Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ボタ叩き

2011-05-07 22:40:29 | 農村環境

 今年も田んぼの季節を迎えた。連休中が毎年田んぼの準備となるのだが、今年は体調を崩していたこともあって。例年にも増して周囲の人たちより遅れ気味。昨年「田ごしらえ」でも触れたように、我が家の稲作はどうもこれといった確実な方法ではない。毎年試行錯誤のようなことをしているのは、自分で米作りをするという気持ちが足りないからだ。何よりふわふわ状態の畔をどう固めていくかが鍵なのである。先般「崩れた畦畔」で触れたが、今年は最も大きな土手を有している水田は耕作するのをあきらめた。ふわふわ状態のままだから、モグラの巣になって大きな土手も崩れやすくなる。それを人力でなんとかしようとしても無理なこと。

 西天竜の水田地帯でも冬季間畔の打ち直しをする光景がときおり見られる。こちらはせいぜい1メートル弱の田差であるから打ち直すにも容易なほうだ。戦前を中心に造成された畔は、今では我が家と同様ふわふわ状態なのである。加えて除草管理などあまり手がかかっているとはいえない畔が多く、強いては水漏れを夏季にはたびたび見かける。昔のような水争いの激しくない現状だからこそ、それも許される。今日も妻と田んぼの準備をしていると、妻のおばさんの家では水は掛けっ放しだという。ようは水が漏っても掛け流ししていれば干上がることはない。もちろん冷たい水が常に流れ込み、常に水が流れていれば除草剤はもちろん肥料の効きも良くはない。それでも手のかかることを避けたい結果なのである。

 今日はボタ叩きをした。といってもそれほどたくさんではないが、このところ身体を動かしていなかったためか、少し槌を振るとすぐに休んだ。近所でもボタを叩く音がしているが、そうして働いているのは70歳前後の人たち。恥ずかしい限りだが、わたしにはちょっときつい1日だった。以前にも触れたように、このあたりではどこの家でもボタ叩きをする。その前に畔のふわふわとした土を切り落とし、綺麗に土色になった畔を叩くのだ。そんな畔にはモグラの通った穴があちこちに開いている。そんな穴を塞ぐように叩いていき、次は畔を塗るのである。今年の我が家は畔を塗ることにしている。畔塗りも大変な仕事と言われているが、わたしにはボタ叩きの方がつらい。実は畔塗り機というものがある。しっかりした畔を塗るにはトラクターで25馬力以上ないと難しい。このあたりでそのような機械を利用する家は一軒もない。水田が小さいから大きなトラクターを所有していないのである。

 畔にモグラが入らないためにも、実はほ場整備は有効だ。何より重機で固められた畔は、しばらくはモグラにも難敵のようだ。さらに生態系的には畔の草刈は短く刈らない方が良いということは今までにも触れた。しかし、より強固な畔はほ場整備で整備された上に、頻繁な草刈で野芝化した畔である。耕作者にとっては手がかからないことが最優先なのである。


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