。
 しかしある日、ユアン・マクレガーは、ふとした事からこの現状に疑問を抱き始める。
 ところが、ずっと好意を抱いている女性、スカーレット・ヨハンセンの「アイランド」行きが決定して・・・。

 まあ、ここから、「アイランド」の驚愕の秘密が解き明かされてゆくことになるのだが、それは観てのお楽しみ。
 ただ、LAの街での大追跡シーンはさすがに大迫力。
 70階の超高層ビルでの、敵と味方が入り乱れてのバトルや、高速道路でのカークラッシュ。
 てんこ盛りである。ここら辺は確かにマイケル・ベイ監督の真骨頂。

 暑い夏に、冷房の効いた映画館の大画面で観る映画。
 そう。何も考えずに。

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村上龍の長編小説「半島を出よ!」上下巻を読む。

2005年07月24日 | Weblog
 実は村上龍の「半島を出よ!」。発売直後からすぐに読み始めていた。でも途中で長い中断があって、今回やっと分厚い上下巻を読み終えた。
 村上龍の処女作、「限りなく透明に近いブルー」を初めて読んだ時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。
 僕は芥川賞が掲載された「文藝春秋」を買って、その日のうちに読み終えた。ドアーズとかドラッグとかが出てくる小説はとても新鮮だった。
 次の「海の向こうで戦争が始まる」は少しガッカリしたけれど、「コインロッカー・ベイビーズ」でまたまた強い衝撃を受けた。
 そして今度は、村上春樹が群像文学新人賞を取る。「風の歌を聴け」である。
 2人の対談集「ウォーク・ドント・ラン」も、勿論すぐに買って読んだ。
 つまり、村上龍と村上春樹は、そのほとんど全ての作品を僕は読んでいるということになる。

 村上龍の小説は、ある文芸評論家も述べているように、素晴らしい傑作を書いたかと思うと、次は物凄い駄作を仕上げるというように、作品自体に極端なムラがある。
 それから彼の監督する映画。これがまた映画評で酷評され続けている。
 僕も観ているけれど、まあまあ標準点を付けられる映画は「だいじょうぶマイフレンド」ぐらいか。
 兎に角、全身全霊を傾けて書き上げたかと思うと、手を抜いたとしか思えない作品だったりと、濃淡があるのだ。

 今作。かなり話題に上った。
 近未来の日本を舞台にした、「五分後の世界」を彷彿さる作品だし、北朝鮮問題や国際的な政治情況の不透明さから、各新聞の書評にも取り上げられ、作品の評価も概ね高かったように思える。
 北朝鮮の現政権に反旗を翻したと叫ぶ同国のメンバーが、密かに博多に潜入し、福岡ドームを観客ごと占拠する。
 呆然とする日本政府。しかし何の対策も取る事が出来ずに、ただオロオロと右往左往するだけ。それを村上龍は克明に綴ってゆく。
 それと同時並列で、心に闇を持った若者たち、所謂、犯罪や殺人やトラウマを抱えた若者たちをも詳細に描く。そしてそれらは絡まりながら、全て最後で交錯する。
 しかし全編を読んで思うのは、「コインロッカー・ベイビーズ」や「五分後の世界」や「イン・ザ・ミソスープ」や「トパーズ」や「テニスボーイの憂鬱」や「2日間で4人の女とセックスする方法」のような衝撃はない。
 各章ごと、それそれの違った視点、人物によって物語を語らせるのだけれど、そうするとその章の緊張感や進行自体の面白さが、次の章でまたぶつんと切り取られてしまうのだ。
 だから、ラストの大攻防戦が上手く活きてこない。

 決して悪くはないんだけど・・・。
 
 

 

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「世界で一番遅い桜、真夏の雪片付け、久しぶりのスポーツ・ジム、それから、ドラゴン桜」

2005年07月23日 | Weblog
 「ジャパン・ブルース・フェスティバル」の興奮が冷め遣らぬまま、土曜日の朝を迎えた。
 眠い。疲れている。
 大好きなピーナッツ・バターを塗ったフワフワのパンを一口。でも喉を通らない。
 寝惚けたままで車を出し、早朝のオフィスへ。
 昨夜、やり残した仕事を少し片付けて、いざ7月の八甲田連邦を目指す。
 実は今、「北国のくらし研究会」という組織の、「雪利用委員会」が掲げる「青森万年雪構想」実現の一環として、冬に降り積もった雪を真夏まで保存して様々な利活用をしてゆこうとしているのだけれど、黒石市側の沖揚岱に大きな雪山を作って、そこに「桜の苗木」を仕舞っているのだ。
 それを今日、巨大な雪山から一部掘り出すのである。
 つまり、「世界で今一番遅咲きの桜」を咲かせるためにだ。
 で、真夏の青空の下、仲間のみんながスコップで雪山の奥深くに眠る「桜の苗木」を掘り出す作業。汗が凄い。
 真夏の雪掻き。真っ白な雪が夏の太陽にきらきらと輝いている。
 そして八甲田を吹く初夏の風。緑が鮮やかだ。空も山も光っている。
 仲間たちの笑い声。何年間も苦楽を共にした者だけが共有できる、確かな連帯感がここにはある。

 午後は所用を済ませ、久しぶりにスポーツ・ジムに駆け込む。
 時速12.5キロペースでランニング・マシンを7キロ走る。汗が飛び散る。
 そのあと腹筋。
 体重計に乗っかったら、何と2週間前と比べて3キロ体重が落ちていた。
 1日一食減らしていることが効いたのかも。
 「100キロマラソン」まで、あと2ヶ月!

