守田です。(20111205 23:30)
汚染水情報です。東京新聞や読売新聞等々で、福島第一原発の高濃度汚染水の処理システムの中の、淡水化するため、つまり塩分を抜く蒸発濃縮装置の建屋内で、45トンもの汚染水が発見されたとあります。しかし記事をよく読むと、45トンは把握された量で、もっと多くのものが流出した可能性があり、すでに海に入ってしまったものもあると思われています。
重要なことは、この汚染水に、大量のストロンチウムが含まれていること。東京新聞では「海に放出できる量の100万倍の高濃度」と書かれていますがこういうとき、問題なのは濃度ではなく総量です。この点、読売新聞には
1立方センチあたり、10万ベクレルのストロンチウムが含まれるとみられると書かれています。
この言い方も、東電発表そのものの数値ですが、それでは45トンではどれだけになるのかを考えて見ます。1立方センチに1000をかけると1リットル、それに1000をかけると1トン、さらに45をかけると、今、確認されている量になる。計算するとなんと4兆5千億ベクレルになります!
これがどれほどの量なのか。これまで何度もとんでもない数値が出されてきたので、こちらの感覚も麻痺してしまいがちですが、参考までに、4月4日から10日に政府が意図的に海に放出して、国際的に大問題になった量をみると
1万トン、1500億ベクレルでした。今回は45トンとしても4兆5千億ベクレルですから、その30倍です。それが今、現に建屋の中に流れ出している。
ここに現れているのは、今なお、本当に大変な量の放射性物質が出続けていること、しかもセシウムよりも恐ろしいストロンチウムがこれほど大量に出てきているということです。それがどれだけ海に入ったのかも把握できて
いません。東電は再び三度「たとえ海に到達しても少量で、ほとんど影響ないレベルだ」と語っていますが、そもそもどれだけ流れ込んだのかも把握せずにどうして「影響がない」と言えるのか。本当に大嘘つきです。
しかもどのように対処しているのかといえば、「水は、海とつながる側溝まで届いた跡があり、東電は土のうでふさぐ措置を取った。五日以降、水漏れの範囲などを調べる」とある。土のうをつむことしかできていないのです。
ここから考えられるのは、側溝からの漏れだしや、ひび割れたコンクリートからの海への混入が、かなりの規模ですでに起こっていることです。
ともあれ私たちの目の前にある危機を、セシウムだけに限定するのはかなり危険です。ストロンチウム、あるいは他の核種がどう環境を汚染しているのか、どれだけ私たちの前にあるのか、把握することが大切です。こうした面のウォッチを強化したいと思います。
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福島第一 汚染水45トン漏れる
東京新聞 2011年12月5日
東京電力は四日、福島第一原発の高濃度汚染水の処理システムのうち、淡水化するための蒸発濃縮装置の建屋内で約四十五トンの水漏れが見つかったと発表した。建屋外にも漏れており、約五百メートル先の海に流れ出た恐れも
ある。このシステムではストロンチウムは除去できず、漏れた水は、海水に放出できる基準の約百万倍という高濃度のストロンチウムを含むとみられる。
今回の水漏れは、高濃度汚染水の処理システムが六月に稼働して以来、最大。
東電によると、四日午前十一時半ごろ、作業員が建屋の床一面に五センチほど水がたまっているのを確認し、装置を停止。放射性セシウムは除去後だったため、表面線量はガンマ線で毎時一・八ミリシーベルト程度。しかし、ストロンチウムが放出するベータ線は毎時一一○ミリシーベルトと高く、水に触れ続けると、やけどのような「ベータ線熱傷」を起こす恐れがある。
ストロンチウムは、骨にたまり長期間被ばくするため、危険性が高いとされる。
水が漏れた原因は不明だが、建屋外に漏れた形跡が四カ所で見つかった。一つは、水をせき止めるコンクリート(高さ約四十センチ)の土台のひび割れ部分だったが、土台と壁の隙間から漏れた箇所もあり、実際にはもっと大量の水が漏れた可能性もある。水漏れは前日には確認されなかった。
水は、海とつながる側溝まで届いた跡があり、東電は土のうでふさぐ措置を取った。五日以降、水漏れの範囲などを調べる。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「たとえ海に到達しても少量で、ほとんど影響ないレベルだ」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011120502100004.html
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福島第一汚染水45トン漏れる、海に流出恐れも
読売新聞 2011年12月4日20時37分
東京電力は4日、福島第一原子力発電所の汚染水処理施設で約45トンの汚染水が漏れ、一部は施設の外に漏出したと発表した。
敷地内の側溝から海に流出した恐れもあるが、東電は「海への流出があるとしても少量と見られ、影響は小さい」と見ている。
水漏れがあったのは、セシウムなどの放射性物質を除去した後に、蒸発濃縮処理で塩分を取り除く装置。施設内には約5センチの深さで汚染水がたまっている。
汚染水の表面の放射線は、ガンマ線が毎時1・8ミリ・シーベルトだが、ベータ線は同110ミリ・シーベルトと高い。汚染水の回収などでは、ベータ線による被曝(ひばく)を抑えるため、水に触れないように作業する必要がある。ベータ線を出す放射性物質のストロンチウムが1立方センチ当たり10万ベクレル程度含まれている可能性があり、この濃度は海水の濃度基準の10万~100万倍にあたるという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111204-OYT1T00565.htm
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