明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(175)広島では3年後にぶらぶら病と白血病、7~8年後にがんが目立ち始めた(肥田医師)

2011年06月28日 09時30分00秒 | 明日に向けて6月1~30日
守田です。(20110628 09:30)

肥田医師が、日刊ゲンダイ紙上で、広島では3年後にブラブラ病と白血病、7~8年
後にがんが発生したこと、これを注意すべきだと言う警告を発しています。

また記事の最後で、次のように述べられています。
「『内部被曝』は少量の放射性物質でも影響が出る。ここが恐ろしいところです。
人間だけではありません。放射性物質は動植物すべてに影響を与えるのです。
福島原発の事故は、大気中だけでなく、海にも大量の放射性物質が放出され
ました。今後、一体どんなことが起こるのか。世界が固唾(かたず)をのんで
見ています」

今、その肥田さんが翻訳された『死にいたる虚構-国家による低線量放射線の
隠蔽』という本を学習しています。アメリカの、ジェイ・M・グールドと、
ベンジャミン・A・ゴルドマンの共著で、内部被曝の恐ろしさを説き明かした
ものです。

その第三章は「沈黙の夏」と名づけられていて、1986年の夏に、サンフランシスコ
から北へ25マイル離れたポイントレイズ鳥類観測所で、陸鳥の繁殖のこれまで
なかったような大幅な減少が記録されたことがレポートされています。

原因は、この地域にチェルノブイリ事故で発生した放射能雲が到達し、激しく雨を
降らせて強度の汚染が起こったこと。このため、鳥たちが繁殖に失敗してしまった
ことです。

鳥たちは春の訪れとともに一斉に繁殖を開始する。新芽が出てくると、それを
食べる虫の幼虫が爆発的に発生してきますが、それが雛を育てる絶好のタンパク
源だからです。

しかも都合のいいことに、ムシたちは雛の成長に合わせるように、だんだん大きく
なってくれる。そして生き延びたムシたちが、さなぎになって姿を隠した頃、若鳥
たちも、巣立ちの時を迎えるのです。

とくに植物が豊富で、春の芽吹きが素晴らしい日本には多くの渡り鳥が飛来します。
かくして山々は、繁殖に忙しい鳥たちの鳴き声に溢れる。しかしその葉にたくさんの
放射能が付着し、それを毛虫たちがせっせと体内に蓄積し、雛の口に運ばれた
はずです。その影響はどのように現れているのでしょうか・・・。

日本野鳥の会の方たちとも連携をとって、情報を収集しながら、私たちを包み込む
生態系そのものにダメージをあたえている低線量被曝の恐ろしさに関するレポート
を続けたいと思います。

以下、肥田さんの発言の載った「日刊ゲンダイ」の記事をお読みください。

************************

元広島陸軍病院医師 肥田舜太郎氏が警告 (ゲンダイネット)

日刊ゲンダイ 2011年6月21日
●3年後の「ブラブラ病」、7~8年後の「白血病、がん」に注意すべき
 福島原発事故の収束のメドが立たない中、7月にも、福島県民を対象にした
健康調査が始まる。追跡期間は30年間という世界でも例を見ない大調査だ。
特に重要なのは「内部被曝(ひばく)」の影響。事故当初に政府が強調した「直
ちに影響はない」は本当なのか。原発周辺の県民の避難範囲30キロは正しい
判断なのか――。「内部被曝」の危険性を国内で最初に指摘し、元広島陸軍
病院の軍医少尉として、被爆者の治療に当たった肥田舜太郎氏(94)に聞いた。

「原爆の直撃は受けていないのに、肉親を捜そうと、3日後や1週間後に市内に
入った人たちがその後、被爆者と同じ症状で亡くなる……。初めは状況が分から
なかったが、そういう患者をたくさん診て『内部被曝』を確信しました。しかし、米
国は一切認めない。箝口(かんこう)令が敷かれ、情報は厳しく管理されました」
「内部被曝」の問題が表面化したのは、54年の米国のビキニ環礁水爆実験で、
第五福竜丸が被曝した一件からだ。

「本当は第五福竜丸以外にも、周辺で被曝した漁船は700~800隻ありました。
しかし、医師らが調査に駆けつけると、米国は既に船主にカネをつかませて黙ら
せていました。最悪だったのは、当時の東大の研究グループ。米国に『機密情
報だから公開するな』と口止めされ、収集した研究データを米国に送っていたの
です。グループの中心人物はその後、日本の被曝研究の責任者になりました。
これでは、日本で『内部被曝』はもちろん、放射線障害の研究が進むはずがあ
りません」