 TBSの金曜夜10時からの「ドラゴン桜」が面白い。
 これは原作の漫画を一気に読まないとね。
 ということで、現在、鋭意、読破中! 漫画も面白いわ!
 また睡眠不足。とほほほ・・・。
 

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「金曜日の夜のジャパン・ブルース・フェスティバル」

2005年07月22日 | Weblog
 仕事が佳境に入っている。色んな折衝と色んな会議と色んな打ち合わせが続く。
 天気はとてもいいのに、風がとても冷たい。
 昼休み。
 海が見たくて自転車を飛ばす。人っ子一人見当たらない。空は、まるで青色のセルロイドを敷き詰めたよう。
 閉庁のベルが鳴ったけど、仕事はエンドレスで続いてゆく。でも今日はブルース・フェスティバルの日。仕事を先送りして急いで青森港の「青い海公園特設会場」まで。

 会場に着くと、もう地元のブルース・バンドの演奏が始まっていた。
 同じ実行委員会の仲間たちと雑談しながら、ビールを買って演奏に耳を傾ける。
 会場の片隅では、「マディ・ウォーターズ」や「ハウリン・ウルフ」のCDも売っていた。
 宵闇が会場を包み始めた午後の7時。
 いよいよ「ビリー・ブランチ&ザ・サンズ・オブ・ブルース」の面々が登場!
 1曲目はインストゥルメンタル。2曲目からはボーカルが絡む。
 中盤、「ローリング・ストーンズ」の「ミス・ユー」のフレーズが。
 うーん。もっとディープなブルースを披露するのかと思っていたけど、意外とメイン・ストリーム。日本人のテイストに合わせているのだろうか。
 でも決して悪くはない。
 ステージ前では何人かの若者が、リズムに合わせて踊っている。
 圧巻は、アンコールのあとの演奏。
 な、な、なんと、ジェームス・ブラウンの「セックス・マシーン」。総立ちである。
 それも20分以上に及ぶパフォーマンス!
 まるで、プログレシッヴなロックを聴いているみたいな感覚。
 決して音がいいとは思えないのだけれど、それをガッツな演奏姿勢で乗り切っているようだ。
 ラストのラスト。
 一転、メロウなインスト。曲名は知らないが、昔懐かしいクロスオーバーの名曲を聴いているよう。
 満足。

 帰り道。海からの冷たい風が頬を撫でる。
 来年はもっと凄くなる。たぶん。

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「映画の電車男は×! でもフジテレビの電車男は○!」

2005年07月21日 | Weblog
 木曜日夜10時台のドラマが熱い。
 TBS系の「女系家族」。それからフジテレビ系が「電車男」。

 その昔、TBSは「ドラマのTBS」と呼ばれていた。それほどTBSが作るドラマは評価が高く、しかも視聴率も凄かった。怪物番組をたくさん抱えていたのである。
 ところが最近は低迷傾向。全く振るわず低視聴率に喘いでいた。
 今クールはすこぶる好調である。
 「いま会いにゆきます」、「ドラゴン桜」、そして「女系家族」。
 主演の米倉涼子も、最近までは「低視聴率の女王」などと揶揄されていたけれど、今作で汚名挽回が叶っただろう。
 兎に角、山崎豊子の原作自体が面白い。何と言っても今話題の遺産相続を巡る愛憎劇である。老舗の呉服店の三姉妹と愛人との骨肉の争い。
 原作の新潮文庫も売れているらしい。「白い巨塔」の再来である。

 そしてもう一本。
 裏番組のフジテレビ系「電車男」。
 映画はつまらなかった。映画評でも書いたけれど、テレビ化した方が絶対面白くなると思っていた。
 映画だと平坦にならざるを得ない展開も、テレビだと、周辺の人間関係をも加え抑揚が生まれるからだ。
 主人公も断然テレビの方がいいし、何と言ってもエルメス役の伊藤美咲が素晴らしいのである。
 それから、ラストのタイトルロールに流れる「サンボマスター」の曲。いい。
 発売日は8月3日だとか。絶対買う!
 このテレビドラマ。平成の「101回目のプロポーズ」である。
 主人公のアキバ・オタクに自然と感情移入してしまうのである。

