黎明の廃人日記

最近はやや更新が途切れがち、斜めに流し読み。
貴方にも私にも人生の役には立ちません。

妖怪考

2005年06月01日 21時46分38秒 | Weblog
6月1日分の日記という事で。

 さてはて、今日から経理部経理課へ正式に配属された訳ですが、まあ大体は予想した通りの状況でした。研修中に経理部へは実習に入っていたのですが、その時と大して状況は変わりません。ただ、今度からは原価管理の一部を任されるようになるのだそうで、実習中とは多少違って、多少の権限が追加されたようです。まあ、そうでもしないと経理課では仕事にならない訳で、その手続きが終わるまではしばらく手持ちぶさたになっておりました。まあ、その間にちまちまと数字を眺めていたりはしたのですが、何の数字なんだかよぅ分からんものも結構あって、意味があったのかまるっきり無かったのか。取り敢えず、昨年度の財務諸表は見付けだしたので、また暇があったら眺めてみようかな~と。
 どうせ暇はあるんだろうから、眺めてる暇は充分にあるのでしょうけれどね、と自分の先の発言に自分で突っ込み入れてみつつ。実際の所、新入社員に出来ることはあまり無い訳でして、配属されてから一年くらいはあんまり仕事が無くて手持ちぶさたかも知れない、とは部長さん・課長さんから言われてしまいました。だもんで、暇が余るようだったら、会社に置いてある参考書なりを眺めて自分で少し勉強してみて下さいとのこと。さすがに月末やら決算期なら仕事が嫌と言うほど回ってくるのでしょうが、そうでない時には、思っていたより時間が余るようです。それに関しては私に限らず、課全体である程度言えることのようですが。時期によって、地獄と天国とを行ったり来たりしているようです、うちの課。
 とまあ、近況報告というか本来的な意味合いの日記は大体この辺までとしまして。今日までで『東京異聞』は読了、明日から今度は宮部みゆきの『パーフェクト・ブルー』に移動するつもりではありますが。ちょうど良く『東京異聞』を読み終わった所で、ちょっとばかし妖怪に関してでも考えてみようかと思います。●●考シリーズがまたしても復活してますが、まあここの所はそういう気分だというだけのことなので、あまり深く考えずに流して頂ければ幸いです。ちなみに、妖怪考察と言っても、まともにその存在背景であるとか、歴史的観点だとか、そういったまともな所からの考察はしません。そちら方面は、それこそ専門にやっている人が近辺にいるものですから♪
 ここから先で思考をダダ漏れにしてみるのは、ただ何となく現代で妖怪というものをテキトーに考えてみたときに、どんなことを思い浮かべるだろうな~という程度のことです。かる~く流して読んで頂ければ幸い。ちなみに、私はこういう所では妄想力豊かなんだか意外と想像力貧困なんだか、よぅ分からん時があります。そういうこともままありますが、そこいら辺も重ねてお気になさらずということで。それでは例によって例の如く、いつものようにいってみよう。

 オフィス街を歩いていると、時折に、唐突な場所にお社があったり鳥居が見えたりします。もしくは小さな祠であったりとか、注連縄をかけられた御神木であるとか。こうしたものを見かけると、一瞬だけ違和感のようなものを感じます。それは、そこにあることへの違和感ではあるのですが。それでは果たして、どちらがそこにあることが奇妙であるのか。お社や鳥居や祠や御神木がおかしいのか、それともオフィス街それ自体がそこにあることが妙なのか。一見してそりゃ~当然前者の方が妙なのだと言いたくなるのですが、オフィス街なんてものは後から出来てきたものであって、むしろオフィス街の方が異分子であるのではないか、と思ったりすることがある訳です。
 今となってはコンクリートの高層ビル、もしくはまあ高層とまではいかないにせよ、三階をこえる建物が林立するような光景は当たり前になっていますが。よくよく考えてもみれば、それが当たり前になったのは、そんなに昔からのことでは無かったはずです。古い物をどんどんと、アスファルトと電気の灯りとが駆逐していって、それでも駆逐されなかったものが、ぽつんとオフィス街の中に残っている。それを現代になって私達が見かけた時に、ふっと足を停めてみたり、目が留まったりする、と。
 池袋から新宿まで、夜に大原から歩いて帰ってくる途中、新宿駅前の百貨店が建ち並ぶ一角に差し掛かる手前で、大きな神社があったのを覚えています。ここはオフィス街に取り残された場所という感ではなく、れっきとしてそこにあるべくして存在している、という雰囲気をしっかり持った場所ではありましたが。そのすぐ隣にはビルが建っていましたし、すぐ近くにイタリア料理か何かのお店があったのでしょう、料理のメニューを書いた黒板が置いてありました。ちょっとちぐはぐな感じがしたのは確かですが、まだこういう場所が都心にもあるもんだな、と思ったものです。すぐ近くまで百貨店が建ち並び、ブランドショップがその中で軒を連ね、すぐ正面には道が整備されて毎日たくさんの車が行き交っている、その最中に、朱い鳥居を構えた神社が構えられている光景。
 日本に限ったことなのかどうかは知らないのですが、少なくとも日本では、この樹を切ったら祟りがあると言って道を迂回させたり、この祠を潰したら呪いがかかると言って造成を止めたりすることがありました。きっと、オフィス街の真ん中に残っていたりするものも、そういった理由から残された物なのかも知れません。今住んでいる所はまあ、東京とは言っても西側の方で、ビルも駅前にくらいしかないような所だったりします。寮と最寄り駅とを行き来する間にも、祠が一つあって、それからお地蔵様がまた別に置いてあります。毎日通勤鞄を片手にぶら下げながら歩いているので、さすがに手を合わせてと言う訳にはいかないのですが。お地蔵様の所に真新しい千羽鶴が飾ってあったりすると、何となく神仏を思う所はある訳でして。
 アスファルトとコンクリートとネオンサインが街を覆い尽くしても、まだそうやって根強く残っているものが存在する。むしろ、そういう街だからこそ、街から明かりが消えたときの不気味さは、より一層に強調されるものです。夜の学校に行ったことが、誰しも一度くらいはあるのではないでしょうか。もしくは、夜の灯りが落ちたオフィスで残業をしたとか、ゼミなどで講義が長引いて灯りが既に落ちてしまったキャンパスを歩いただとか。明かりが消えて、人も消えて、そんな街を歩くとまるでそこが死んだ街であるかのように見えます。普段に灯りが煌々と灯り、呆れるほどに人込みが流れ続けている場所。あるべきものが無い街は、その瞬間、そのあるべきものが無い間は、実際に短時間ではあっても死んでいるのかも知れません。一日の内に、街も生死を繰り返している。

