報道

2011-11-15 | ビジネス業界
今朝の情報番組で、秋刀魚は豊漁なのに、なぜか倒産する加工屋がある、とう話しを特集していました。
明石に15件も秋刀魚の加工屋があることは知りませんでしたが、明石と聞いただけで、ストーリーが解かりました。
案の定、冷凍原料が不足している、という流れです。
三陸の冷凍工場が流されてしまったため、今年は水揚げされても冷凍できない、ということが紹介されていました。

さて、これは明石に限ったことではありませんね。もうすぐ秋刀魚の漁期も終わります。そうなると、全国の秋刀魚加工業者が「冷凍」を使うしかないわけですが、その冷凍が不足しているのですから、今後の相場は・・。

このブログで何度も紹介していますが、

※ なぜ、日本の船は洋上で凍結できないのか・・・ 凍結業者など、地元産業の保護
※ なぜ、こんな環境にもかかわらず、輸入できないのか・・・業界保護のための「枠」による輸入規制

ということです。
この点は報道されないでしょうし、きっと突っ込む人もいないでしょう。

秋刀魚の輸入枠は、ブリ・秋刀魚・貝柱・煮干 (だったと思います) で、総枠管理されています。昨年は秋刀魚が不漁。それにともなって秋刀魚の輸入が増大した影響で、他魚種の輸入に支障が出ました。

今年も同じような状態です。

秋刀魚の時期になると、弁当やら定食屋やらで、秋刀魚を使った料理が出てきますが、とくにシーズン初めの頃は、前年の冷凍物を予め海外などで加工しておいて、シーズン到来にあわせてフェアを組んだりします。
シーズン初めの生が高いときに、弁当なんかに新物入れられるわけないですよね。。w
今年の「冷凍秋刀魚」の不足は、来年の秋刀魚シーズンへの影響も孕んでいるわけです。

個人的見解ですが、いずれ、国内の加工団体の圧力から、秋刀魚の「臨時輸入枠」が発給されるのではないか、と思っています。なにせ、シーズン後に加工する原料が残っていないわけですから、輸入せざるを得ません。

苦しいときは海外から集め、通常は日本の業界を守り・・とっても都合のいい話しなわけですね。そして我々のような新参業者は、「既得権益」である輸入枠などもらえるわけもなく、結局日本以外の国をフィールドにして仕事をしていくことになるわけです。

ちなみに、秋刀魚は今、日本以外ではとてもホットな貿易アイテムです。
日本産は放射能問題で輸出できず、また、枠問題で輸入できず。
目先の話しばかりで、今後の展開は全く考えていないわけです。

そんなときに、ロシアは台湾と直接交渉。韓国にも台湾秋刀魚が大量に流入。もちろんロシアの内需用、アジア各国の食用需要・・日本以外で盛んに取引が進んでます。


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4 コメント

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Unknown (ton)
2011-11-16 08:38:47
なるほど、お考えは把握できます。
船上凍結を含めコスト的に漁業者が納得できれば可能じゃないですか?コレ、漁獲量も関係しますよね。
業界保護とか考える前にご自分で船を建造し、生産まで行う考えがあるのなら、素敵なことと思います。
それより現在、国外で思う存分行動されてるのですから、私から見ればそちらの方がより効率的かと思いますけど、となりの芝生ですかねw
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ton さんへ (tare@)
2011-11-16 09:14:46
コメント、ありがとうございます。
サンマに限らず一次産業全般的に、保護を進めすぎたばかりに突発的な事情に対応できない、という印象があります。
この件に限らず、世界の事情を一切無視した日本市場には、本当に危機感を持っています。目先の無理な値下げがどれだけ国際競争力を落としているか。

正直、日本の会社より、外国相手の方が 商売はスムーズです。 でもやっぱり日本人だし。。。w
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Unknown (デバンニング)
2011-11-16 21:14:33
こんばんは、GMSのpopが季節感を伝え 棚は地上げの如く大手が抑え 商品とそれを納める取引先は金融のように格付けされる昨今、大手に立ち向かうには どうしても価格面に頼る図式はなかなか収まりませんね。一次産業の取扱は難しい、生鮮食品=生食及び生に近い状態で食するが当たり前のような国内は 食べ物=加工する 諸外国と比べると 異なった形態になるのは否めない事実ですね。反面複雑な流通形態が新規参入を拒み村形態になりやすく拒まれた者は不倶戴天の如く潰しにかかります。売上高しか見ない銀行等 成績主義が闊歩する昨今 いったいどちらが正しいのかは神様のみ知る…
追伸サゴチですか? 昔 出物のフライで 揚げている最中に見事にバラバラになった経験あり(笑)
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デバンニングさんへ (tare@)
2011-11-18 15:46:53
毎度様です。
先ほど、帰国しました。今回は遠洋ものの貨物中心でした。3日で計5魚種、いろんな検品をしてきました。

量販店の担当を短い期間だけですがしていたことがあります。正直、こんなこと言われたりされたりするくらいなら、商売しないほうがいいな・・と思ったことが何度もありました。それでもあのボリュームには惹かれてしまうわけですね。
よくこのブログでも紹介する、ダイエーの中内功氏が書いた 「わが安売り革命」という本。あの中身を読むと、仕入れ先に対する考え方がなんとなくわかります。

「流通業者のみが需要を掴んでいるのだから、生産者は流通業者の意向に従うほかない」
「生産者が支配する価格を粉砕し、流通業者が消費者のために価格を設定することは、生産者社会に代わる消費者社会の建設となる」
などなど。。

もちろん生産者を含めたサプライチェーンには触れられていますが、とにかく生産者を流通が「支配」することが目的だったのだということがわかります。そしてこの時代、それが歪な形で根付いてしまっているんでしょうね。

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