ベラルーシ、ちょうどウクライナの真北に位置する国ですが、「まったく説明のつかない非定型肺炎で若年者の犠牲が相次いでいる。国際社会の協力を」とベラルーシ卒後教育アカデミー議長補がうったえ。
過日のウクライナは、首相の選挙参謀がラウドスピーカーで叫んで回るという構図でしたが、こちらは、政府権力側は沈黙、現場民間が悲鳴という、事情が異なるようです。
- Mikalai Shaulau氏。肩書きはan infectious disease specialist, assistant of Infectious diseases chair of the Belarusian Academy of postgraduate education
- 公開書簡でうったえ。ベラルーシ非定型肺炎流行をうったえ、広範囲の反応を要請。
- ”非定型肺炎”の意味するところは、これまで知られた微生物ではない、何らかのウイルスを含む未知の何らかで起こっているもの。市中肺炎の形で流行し、感染者は3~5日で致死的経過をたどる。犠牲者の多くは若年者。
- 政府は”未確認”としているが、それはその通りで、何も検査が行われていないのだからわかりようがない。数字も明らかにしていない。
- コンサルトで訪れた病院では、ICUにて一晩で4名亡くなった。うち1名は妊婦。症状は極めて重く進行し、人工呼吸器を用いて期待される効果をあげることが出来ない(Pneumonia has so grave development that artificial pulmonary ventilation does not give an expected result)。我々はまったく説明のつかない病気に直面している。何とか救命しえたケースもある。しかし残念ながら、人工呼吸器を使い助かった者もいる反面、多くは亡くなっている。
- 世界の医学界、特にWHOに救助を要請。ロンドンにもモスクワにも、検体を調査能力のある検査研究機関がある。政府が援助を要請すれば、WHOは拒否することはないであろう。
- 新型(豚)インフルエンザでは、良性~ほどほどに重症例までである。死亡率は高くない。でも、なぜ10月11月から人々が死にだしたのか?何が変わったのか?ウイルスか?人間か?私は、その答えを知りたい。保健当局のリーダーシップのもとに。
私達はウクライナの件で振り回されつつ教訓を得ました。ですので、少々慎重に読んでみましょう。
- まずは、とりあえず”選挙”だとか”政敵”だとかいう要素は出てきていないようです。
- この公開書簡の著者Shaulau氏とは?an infectious disease specialist, assistant of Infectious diseases chair of the Belarusian Academy of postgraduate education という肩書きから推測されるのは、①感染症専門家である②アカデミー感染症部門でassistant of chairはトップのボスではない。権力側ではなくて、民間人という位置づけか。マスコミがきちんと取上げて英語で発信しているところから、(権力はなくとも)その世界の人間に実力を認められ、いろいろ病院をコンサルトして回っている・・・日本でもイメージわく人いますね。
- 権力側は動く気配を見せていない(ウクライナ事件と違うところ)。事態の存在を認めていない。検査をおこなっていないので(当然)証拠はあがっていない。で、事態に危機感抱いた感染症専門家が、海外に向けて訴える・・・
- この構図、管理人にはフラッシュバックするものがあります。2003年4月6日に起きた事件です。当時、北京にて大使館医務官を務めSARS流行禍対応に四苦八苦していた管理人にとって忘れられない日です。当局に隠蔽され、感染者数は10人だ20人だと公式発表されていたものが、「ある軍病院だけで100人超いるよ」と現場医師が米TIME誌に発表、ついに隠蔽しきれなくなり4月20日の「実は北京の感染者数339名」発表と北京市長&衛生部長(厚労大臣相当する人間)更迭発表につながっていったのでした。
今回、この情報が英語で世界中に流れ、これからどう動いてゆくのか注目されます。
ソースはcharter97↓
http://www.charter97.org/en/news/2009/12/1/24184/
Mikalai Shaulau: We have faced completely inexplicable illness. WHO’s aid is needed urgently