'13-01-03投稿
既報「海水中に存在する微量元素」に対する整理 (10-05更新'11-04ー01~)に引き続いて、昨年までに調査した記載を追加更新しました。
金属元素濃度に係る調査の目的は(~3月11日)
(その1):
金属資源の自給を目指して、海からの金属資源の回収する試みがされています。・・・
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(その2):
現代および次世代産業の米、ビタミン剤と呼ばれているシリコン(ケイ素)、レアーアース(希土類)、他を従来の海外の鉱山からの鉱物資源の輸入のみに頼らず、海、河川を含む周辺環境からの回収の可能性を当面は経済性は無視して調べています。・・・溶存物質のうち、84%が塩化ナトリウム、8%が塩化マグネシウムなどのその他の塩素化合物、のこりがアルミニウム、銅、ウラン、銀、水銀、金、などである。・・・
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ということでしたが、
3.11原発事故のため暫く中断していましたが、既報で海へ流出している核反応生成物質由来の「放射性物質元素」による汚染を心配して、種々の微量元素濃度について整理しました。
海水中の元素の深さ方向の分布に係る記載によれば、
「海水中の元素の深さ方向の分布」は海水中に存在する元素および、その化合物の挙動を推察する上で参考になると思われます。元素によって、さまざまな分布を示していることがわかります。一部の元素は海水と反応して海底に多く沈積してます。
主な元素の分布
1)Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)K(カリウム)、Ca(カルシウム)などの主成分は深さ方向で一定の濃度分布。
周期律表から、核反応放射性物質であるCs、Sr(アルカリ、アルカリ土類)も同傾向を示しています。
2)Al(アルミニウム)、Ti(チタニウム)、Th(トリウム)は深くなると濃度が高くなる。
3)Zn(亜鉛)Ge(ゲルマニウム)、Cd(カドミウム)などは濃度は表層で低く、中間層、底部で高い。核分裂反応物質に係る質量数(約60~170)に属するうちのレアアース(希土類)元素、例えば、Yイットリウム(原子価3)はこの中間型に属しています。
*周期律表(クリック)で原子番号、原子量(質量数)
*放射性同位元素(水素~ウラン、プルトニウムおよびその化合物一覧)
レアアースといえば、こんな記事もありました。
海からのレアアース回収に係る記載によれば、
「東京大大学院工学系研究科の加藤泰浩准教授ら。国際共同研究などで採取された太平洋海底のボーリング試料を分析し、ネオジムなどのレアアースを400ppm以上の濃度で含む泥が、水深3500~6千メートルの多くの地点に分布しているのを見つけた。・・・」という。
最近発見した地殻(含む海底)の地殻構成成分は、別報で引用した産総研で公表されている元素の濃度分布図である地球化学図(全国の地球化学図(海・陸))で知ることができますが、データの一部を紹介します。
アルミニウムAl(クリック)、)鉄Fe(クリック) (砂鉄、鉄鉱石鉱床には多く存在)、Ti(クリック)、Mg(クリック)・・・。
関連投稿:
・地震および津波に係る記載(その24:震度5以上の地震が発生し易い地域・海、域の地殻成分元素)
・地震および津波に係る記載(その22:なぜ砂鉄鉱床地域で震度5以上の地震が発生し易いのか?に係る雑感)
しかし、海水中に微量存在しているさまざまな元素濃度は地殻から河川および地下水への溶出、雨中の不純物(pH、溶存形態)、火山噴火、海底噴火成分などによって変遷すると思われます。また、海の表面、深層、海底など深さ方向でも海水温、元素濃度が違うと言われています。
また、 分析、放射線強度測定用の試料採取位置には注意が必要であることを示唆しています。
また、上記データから、その存在形態は海のpH、温度、溶存酸素(O2)、溶存CO2、Cl、SOx、NOx、POxイオンなどの存在状態によって、化合物の形態が変化すると想われます。
アルカリ、アルカリ土類でイオン化傾向の高いCs、Srなどは溶解していると思われます。
また、放射性物質は所定の半減期によって放射線を出して他の元素に変るので半減期の短い元素のICP-質量分析などによるppbオーダーの濃度*の正確な把握は難しいと思われます。
*濃度単位 1ppb=1μg/kg≒1μg/L(=0.001mg/L)
(海水の比重が1.023(25℃))
1%=10000ppm 1ppm=1000ppb 1ppb=1000ppt
1ppm=1mg/kg 1ppm≒1mg/L
<CO2の挙動例>
藻類などによる光合成、水温の変化によるCO2の溶存変化
(google画像検索から引用)
参考投稿:「水」とはどのようなものか?に係る投稿の整理(~’12-12-31)
・地球に存在する「水」の組成ー「海」
・海洋深層水とはどのようなものか?
・雨の中の不純物
今後は下図の「地下水などの放射能汚染」による悪影響が出ないように、地下マグマなどからの環境放射能を含む海水中の微量元素を適切に分析して、その回収(除染)することが望まれます。海水が汚染していれば、地下水も汚染します。
「生物多様性 」、「内部被曝 」、「異常気象など天変地異」
などに影響しているのではと個人的には杞憂しています。
<高感度分析の一例 >
ICP-MS分析、中性子線照射ガンマ線スペクトル分析
多摩川水系の溶存態元素濃度(単位 μg/l) (原論文1より引用)
goo辞書によれば、
「水」は海・湖沼・河川・氷雪として地表面の約四分の三をおおい、太陽エネルギーと重力の作用を受けて気体(水蒸気)・液体・固体と3態に状態を変えながら、
気圏・水圏・岩石圏の三圏にわたって絶えず循環しています。
(google画像検索から引用)
参考投稿:地球上の「水」はどのように存在して循環しているか
「本邦初公開!?:日本の地下水源から出る放射能分布地図発見!」によれば、http://quasimoto.exblog.jp/1923831
関連投稿:
・放射化現象に係る投稿(その2:環境放射性物質が影響する諸悪について)
・「水」とはどのようなものか?に係る記載(汚染物質に対する環境水の浄化技術の調査)