霞ヶ浦のほとりで

徒然なるままに

ヒエラルキーの形成(農業革命)

2019-09-10 18:39:11 | サピエンス全史
狩猟生活から農耕生活への移行は知恵ある人類の必然的な流れであり、飛躍的な生活の向上と繁栄をもたらしたとの解釈に対し、この書は幸福という視点で見ると全く別の解釈になると述べています。例えば小麦や稲の立場から見るとどうなるかなどと思いもよらぬ視点で考察します。

農業革命は人類のその後にとって本当に大きな大きなターニングポイントであったのです。社会科の授業ではもっと時間をかけてこの項目を議論するべきです。
書によると、農業革命の結果として『ヒエラルキー』(階級制・身分制度)が形成されました。インドのカースト制やアメリカの奴隷制度はこの代表例ですが、どんな時代でもどんな社会でも階層や差別は存在し、歴史上でヒエラルキーのない世界など一つも無いとのことです

農業革命が人口増加をもたらした結果、協力的ネットワークがサピエンスの生物学的本能(150人)をはるかに越えた社会が形成され、これを維持するためにサピエンスは想像上の秩序を生み出したことと書記体系を考案したことによりヒエラルキーが形成され、低層で苦しむ多くの人々を生み出したとの説明に大いに納得させられます。

人権や平等が保証されている現在の日本でさえも、正規・非正規とか富裕層・貧困層など新たなヒエラルキーが形成されつつありますが、これも元を辿れば農業革命に行き着くわけです。こんな視点で毎日のニュースや出来事を見ると、これまでとだいぶ違って見えてきます。これも目から鱗でした。

サピエンスは自分にゆとりが出来ても関わりの薄い相手に分け与えようとするDNAは無いのではないかと思われます。身内までしか考えられない種なのかも知れません。悲しいですが、そこを冷静に受け入れると世の中の動きも複雑に見えて案外単純に理解できる気がします。

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