 木曜日の夜10時。今、テレビが熱い。

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「夏の夜の儚い花火が雨の中で咲いている」

2005年07月20日 | Weblog
 残業をしている夜の静かなオフィスに花火の鳴る音が聞こえてきた。
 夕方から雨が降り出して、止まずにこの火照った街を優しく濡らしている。
 夜のオフィスはしーんとしていて、パソコンを打ち込む音だけが室内に響いている。
 開け放した窓から、雨音と混じり合うようにして花火の音が幽かに響く。
 悲しい音だ。
 そういえば。と、ふと思い出した。
 昨日、仲間のみんなが会合の中で言っていたんだっけ。
 先般亡くなった友人を弔う意味から、今日の夜の花火大会で何発かのメッセージ花火を打ち上げるのだと。
 メッセージ花火は、何らかの短い言葉を添えて花火を海岸から打ち上げるというイベントで、今年はかなりの数の花火が打ち上げられるのだという。
 忘れていた。
 一日中会議の連続ですっかり頭の中から抜け落ちていた。
 どうしようもない人間である。幾ら忙しいとはいえ、そんな大事な事まで忘れていた。
 ただ、今からオフィスを抜けることは出来ない。早急に処理すべき案件があるのだ。
 
 仕事をやっと処理し、窓から外を眺める。
 雨は相変わらずこの街に降り注いでいる。花火の音も消えていた。緑の木々に雨が当る音だけが周辺を満たしている。
 
 いつからこうなったのだろう。
 弱くて女々しくて軟弱な男になってしまった。人を思いやるとか、人の痛みを和らげてあげるという優しさもなくなった。
 苦しくても辛くても、大きく深呼吸をしてそれに立ち向かってゆく、その力もすべも失くしている。

 いいわけがない。これでいいわけはない。

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「悪は栄え、巨悪は眠る。正義は亡び、努力は報われない。そして恋する女は泣きを見る」

2005年07月19日 | Weblog
 火曜日である。
 3連休などあっという間だった。そしてまた仕事が始まる。
 「悪は栄え、巨悪は眠る。正義は亡び、努力は報われない。そして恋する女は泣きを見る」。この言葉は、数学者の秋山仁さんの口癖なのだそうである。
 野末陳平氏の「人生の無常を楽しむ術」(講談社)という本を読んでいたら、その中に書いてあった。
 確かに。
 正義なんて勝った事ないし。努力なんてほとんど報われない。恋する女が泣きを見るかどうかは、ちょっと解らない。最近は、男性の方がデリケートでナイーブだしね。
 野末陳平氏の「人生の無常を楽しむ術」という本。タイトルはちょっとダサいけど、中国の漢詩を易しく紐解いた解説書で、中々読ませる。
 李白(りはく)の漢詩に「春の日に酔より起きて志をいう」のがある。

     人生なんて 夢まぼろしだ
      なのに、人は、くよくよと思いわずらって、その一生を終わるのだ・・・

 この本には、有名な漢詩のさわりの部分がたくさん載っていて面白い。でも、改めて思うのは、昔も今も、人生は過酷で不条理で苦しいものなのだということ。そして詩人は、その如何ともし難い「無常感」を詩にして詠みあげたのである。人の惑いは何も変わらない。

 もう一冊は「ストーカーの日本史」という本。
 これもまた中々面白い。
 昔、日本では「後妻打」というストーカー行為があったのだそうだ。
 「うわなりうち」って読む。いわゆる一夫多妻制の頃の「第二夫人」である。
 つまり「前妻」、「こなみ」って読むらしいのだけれど、その「前妻」、第一夫人が、新しくやって来た第二夫人を襲撃するのだそうな。
 これがまた、凄まじいものだったらしい。だから何なのって言われると、返す言葉もないけれど。
 嫉妬や執着という魔物は、今も昔も変わらずに誰の心にも潜んでいる。

 しかし。休日のまっ昼間にこういう本を真剣に読んでいる俺って、一体何なんだろう?
 まあいいか。面白いんだし・・・。
 

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「FLASH AND SHADOW」

2005年07月18日 | Weblog
 朝、塵収集車の音で目覚める。
 曇っていて、風も強い。
 午前中、用事を済ませてから、本町の「なみうち」という日本料理店でお昼。冷房の効いた部屋で食べる日本料理は美味しい。
 祭日なのか、店も周辺もひっそりと佇んでいた。時折、車の通る音だけが聞こえて来る。店を出ると、まるでダニー・ボイル監督の映画、「28日後」みたいな風景。
 真昼なのに人っ子一人見当たらないのだ。とても不思議な感覚に襲われる。映画では、細菌の感染から死滅してしまったロンドンの街を、独りの男が、生存している人間を探して彷徨い歩くのだけれど・・・。

 午後は、窓を目いっぱい開け放して本を読む。風が強い。でもその風が暑さを少しだけ払ってくれる。
 夕方、自転車に乗って、ぶらぶらと街中の本屋さんまで。
 「ストーカーの日本史」(川口素生著)と、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉著)を買い、帰りに海辺まで。
 曇っている。海辺のベンチに腰掛け、少し海を眺めた。
 光と影が忙(せわ)しなく行き交っている。
 一雨来そうな雰囲気。ちょっと雨がぱらついてきた。

 街はとても静かだ。
 みんな一体、何処にいってしまったのだろう。
 家に帰ってジョギングに着替える。雨までにはまだ大丈夫のようだ。
 岸壁の倉庫群の一角に自転車を置き、そこから走る。

 雨が降るなら降ればいい。
 そのまま濡れるだけだ。
 休日が終わる。
 

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