●米国が避難範囲を半径80キロに設定した理由
「福島原発の事故で、政府が『直ちに影響はない』との説明を繰り返したのは
『無知』だからです。政治家、官僚ともに戦後生まれ。『内部被曝』を否定する米
国との安保条約にも配慮したため、日本では放射線障害について勉強する場が
ありませんでした。このため、米国と日本では事故の対応が異なるケースがあ
ります。例えば、米国は今回、避難範囲を原発から半径80キロに設定しました。

これはかつて、米・統計学者が50年間に及ぶ膨大なデータを整理した結果、
『原子炉から160キロ以内で乳がん患者が増えている』との報告書を根拠にした
からとみています。私も半径50キロ以内の住民は全て避難させるべきだと思っ
ていますが、日本政府は半径30キロのまま。『無知』な上、これまで『心配ない』
と繰り返してきたから、今さら変えられないのでしょう。原発の『安全神話』が足
かせになっているのです」

 事故からすでに100日以上経ったが、状況は何一つ改善していない。
「原発は大事故を起こさなくても、毎日、湯気や排水で放射性物質を出し続けて
います。政府はICRP(国際放射線防護委員会)などの基準内だから安全とい
うが、基準ができたのは四半世紀も前で、当時と比べてどんどん緩くなりました。
厳し過ぎると原発が造れない、電気代が上がる、儲からない、というのが理由で
す。基準の厳格派は次々に買収されました。ちょうど、電力会社がメディアに広
告費を出し、安全を強調してもらう現在の構図と同じです」

●少量の被曝でも影響がでる怖さ
「福島では住民の健康調査が始まるようです。対象の住民は行政機関に登録さ
せ、手帳を持たせ、しっかりとした健康管理、追跡調査を行うべきです。本当は
もっと早く始めるべきでした。倒壊家屋などのデータはすぐに数値として収集、
発表されるのに、住民の健康に関するデータ収集をしない理由が全く分かりま
せん。将来の『内部被曝』の影響は分かりませんが、広島の場合、およそ3年後
に体が疲れやすくなる原因不明の『ブラブラ病』患者が出始めました。白血病の
患者も3年ほど経ってから確認され、7~8年後にがん患者が目立ち始めました。

『内部被曝』は少量の放射性物質でも影響が出る。ここが恐ろしいところです。
人間だけではありません。放射性物質は動植物すべてに影響を与えるのです。
福島原発の事故は、大気中だけでなく、海にも大量の放射性物質が放出され
ました。今後、一体どんなことが起こるのか。世界が固唾(かたず)をのんで
見ています」
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_radioactivity_3__20110624_22/story/24gendainet000148059/
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5 コメント

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水徒然 (tetsu)
2011-06-30 20:21:20
初めまして。放射能には素人ですが、ずいぶん調べました。私も肥田さんの記事を読んだものですが、渡り鳥が飛来は鳥インフルエンザだけかと思っていました。なるほど、放射能もかとの感です。放射能は黄砂同伴して飛来するのかと思っていましたが、・・・。生態系そのものにダメージをあたえている低線量被曝の恐ろしさは、現状検証されていませんが、微少レベルでもあるかもしれませんね。
 
返信する
コメントありがとうございます。 (守田敏也)
2011-07-01 01:26:03
水徒然(tetsu)様

初めまして。そうですね。微少レベルでも影響があるのだと思います。今、この点についての研究を深めているところです。分かったことから暫時、ここに書いていきますので、またお読みいただけるとありがたいです!
返信する
水徒然 (tetsu)
2011-07-01 13:41:48
今後の研究を期待します。
他の記事も拝見しました。最近思うのは、地表に沈積したと思われる放射能のICP,放射化分析、機器分析などによる組成(PPM,PPB、・・・)及び放射性微粒子径とベクレル、シーベルトとの関係がどのようになっているのか知りたいところです。手間と費用が掛かりますが・・・。
返信する
研究、頑張ります! (守田敏也)
2011-07-09 01:01:36
水徒然様

コメントが遅くなって申し訳ありません。
化学にお詳しいのですね。僕はその点は素人なのですが、内部被曝については、徹底的に研究して発信していこうと思っています。
今後もよろしくお願いします。
返信する
とても勉強になります。 (Bochibochi)
2011-08-20 11:47:03
内部被曝については、沢田昭二先生の話などを聞いて、自分なりに勉強してきましたが、改め毛恐ろしいものと感じています。
ECRR2010も一通り読んだのですが、理解できたのは半分もいかないかもしれないです・・・。
ですが、素人ながらも、食品安全委員会にパブリックコメントを出しました。
何とか子供だけでも守りたいです。
またお邪魔させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
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