私は40年間、中学生に英語を教えている。
英会話でなく受験英語を教えている。
英文法を丁寧にできるだけわかりやすく塾生たちに伝える努力を続けている。
塾という空間で中学校の指導要領内に留まらない高校の領域まで塾生たちに伝えている。
塾生たちが「こんなことまで学校でやらないです」とよく私に言ってくるが、
「きっと高校で役に立つ。覚えておくといい」と私は塾生たちに知恵を授けている。
昨年までは小学6年生から私の英語の授業を受けてくれれば、
英語は中学で得意科目になっていくように導く自信があった。
中学1年生になって初めて英語を勉強する子どもだって、
その子にやる気と向上心があれば成績を上げる手法は持ち得ていた。
しかし今年の中学英語は、私の今までの指導法の見直しが必要になってきた。
原因は教科書改定にある。問題点を整理するために教科書を分析する。
中1英語のUnit1・2に入っている英文法は次の通り。
◆be動詞(肯定文・疑問文Are you ~?)
◆一般動詞(肯定文・疑問文Do you 〜?)
◆助動詞can
◆頻度副詞
◆指示代名詞(this that)
ここまでの範囲が6月の学校定期試験の範囲。
改定された教科書にはUnit1のpart1にbe動詞と一般動詞が登場する。
part2ではbe動詞と一般動詞の疑問文が登場する。
be動詞の疑問文の作り方と一般動詞の疑問文の作り方は異なる。
キチンと伝えたい、そして定着させたい。
しかしそれを十分練習できる時間がこの教科書ではできない。
今の学校現場では深い文法指導の時間は確保できない。
教科書英文を音読したり英文センテンスを使って
AETの先生と質疑の場を設けたりするコミュニケーションに重きが置かれている。
これは決して悪いことではないが、英語の根幹である
「読めること」「訳せること」「書けること」の3本柱が確立できない状況にある。
もう少し中1教科書内容を進めると、
7W1H疑問詞、前置詞判別、不定詞名詞的用法が加わる。
「want toは~したいと訳す」と伝える程度に留まる。
不定詞名詞的用法は動詞の目的語になる。
主語にもなる、補語にもなることも伝えたいがその時間もない。
指導要領もそこまで求めていないし、
中学1年生の子どもには知識の器のキャパも備わっていない。
小学5年から英語教科化となっているが、
現状は英文の書き指導も十分ではないし、
単語指導も定着を意識した指導まで完成していない。
今、小学校では600語の英単語指導になっているが
600語を書ける小学生がどれだけいるのか。
現状ではほんの一握りの小学生になっていると推測する。
英語の教科書をキチンと理解するためには、
小学5・6年の英語学習が大きな鍵を握ると言っても過言ではない。
この2年間で中学1年英語を「読めること」「訳せること」「書けること」を定着させ、
英文法を基礎から固めて行く必要性を感じる。
実際、小学4年生から私が英語を教えてきた塾生は、
中学進学の時に昨年までの中1英語教科書文法を終えた。
3単現も過去形も現在進行形も助動詞もThere is構文も定着できた。
勿論今の中学校成績はトップレベルである。
この子は塾で中1の上位クラスに籍を置きながら中2クラスの英語授業も受けている。
そういった塾生が上野塾には3名いる。
私に小学5年と6年の二年間の時間をいただければ、
中学英語の基盤をキチンと創り上げることができる。
高校受験や定期考査で「英作文を書く」「書き換え英文を書く」
「英文を和訳する」「本文内容の要旨をつかむ」という問題がある中、
中学に進級する前の2年間こそ英語学習の礎を創ると考える。