 街が死んでいる時間には、人も死んでいます。では、街も人も死んでいる間には、そこには何者もいないのか? 私は、何となくですが、その間には未だ、妖怪達が、魑魅魍魎達が跋扈しているのではないかと思ったりするものです。ある意味では、これは単なる私の願望的な所もありますし、そういった分野の書籍を読みあさった時期があったことも間違いなく影響しているでしょう。ですが、人間は無意識の内に、人間でないモノ、更に言えば自分でないモノを極端に怖れる所が確かにあります。特にそれは夜という時間帯、周囲が闇に飲まれている間にこそ強まるものであり、何故夜や闇を怖れるのかと言えば、そこに妖怪達が、魑魅魍魎達が未だ確固として存在しているからではないのか、と。
 オフィス街に未だ、残されているあれらのものは、その夜や闇にいるモノどもを怖れるからこそ残されているのではないか。今の世ではもはや、神も仏も精霊も、妖怪やら魑魅魍魎やらと一緒くたに放逐されて追い払われています。それらはアスファルトの下で、コンクリートの墓の下で、ネオンサインの届かない所で、ずっと待ち構えているのではないか。もし街に残されているそれらのものに、迂闊に手を触れてしまおうものならば、押し込められていたそれらが一挙にあふれ出してしまうのではないか。そう思うと、背筋がぞわぞわとしてくるではありませんか。
 さてはて、もしも、もしも押し込められていたそれらが表に大挙として現れ出でて来てしまったとき。果たして今の、アスファルトとコンクリートとネオンサインで、それらを追い帰すなり、宥めるなり、鎮めるなりすることが出来得るのでしょうか? いや、既にそれらはじわじわと表に現れ出でてきているのであり、そして抑えることも宥めることも追いやることも出来ておらず、それらに取り憑かれた哀れな哀れな人間が、時折に凶行を働いて話題になるのではないでしょうか。毎年、自殺者も数万を数えるほど。そしてその多くは中高年のサラリーマンであり、彼らは長い時間をオフィス街で過ごしていたのです。そこは、アスファルトの下、コンクリートの墓標の下、ネオンサインも届かない所から染み出してきたそれらに、最も感染しやすい場所なのではないでしょうか?
 もし、貴方もここ最近、何かの気配を感じたり、背中や首が重たいと思うのならば。それはひょっとすると、化け物の類が貴方に取り憑いているのかも知れませんよ? そんな非科学的な、などと言うなかれ。科学などというものは、今現在までに分かったものを、ただ類型的に並べ立てたものでしかありません。つまりは、未だ分かっていないものは科学という範疇で論ずることは出来ないということであり、そして科学で分かっている範囲というものが果たしてどの程度であるというのか。……ほぅら、貴方の背後にいる、そいつは何なのでしょうねぇ? 窓の外から覗いているあいつは、一体何だと仰るのですか? ふふふ……さあ、一体何なのでしょうねぇ?

〈今日も独り言〉
ああ、面白かった。たまにはこういうのを叩くのも良いなぁ(笑)
と言う訳で、月のない夜はお気を付けあそばせ♪

それでは。

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