新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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感染パニック映画Contagionをうまく利用してリスクコミュニケーション(米)

2011-09-26 09:42:02 | リスクコミュニケーション

米国の感染パニック映画contagion、地方当局がこれをうまく利用して保健教育につかっています。

  • ワイオミング州Clark County
  • もしあなたがcontagionをみた後で誰も、また何も触りたくなくなったら、その感覚はパンデミックのときに役立つかも。パンデミックでは、有効な薬やワクチンが開発されるまでに何百人もが病的状態におかれる。
  • この映画はCDCも監修、CDCは、この題材は極端なものだが、シナリオ自体はあり得るものだとしている。
  • 09年パンデミックではウイルスがmildなものであったこと、人々の素早い反応、ワクチンの速やかな開発もありeasyに済んだものの、これから新たなパンデミックではcontagionが示すようなmuch more severeなものになるかもしれない。
  • Clark Countyではこのようなパンデミックの際には有効な医薬品開発に時間がかかることをかんがみ、関係各所と協力して対策に取り組む。(以下、対策の列挙)
  • 学校や職場など人が集まる場所で座席配置を変えてヒトーヒト間の距離を拡大。
  • 学校閉鎖
  • コンサート・映画・スポーツイベントなど人の集まる機会を延期ないし中止
  • 手洗い・咳エチケット・発病時の外出控え
  • 映画でも出てくる如く、もっとも重要なのは、我々が愛する人を守ることである。だから、家族内のプランを練っておくべきである。その中には、食糧備蓄も含まれる。そのためにhttp://www.getreadyforflu.org/newsite.htmを参照されたし。

 うまいですね。封切りから2週間、パニック映画を見て感染症恐怖の人が増えてきたあたりで「次のパンデミックはもっと怖いかも」と警告しては、咳エチケットやら学校閉鎖やら色々とリマインドする。この時期に自ら監修した映画を公開させる。この映画自体CDC一流のリスコミですね。
流石です・・・と言いかけてふと思ったこと。これ、09年の「感染列島」が(少なくとも人々の覚醒度あげる面で)そこそこ成功したのを見たCDCが「2匹目のドジョウ」を狙ったのではないかと。こちらはCDC監修、感染列島は(当時)感染研の肩書もったあの人監修(じゃなくてもほぼ実質的に?)、こちらのモデルはCDC,あちらはWHO進藤氏・・・とってもよく似ていますね。
 ただ、当局のリスコミ利用のしかた、人々の意識づけへの利用のしかたというあたりでは、「二匹目」の方が上手な気もします。

ソースはThe Columbian↓
http://www.columbian.com/news/2011/sep/25/feeling-vulnerable-after-seeing-contagion/

Local View: Feeling vulnerable after seeing ‘Contagion’?

 

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